37 / 63
第一部 悪役令嬢未満、お兄様と結婚します!
眠り姫を救うために 4
しおりを挟む
木曜日にニコラウス先生から補講を受けて、ポイントを一ポイントゲットしたわたしは、晴れてレベル二に昇格した。
名前 マリア・アラトルソワ
誕生日 四月一日
称号 アラトルソワ公爵令嬢
レベル 二
魔力 十
習得魔法レベル 一
ふっふっふ!
レベルが二になって魔力が十になったから、ファイアーボールが二発撃てるんだもんね~!
そして、上機嫌で迎えた土曜日。
今日はアレクサンダー様と、お城の閉架書庫へ向かう日だ。
火曜日の放課後に話をした後、アレクサンダー様はすぐに閉架書庫に閲覧申請を出して、一番早い休日である土曜に都合をつけてきた。こういう行動が早いから、アレクサンダー様は優秀なんだろうね~。
お兄様に黙って行くとあとあとなんか怖い気がしたので、お兄様にもアレクサンダー様と閉架書庫に行く報告はしてある。
「何故アレクサンダーと閉架書庫になんて行くんだい? そもそも、マリアは本を読むのかい?」なんて言われたけど笑って誤魔化した。
というかお兄様、マリアだって本くらい読みますよ。まあ、公爵家の部屋の本棚には、美容法に書かれている本とか、「恋のレッスンABC」などという恋愛指南書のようなものしかありませんでしたけどね!
……恋愛指南書を読んであの行動を取っていたのなら、これまでわたしが集めていた恋愛指南書はポンコツもいいところだ。ま、自分にとって都合がいいページしか読まなかったせいだろうと愚考するけどね。
わたしが出かけると聞くと、ハイライドが連れて行けと騒ぎ出したが、さすがにカナリアを肩に乗せて閉架書庫へは行けない。
他の人にはハイライドはカナリアにしか見えないのだから、ハイライドに頼まれたと言っても理解してくれる人は誰もいないのだ。そしてわたしが注意を受けるのである。
ハイライドは不満そうだったけれど、クッキーを渡すと大人しくなった。ヴィルマは「カナリアに人間の食べ物は与えない方がいいですよ」と言ったけれど、それを聞いて怒ったハイライドにつつかれてからは言わなくなった。地味に痛かったらしい。それにしても、この妖精の王子様は、本当に食い意地が張っているわ。
わたしは極力露出の少ないドレスをクローゼットの中から選び取ると、ヴィルマが髪を盛ろうとするのを制して(まだプーフならぬ『ヴォルケヘア』にこだわっているらしい)、派手さを押さえていながらも、お城に向かうにふさわしいメイクと髪型にしてもらった。
アレクサンダー様とは学園の正門で待ち合わせているのでそちらに向かうと、正門前に立っているアレクサンダー様の周りに女生徒が群がっている。
……う! デジャヴ‼
先週お兄様とデートの待ち合わせをした時に見たのと同じ光景だ。
わたしが歩いて行くと、わたしに気づいた女の子たちが「またこいつ⁉」みたいな殺意のこもった視線を向けて来る。
だが、オリエンテーションのときのように考えなしの女の子はここにはいないようで、わたしをきちんと「公爵令嬢」として認識しているようだった。不満はあれど、口に出すと自分、ひいては家にダメージがあると理解しているようで、口に出して文句を言ってくる人はいない。
視線だけは恐ろしく痛いが、面と向かって罵倒されないだけ精神負担は少ない。
……さっさとこの場を退散するに越したことはないけどね!
ということで、わたしは急いでアレクサンダー様の元へ向かうと「さあ行きましょう!」と急がせた。
すでに馬車を手配してくれていて、正門を出て少し歩いたところにナルツィッセ家の家紋が入った馬車が停まっている。
御者が扉を開けると、アレクサンダー様からすっと手が差し出された。
わたしがきょとんとしていると、アレクサンダー様が眉を顰める。
「早く乗りなさい」
なんと、エスコートしてくれるらしい。
……嫌いな女が馬車に乗るのにも手を貸してくれるなんて、アレクサンダー様ってなんて紳士なのかしら!
戸惑いつつもアレクサンダー様の手を借りてわたしは馬車に乗り込んだ。
……お城に行くのも久しぶりだわ。
わたしは公爵令嬢なので、子供のころから何度もお城に行ったことがある。
ただ、入学してからは、社交シーズンに開催されるお城のパーティーを除いて足を踏み入れていないはずだ。
……だって、ルーカス殿下が学園にいるんだから、わざわざお城に行く必要がなかったのよね、マリア的には。
前世の記憶が戻る前のマリアの行動を分析するに、マリアの本命はルーカス殿下だったのだろう。
気が多いマリアはほかの男性にも思いっきり粉をかけていたが、ルーカス殿下がいるときはルーカス殿下を最優先にしていた。
ルーカス殿下は第一王子なので、順調にいけば次代の王だ。
自分のことが世界で一番美しいと思っていて、他人にかしずくという言葉を知らなかったマリアである。この国の女性の頂点――王妃になろうと企んでいたのは、頷ける。
……マリアの思考って本当に単純だわ。まあ、わたし自身のことなんだけど。
ぼんやりと馬車の窓から外を眺めていると、前の座席に座っていたアレクサンダー様が「マリア・アラトルソワ」と話しかけてきた。珍しいこともあるものだ。そして、どうでもいいが何故毎回フルネームで呼ぶのだろう。マリア、もしくはアラトルソワでいいではないか。
「君が叔父上と親しいそうだが、正直少し、驚いた」
「何がですか?」
わたしとリッチーが親しいことの何が、アレクサンダー様を驚かせるというのだ。
「叔父上はあの通り、少々変わっている。そのせいで、親族からは煙たがられているんだ」
「それが?」
「君も、変わっているとは思わなかったか? あの外見であの口調、あの服装。そして妙なものばかりを集めた店まで開いている」
アレクサンダー様の言いたいことは、わからないではない。
もし、世の中の人間の統計を取って多数と少数に分けたならば、リッチーは間違いなく少数派の枠に入れられるだろう。
人間には群れ意識があるので、少数派に対して、世間の風当たりは冷たい。
もっと言えば「貴族」という枠組みで考えた場合、リッチーは貴族らしくない人だろう。
高位貴族で固められるアレクサンダー様の親族が、リッチーに対していい感情を抱いていないのも頷けることだ。
……でも、それ、わたしには関係ないし。
わたしがリッチーと知り合ったのは、わたしがまだ学園に入学する前のことだ。つまり、前世の記憶を取り戻す前のことである。
ヴィルマを連れて街を散策していたわたしは、背後から響いた「きゃあああ!」という野太い声に驚いて立ち止まった。
そして振り返ると、大きな買い物袋の底が破けて、商品を道端に散乱させて困っていたリッチーがいたのだ。
マリアは基本的に高慢なので、人助けなんてしない。
そのはずなのだが、その時のマリアは、ころころと足元に転がって来た商品の一つを拾って、リッチーの元まで持って行った。
そして。
――ねえ、そのふりふりした可愛い服、どこに売っているの?
と話しかけたのである。
つまり、困っているリッチーを助けたかったわけではなく、リッチーがあの時に来ていたふりふりのエプロンドレスに興味を持っただけなのだ。
そしてそのあとで(ふりふりした可愛くて派手なものが好きという点において)リッチーと意気投合したわたしは、リッチーの店の常連になったというわけだ。
マリアはどうしようもない高慢で高飛車なお嬢様だったが、不思議と人に対する偏見はないタイプだったのだ。
マリアの世界は自分と、自分が好きな男性たちと、その他大多数に区分されていた。
その他大多数に区分されている人たちの身分や性格やそのほかもろもろなことには区別はつけておらず、はっきり言って、そこまで興味も持っていなかった。
その性格が幸いしたのかどうなのか、リッチーのあの強烈な外見や口調を前にしても、何ら違和感も偏見も覚えなかったのである。
「アレクサンダー様が人の趣味をとやかく言う人だとは思いませんでした」
「……別に、とやかく言うわけではないが、世間の常識からみて、叔父上は外れているということだ。誤解しないでほしいが、別に私は叔父上が嫌いなのではない。押しが強すぎるのが苦手なだけだ」
まあ、リッチーは押しは強いわよねえ。
「リッチーは、いい人ですよ。わたしは好きですけど」
リッチーは、マリアの高慢な態度にも「やっだー、マリアちゃんったら面白ーい」と笑ってくれる優しい人だ。とても心が広い、暖かな人だと思う。
押しは強いし妙なものを売りつけようとしてくるところが玉に瑕だが、それも含めて、わたしはリッチーが嫌いではない。
「そうか。……いや、すまない。母と妹以外に、叔父と普通に付き合う人が周りにいなかったので、少々驚いてしまっただけなんだ」
……苦手だって言ったけど、アレクサンダー様も、リッチーのことが結構好きなんでしょうね。
なんとなく、そんな表情をしている。
押しが強くて戸惑うけど、本当に嫌いならば、リッチーに頼まれて店番なんてしないだろう。あの店はアレクサンダー様の雰囲気からかけ離れているし、本人もあのような妙なものが並んだ店の店番なんてしたくなかったはずだ。
それなのに、頼まれて引き受けると言うことは、リッチーのことが好きだからに決まっている。
……素直じゃないなあ。やっぱり、ツンデレ要員。
わたしがまじまじと見つめると、アレクサンダー様はほんのちょっとだけ耳を赤くして、プイっと横を向く。
「私が言えた義理ではないが……その、叔父上とこれからも仲良くしてやってくれ。叔父上は君が気に入っているようだ」
ふふ、ツンデレの、ちょいデレが見られた気分!
わたしが心の中でにやにやしていると、馬車がゆっくりと、城の玄関前に停車した。
名前 マリア・アラトルソワ
誕生日 四月一日
称号 アラトルソワ公爵令嬢
レベル 二
魔力 十
習得魔法レベル 一
ふっふっふ!
レベルが二になって魔力が十になったから、ファイアーボールが二発撃てるんだもんね~!
そして、上機嫌で迎えた土曜日。
今日はアレクサンダー様と、お城の閉架書庫へ向かう日だ。
火曜日の放課後に話をした後、アレクサンダー様はすぐに閉架書庫に閲覧申請を出して、一番早い休日である土曜に都合をつけてきた。こういう行動が早いから、アレクサンダー様は優秀なんだろうね~。
お兄様に黙って行くとあとあとなんか怖い気がしたので、お兄様にもアレクサンダー様と閉架書庫に行く報告はしてある。
「何故アレクサンダーと閉架書庫になんて行くんだい? そもそも、マリアは本を読むのかい?」なんて言われたけど笑って誤魔化した。
というかお兄様、マリアだって本くらい読みますよ。まあ、公爵家の部屋の本棚には、美容法に書かれている本とか、「恋のレッスンABC」などという恋愛指南書のようなものしかありませんでしたけどね!
……恋愛指南書を読んであの行動を取っていたのなら、これまでわたしが集めていた恋愛指南書はポンコツもいいところだ。ま、自分にとって都合がいいページしか読まなかったせいだろうと愚考するけどね。
わたしが出かけると聞くと、ハイライドが連れて行けと騒ぎ出したが、さすがにカナリアを肩に乗せて閉架書庫へは行けない。
他の人にはハイライドはカナリアにしか見えないのだから、ハイライドに頼まれたと言っても理解してくれる人は誰もいないのだ。そしてわたしが注意を受けるのである。
ハイライドは不満そうだったけれど、クッキーを渡すと大人しくなった。ヴィルマは「カナリアに人間の食べ物は与えない方がいいですよ」と言ったけれど、それを聞いて怒ったハイライドにつつかれてからは言わなくなった。地味に痛かったらしい。それにしても、この妖精の王子様は、本当に食い意地が張っているわ。
わたしは極力露出の少ないドレスをクローゼットの中から選び取ると、ヴィルマが髪を盛ろうとするのを制して(まだプーフならぬ『ヴォルケヘア』にこだわっているらしい)、派手さを押さえていながらも、お城に向かうにふさわしいメイクと髪型にしてもらった。
アレクサンダー様とは学園の正門で待ち合わせているのでそちらに向かうと、正門前に立っているアレクサンダー様の周りに女生徒が群がっている。
……う! デジャヴ‼
先週お兄様とデートの待ち合わせをした時に見たのと同じ光景だ。
わたしが歩いて行くと、わたしに気づいた女の子たちが「またこいつ⁉」みたいな殺意のこもった視線を向けて来る。
だが、オリエンテーションのときのように考えなしの女の子はここにはいないようで、わたしをきちんと「公爵令嬢」として認識しているようだった。不満はあれど、口に出すと自分、ひいては家にダメージがあると理解しているようで、口に出して文句を言ってくる人はいない。
視線だけは恐ろしく痛いが、面と向かって罵倒されないだけ精神負担は少ない。
……さっさとこの場を退散するに越したことはないけどね!
ということで、わたしは急いでアレクサンダー様の元へ向かうと「さあ行きましょう!」と急がせた。
すでに馬車を手配してくれていて、正門を出て少し歩いたところにナルツィッセ家の家紋が入った馬車が停まっている。
御者が扉を開けると、アレクサンダー様からすっと手が差し出された。
わたしがきょとんとしていると、アレクサンダー様が眉を顰める。
「早く乗りなさい」
なんと、エスコートしてくれるらしい。
……嫌いな女が馬車に乗るのにも手を貸してくれるなんて、アレクサンダー様ってなんて紳士なのかしら!
戸惑いつつもアレクサンダー様の手を借りてわたしは馬車に乗り込んだ。
……お城に行くのも久しぶりだわ。
わたしは公爵令嬢なので、子供のころから何度もお城に行ったことがある。
ただ、入学してからは、社交シーズンに開催されるお城のパーティーを除いて足を踏み入れていないはずだ。
……だって、ルーカス殿下が学園にいるんだから、わざわざお城に行く必要がなかったのよね、マリア的には。
前世の記憶が戻る前のマリアの行動を分析するに、マリアの本命はルーカス殿下だったのだろう。
気が多いマリアはほかの男性にも思いっきり粉をかけていたが、ルーカス殿下がいるときはルーカス殿下を最優先にしていた。
ルーカス殿下は第一王子なので、順調にいけば次代の王だ。
自分のことが世界で一番美しいと思っていて、他人にかしずくという言葉を知らなかったマリアである。この国の女性の頂点――王妃になろうと企んでいたのは、頷ける。
……マリアの思考って本当に単純だわ。まあ、わたし自身のことなんだけど。
ぼんやりと馬車の窓から外を眺めていると、前の座席に座っていたアレクサンダー様が「マリア・アラトルソワ」と話しかけてきた。珍しいこともあるものだ。そして、どうでもいいが何故毎回フルネームで呼ぶのだろう。マリア、もしくはアラトルソワでいいではないか。
「君が叔父上と親しいそうだが、正直少し、驚いた」
「何がですか?」
わたしとリッチーが親しいことの何が、アレクサンダー様を驚かせるというのだ。
「叔父上はあの通り、少々変わっている。そのせいで、親族からは煙たがられているんだ」
「それが?」
「君も、変わっているとは思わなかったか? あの外見であの口調、あの服装。そして妙なものばかりを集めた店まで開いている」
アレクサンダー様の言いたいことは、わからないではない。
もし、世の中の人間の統計を取って多数と少数に分けたならば、リッチーは間違いなく少数派の枠に入れられるだろう。
人間には群れ意識があるので、少数派に対して、世間の風当たりは冷たい。
もっと言えば「貴族」という枠組みで考えた場合、リッチーは貴族らしくない人だろう。
高位貴族で固められるアレクサンダー様の親族が、リッチーに対していい感情を抱いていないのも頷けることだ。
……でも、それ、わたしには関係ないし。
わたしがリッチーと知り合ったのは、わたしがまだ学園に入学する前のことだ。つまり、前世の記憶を取り戻す前のことである。
ヴィルマを連れて街を散策していたわたしは、背後から響いた「きゃあああ!」という野太い声に驚いて立ち止まった。
そして振り返ると、大きな買い物袋の底が破けて、商品を道端に散乱させて困っていたリッチーがいたのだ。
マリアは基本的に高慢なので、人助けなんてしない。
そのはずなのだが、その時のマリアは、ころころと足元に転がって来た商品の一つを拾って、リッチーの元まで持って行った。
そして。
――ねえ、そのふりふりした可愛い服、どこに売っているの?
と話しかけたのである。
つまり、困っているリッチーを助けたかったわけではなく、リッチーがあの時に来ていたふりふりのエプロンドレスに興味を持っただけなのだ。
そしてそのあとで(ふりふりした可愛くて派手なものが好きという点において)リッチーと意気投合したわたしは、リッチーの店の常連になったというわけだ。
マリアはどうしようもない高慢で高飛車なお嬢様だったが、不思議と人に対する偏見はないタイプだったのだ。
マリアの世界は自分と、自分が好きな男性たちと、その他大多数に区分されていた。
その他大多数に区分されている人たちの身分や性格やそのほかもろもろなことには区別はつけておらず、はっきり言って、そこまで興味も持っていなかった。
その性格が幸いしたのかどうなのか、リッチーのあの強烈な外見や口調を前にしても、何ら違和感も偏見も覚えなかったのである。
「アレクサンダー様が人の趣味をとやかく言う人だとは思いませんでした」
「……別に、とやかく言うわけではないが、世間の常識からみて、叔父上は外れているということだ。誤解しないでほしいが、別に私は叔父上が嫌いなのではない。押しが強すぎるのが苦手なだけだ」
まあ、リッチーは押しは強いわよねえ。
「リッチーは、いい人ですよ。わたしは好きですけど」
リッチーは、マリアの高慢な態度にも「やっだー、マリアちゃんったら面白ーい」と笑ってくれる優しい人だ。とても心が広い、暖かな人だと思う。
押しは強いし妙なものを売りつけようとしてくるところが玉に瑕だが、それも含めて、わたしはリッチーが嫌いではない。
「そうか。……いや、すまない。母と妹以外に、叔父と普通に付き合う人が周りにいなかったので、少々驚いてしまっただけなんだ」
……苦手だって言ったけど、アレクサンダー様も、リッチーのことが結構好きなんでしょうね。
なんとなく、そんな表情をしている。
押しが強くて戸惑うけど、本当に嫌いならば、リッチーに頼まれて店番なんてしないだろう。あの店はアレクサンダー様の雰囲気からかけ離れているし、本人もあのような妙なものが並んだ店の店番なんてしたくなかったはずだ。
それなのに、頼まれて引き受けると言うことは、リッチーのことが好きだからに決まっている。
……素直じゃないなあ。やっぱり、ツンデレ要員。
わたしがまじまじと見つめると、アレクサンダー様はほんのちょっとだけ耳を赤くして、プイっと横を向く。
「私が言えた義理ではないが……その、叔父上とこれからも仲良くしてやってくれ。叔父上は君が気に入っているようだ」
ふふ、ツンデレの、ちょいデレが見られた気分!
わたしが心の中でにやにやしていると、馬車がゆっくりと、城の玄関前に停車した。
656
お気に入りに追加
2,093
あなたにおすすめの小説
婚約破棄にも寝過ごした
シアノ
恋愛
悪役令嬢なんて面倒くさい。
とにかくひたすら寝ていたい。
三度の飯より睡眠が好きな私、エルミーヌ・バタンテールはある朝不意に、この世界が前世にあったドキラブ夢なんちゃらという乙女ゲームによく似ているなーと気が付いたのだった。
そして私は、悪役令嬢と呼ばれるライバルポジションで、最終的に断罪されて塔に幽閉されて一生を送ることになるらしい。
それって──最高じゃない?
ひたすら寝て過ごすためなら努力も惜しまない!まずは寝るけど!おやすみなさい!
10/25 続きました。3はライオール視点、4はエルミーヌ視点です。
これで完結となります。ありがとうございました!
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
すべてを奪われた少女は隣国にて返り咲く
狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
サーラには秘密がある。
絶対に口にはできない秘密と、過去が。
ある日、サーラの住む町でちょっとした事件が起こる。
両親が営むパン屋の看板娘として店に立っていたサーラの元にやってきた男、ウォレスはその事件について調べているようだった。
事件を通して知り合いになったウォレスは、その後も頻繁にパン屋を訪れるようになり、サーラの秘密があることに気づいて暴こうとしてきてーー
これは、つらい過去を持った少女が、一人の男性と出会い、過去と、本来得るはずだった立場を取り戻して幸せをつかむまでのお話です。
「華がない」と婚約破棄された私が、王家主催の舞踏会で人気です。
百谷シカ
恋愛
「君には『華』というものがない。そんな妻は必要ない」
いるんだかいないんだかわからない、存在感のない私。
ニネヴィー伯爵令嬢ローズマリー・ボイスは婚約を破棄された。
「無難な妻を選んだつもりが、こうも無能な娘を生むとは」
父も私を見放し、母は意気消沈。
唯一の望みは、年末に控えた王家主催の舞踏会。
第1王子フランシス殿下と第2王子ピーター殿下の花嫁選びが行われる。
高望みはしない。
でも多くの貴族が集う舞踏会にはチャンスがある……はず。
「これで結果を出せなければお前を修道院に入れて離婚する」
父は無慈悲で母は絶望。
そんな私の推薦人となったのは、ゼント伯爵ジョシュア・ロス卿だった。
「ローズマリー、君は可愛い。君は君であれば完璧なんだ」
メルー侯爵令息でもありピーター殿下の親友でもあるゼント伯爵。
彼は私に勇気をくれた。希望をくれた。
初めて私自身を見て、褒めてくれる人だった。
3ヶ月の準備期間を経て迎える王家主催の舞踏会。
華がないという理由で婚約破棄された私は、私のままだった。
でも最有力候補と噂されたレーテルカルノ伯爵令嬢と共に注目の的。
そして親友が推薦した花嫁候補にピーター殿下はとても好意的だった。
でも、私の心は……
===================
(他「エブリスタ」様に投稿)
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる