48 / 78
第一部 悪役令嬢未満、お兄様と結婚します!
墓地の妖精 3
しおりを挟む
「世界の根源を司る四柱のうち風の精霊シルフよ、我の呼びかけに応え、その大いなる御力の片鱗を我に授けたまえ――吹き飛ばせ、ゴッドブレス」
「世界の根源を司る四柱のうち水の精霊ウンディーネよ、我の呼びかけに応え、その大いなる御力の片鱗を我に授けたまえ――すべてを飲み込み押し流せキャタクリズム」
ぶーッ‼
お兄様の放った風系最強魔法と、アレクサンダー様の放った水系最強魔法に、わたしは腰を抜かしそうになった。
二人とも上級魔法の使い手なのは知ってたけど、最強魔法を簡単に唱えすぎですよ‼
どういうコントロールなのか、お兄様の放った「ゴッドブレス」も、アレクサンダー様が放った「キャタクリズム」も、墓を傷つけることなくアンデットだけに的確にダメージを与えている。
……というか、一瞬です。二人のスペックが怖いです。一瞬で、あの大量のアンデットたちが、跡形もなく消えました。もう、アンデットより二人が怖いです!
これが我が国に五家しかない公爵家の跡取りたちの実力か~、と自分が公爵令嬢であることも忘れて感心してしまう。
レベル二のわたしには、逆立ちしたって無理ですわ~。あの魔法って、放つにはいったいどのくらいの魔力が必要なのかしら~。
レベルの違いに圧倒されつつも、これでアンデットの脅威がなくなったと、わたしはホッと息を吐き出した。
「ひとまずこれでいいが、またアンデットたちが寄ってこないように結界を張りなおしておいた方がいいか。……やれやれ、本来は国の仕事なんだがな」
お兄様がぶつぶつ言いながらわたしを振り返る。
「マリア、もう少しおにいちゃまに付き合っておくれ。結界が消えていると言うことは、結界魔道具が何らかの不調をきたしていると思うからね。確認しに行こうと思う」
結界魔道具は、墓地の中央にそびえたつ巨大な十字架である。
一度帰って国に申請してもいいが、国に申請しても、書類の作成だ承認だなんだと、実際に動いてくれるまでに数日はかかるだろう。乗り掛かった舟だから、ついでに結界魔道具が治せそうなら治してしまおうと、お兄様は言った。
「ええ、わたしもそれがいいと思います! またアンデットたちが住み着いたら嫌ですからね!」
わたしはお化けが嫌いなんです。あんなものにはもう二度と遭遇したくない。
すると、アレクサンダー様がふわりと微笑んだ。
「君は優しいな」
え? 今、わたしアレクサンダー様に「優しい」と言われるような発言をしましたかね?
単に自分がお化けに会いたくないだけなんですけど、なんか勘違いしていらっしゃるような……。
というか、アレクサンダー様がわたしに微笑みかけるなんて、夢でも見ているのかしら?
仲間意識と言うものは、人間の好感度を爆上げするのだろうか。わたしはアレクサンダー様に嫌われていたはずなのに、どうやら微笑みかけてくれるくらいには好感度が上がったらしい。
アレクサンダー様も、結界魔道具を確認するというお兄様の意見に相違はないようで、わたしたち三人はそのまま結界魔道具の巨大な十字架の下まで向かった。
お兄様が十字架の側面に手を当てて、難しい顔をする。
「魔石が壊されているではないか」
魔道具の核は魔石だ。その魔石が壊されていたら、もちろん魔道具は動かなくなる。
「いったい誰の悪戯だ。簡単に壊れるものではないのだが……」
「国に報告して調査させた方がいいかもしれないな。だが、魔石が破壊されているのならば、今ここで修復は不可能だぞ。代わりの魔石がないからな。ジークハルト、どうする?」
「だから、先輩と呼びたまえよ。……そうだな、とりあえず、応急処置として結界魔法だけ張っておくか。明日、国に急いで結界魔道具の修復をするように連絡しておこう」
「そうだな。魔石を持って戻ってくるわけにもいくまい」
アレクサンダー様にも異論はないらしい。
「だが、結界を張るとしても墓地は広い。補助魔法陣があった方がいいな」
「そうだな」
アレクサンダー様とお兄様が小難しそうな話をしはじめたので、わたしは一歩引いて見守ることにした。だって、聞いたってわかんないもん。
お兄様とアレクサンダー様が、どのような補助魔法陣を書くか相談している。
というか、お兄様もアレクサンダー様も、さっき、風と水の最高難度の魔法を唱えたくせに、まだ結界を張る魔力が余っているのね。凡人以下のわたしは理解が追いつきませんよ。
結界魔道具から少し離れたところにベンチを見つけたので、わたしはそこに腰かけて二人の様子を見守りつつ、当初の「タイミングを見てハイライドの鱗粉をアレクサンダー様に渡す」と目的が遂行できなかったことにちょっとがっかりしていた。
……これでまた、振りだしね。
せっかく手に入れたのに、どうやって渡せばいいのだろう。
さすがにこの場にぽとっと落として「あー、何か落ちてますわー!」と叫ぶのは無理がありすぎる。
……むむむ、誰かわたしに名案を授けてください。もしくは知力一万くらいほしいです!
いっそ、次の市場が立つときにふらりと出向いて、市場で発見して買ったことにしてしまおうかしら? でも、黄金のリンゴ以上に貴重な素材だから、市場に売られるなんてまずないのよね。
最悪、リッチーを丸め込んでアレクサンダー様に渡してもらおうかしら。
ダメね。アレクサンダー様だもの、入手先を根掘り葉掘り聞くに決まっているわ。わたしが入手したと知ったら、何故直接持って来ないのかと言われそう。そして、どこで入手したのかをしつこく問いただされるのよ。
わたしは賢くないので、賢いアレクサンダー様の追及から逃れられるとは思えない。
……ああもう! 手詰まりだわ‼
わたしはぷらぷらと足を動かす。
わたしが足を動かすたびに、月明かりによって作り出されたわたしの影が大きくなっていって――うん? 大きく?
ハッとしたときには、遅かった。
「きゃあああああああっ」
「「マリア‼」」
わたしの悲鳴に、お兄様とアレクサンダー様が同時に振り返って叫ぶ。
わたしは、二人の目の前で、巨大な影――アンデットの中に、ずぶずぶと飲み込まれていった。
「世界の根源を司る四柱のうち水の精霊ウンディーネよ、我の呼びかけに応え、その大いなる御力の片鱗を我に授けたまえ――すべてを飲み込み押し流せキャタクリズム」
ぶーッ‼
お兄様の放った風系最強魔法と、アレクサンダー様の放った水系最強魔法に、わたしは腰を抜かしそうになった。
二人とも上級魔法の使い手なのは知ってたけど、最強魔法を簡単に唱えすぎですよ‼
どういうコントロールなのか、お兄様の放った「ゴッドブレス」も、アレクサンダー様が放った「キャタクリズム」も、墓を傷つけることなくアンデットだけに的確にダメージを与えている。
……というか、一瞬です。二人のスペックが怖いです。一瞬で、あの大量のアンデットたちが、跡形もなく消えました。もう、アンデットより二人が怖いです!
これが我が国に五家しかない公爵家の跡取りたちの実力か~、と自分が公爵令嬢であることも忘れて感心してしまう。
レベル二のわたしには、逆立ちしたって無理ですわ~。あの魔法って、放つにはいったいどのくらいの魔力が必要なのかしら~。
レベルの違いに圧倒されつつも、これでアンデットの脅威がなくなったと、わたしはホッと息を吐き出した。
「ひとまずこれでいいが、またアンデットたちが寄ってこないように結界を張りなおしておいた方がいいか。……やれやれ、本来は国の仕事なんだがな」
お兄様がぶつぶつ言いながらわたしを振り返る。
「マリア、もう少しおにいちゃまに付き合っておくれ。結界が消えていると言うことは、結界魔道具が何らかの不調をきたしていると思うからね。確認しに行こうと思う」
結界魔道具は、墓地の中央にそびえたつ巨大な十字架である。
一度帰って国に申請してもいいが、国に申請しても、書類の作成だ承認だなんだと、実際に動いてくれるまでに数日はかかるだろう。乗り掛かった舟だから、ついでに結界魔道具が治せそうなら治してしまおうと、お兄様は言った。
「ええ、わたしもそれがいいと思います! またアンデットたちが住み着いたら嫌ですからね!」
わたしはお化けが嫌いなんです。あんなものにはもう二度と遭遇したくない。
すると、アレクサンダー様がふわりと微笑んだ。
「君は優しいな」
え? 今、わたしアレクサンダー様に「優しい」と言われるような発言をしましたかね?
単に自分がお化けに会いたくないだけなんですけど、なんか勘違いしていらっしゃるような……。
というか、アレクサンダー様がわたしに微笑みかけるなんて、夢でも見ているのかしら?
仲間意識と言うものは、人間の好感度を爆上げするのだろうか。わたしはアレクサンダー様に嫌われていたはずなのに、どうやら微笑みかけてくれるくらいには好感度が上がったらしい。
アレクサンダー様も、結界魔道具を確認するというお兄様の意見に相違はないようで、わたしたち三人はそのまま結界魔道具の巨大な十字架の下まで向かった。
お兄様が十字架の側面に手を当てて、難しい顔をする。
「魔石が壊されているではないか」
魔道具の核は魔石だ。その魔石が壊されていたら、もちろん魔道具は動かなくなる。
「いったい誰の悪戯だ。簡単に壊れるものではないのだが……」
「国に報告して調査させた方がいいかもしれないな。だが、魔石が破壊されているのならば、今ここで修復は不可能だぞ。代わりの魔石がないからな。ジークハルト、どうする?」
「だから、先輩と呼びたまえよ。……そうだな、とりあえず、応急処置として結界魔法だけ張っておくか。明日、国に急いで結界魔道具の修復をするように連絡しておこう」
「そうだな。魔石を持って戻ってくるわけにもいくまい」
アレクサンダー様にも異論はないらしい。
「だが、結界を張るとしても墓地は広い。補助魔法陣があった方がいいな」
「そうだな」
アレクサンダー様とお兄様が小難しそうな話をしはじめたので、わたしは一歩引いて見守ることにした。だって、聞いたってわかんないもん。
お兄様とアレクサンダー様が、どのような補助魔法陣を書くか相談している。
というか、お兄様もアレクサンダー様も、さっき、風と水の最高難度の魔法を唱えたくせに、まだ結界を張る魔力が余っているのね。凡人以下のわたしは理解が追いつきませんよ。
結界魔道具から少し離れたところにベンチを見つけたので、わたしはそこに腰かけて二人の様子を見守りつつ、当初の「タイミングを見てハイライドの鱗粉をアレクサンダー様に渡す」と目的が遂行できなかったことにちょっとがっかりしていた。
……これでまた、振りだしね。
せっかく手に入れたのに、どうやって渡せばいいのだろう。
さすがにこの場にぽとっと落として「あー、何か落ちてますわー!」と叫ぶのは無理がありすぎる。
……むむむ、誰かわたしに名案を授けてください。もしくは知力一万くらいほしいです!
いっそ、次の市場が立つときにふらりと出向いて、市場で発見して買ったことにしてしまおうかしら? でも、黄金のリンゴ以上に貴重な素材だから、市場に売られるなんてまずないのよね。
最悪、リッチーを丸め込んでアレクサンダー様に渡してもらおうかしら。
ダメね。アレクサンダー様だもの、入手先を根掘り葉掘り聞くに決まっているわ。わたしが入手したと知ったら、何故直接持って来ないのかと言われそう。そして、どこで入手したのかをしつこく問いただされるのよ。
わたしは賢くないので、賢いアレクサンダー様の追及から逃れられるとは思えない。
……ああもう! 手詰まりだわ‼
わたしはぷらぷらと足を動かす。
わたしが足を動かすたびに、月明かりによって作り出されたわたしの影が大きくなっていって――うん? 大きく?
ハッとしたときには、遅かった。
「きゃあああああああっ」
「「マリア‼」」
わたしの悲鳴に、お兄様とアレクサンダー様が同時に振り返って叫ぶ。
わたしは、二人の目の前で、巨大な影――アンデットの中に、ずぶずぶと飲み込まれていった。
560
お気に入りに追加
2,072
あなたにおすすめの小説
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
妹を溺愛したい旦那様は婚約者の私に出ていってほしそうなので、本当に出ていってあげます
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族令嬢であったアリアに幸せにすると声をかけ、婚約関係を結んだグレゴリー第一王子。しかしその後、グレゴリーはアリアの妹との関係を深めていく…。ある日、彼はアリアに出ていってほしいと独り言をつぶやいてしまう。それを耳にしたアリアは、その言葉の通りに家出することを決意するのだった…。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる