49 / 112
第一部 街角パン屋の訳あり娘
男の正体 3
しおりを挟む
ウォレスが来店した五分後に、リジーがやって来た。
マルセルは店の前に停められている御者席に座ったままだが、ウォレスはすでにマルセルから報告を受けているそうで、リジーがいれば問題ないらしい。
いつも通り飲食スペースで話をするらしいので、紅茶を三つ入れる。
ブリオッシュを出してやると、ウォレスが目を丸くした後で嬉しそうに破顔した。
「珍しいな、いつもはこの時間には売り切れているのに」
「今日はたまたまです」
ウォレスのために一つ取り置きしていたとは言わず、サーラは笑ってごまかした。
「サーラぁ」
「リジーはこっち」
リジーの前にはクイニーアマンを出してやる。
リジーが目を丸くした。
「あれ? 今までクイニーアマン、なかったよね?」
「お父さんが冬限定で出そうって考えてるみたいで。これは試作品。ちょっと手間なのと、材料費もかかるから銅貨四枚で出す予定なんだけど、感想聞かせてくれない?」
「菓子屋のリジーさんに甘いものの感想を求めるなんて、なかなか自信家ですなあサーラさんや」
いったい誰の物まねだと突っ込みたくなるような妙な言い方をして、リジーがにんまりと笑う。
ブリオッシュを食べようと手を伸ばしたウォレスが、クイニーアマンを見てちょっともの言いたげな顔をしたので、サーラは苦笑して彼の前にも出してやった。
ウォレスが満足そうな顔をする。
「サーラは食べないの?」
「ここのところお父さんがずっと試作品を作ってて、朝とおやつは毎日クイニーアマンだから、わたしはいいわ」
美味しいが、甘いしバターもたっぷり使ってあるのでさすがに量は食べれない。
バターと、それから表面のカラメルの配合をアドルフが悩んでいて、すでに三十回くらい試作品を作っているのだ。リジーとウォレスに出したのは、その中でアドルフが一番気に入っている配合で作ったものである。
ちなみに甘すぎるものが苦手なシャルは、毎朝出されるクイニーアマンに早くも辟易としてきているので、父にはそろそろ決めてほしいものだ。
ウォレスも、ブリオッシュより先にクイニーアマンに手を伸ばした。新しいものが気になるようである。
サクサクと二人がクイニーアマンを食べるのを、サーラはのんびりと紅茶を飲みながら観察する。表情を見るに、合格だろうか。
じっと見つめると、リジーがぐっと親指を立てた。
「ほいひいよ」
「口の中のもの流し込んでからしゃべりなよ」
サーラが笑うと、リジーがごくんと咀嚼していた口の中のものを嚥下して、もう一度親指を立てる。
「美味しいよ! 銅貨四枚でも全然買うね!」
リジーのお墨付きをもらってホッとしていると、ウォレスが唇を親指の腹でぬぐいながら頷く。
「美味いな。だが、期間限定と言うが、毎日どのくらい作るんだ?」
「最初は少なめにして、様子を見るつもりですが……」
「……それなら残らない可能性があるな」
ウォレスが難しい顔で考え込んだ。クイニーアマンが気に入ったらしい。
(お城にはもっと美味しいものがたくさんあるでしょうにね)
ウォレスは相変わらず、ポルポルのパンをたくさん購入してくれる。
しかしそれは、本人が来る十時ごろに買って帰るか、もしくはウォレスに代わりにマルセルが夕方に買いに来るかなので、その時間に店に並んでいるものばかりだ。
つまり、ブリオッシュのように人気ですぐに売り切れる商品は、なかなか購入するパンの中には紛れ込まない。
「あらかじめ注文しておけば余分に焼いてもらえるのか?」
そうまでして食べたいのだろうか。
サーラは噴き出しそうになった。
「父一人で焼いているもので、余裕があれば受け付けられますけど、状況によると思います」
「そうか……」
「大量には無理ですけど、あらかじめ連絡をもらえれば、一つ、二つくらいならこっそり取り置きしておきますよ」
しょんぼりと肩を落としたウォレスが何だか可哀想で、妥協案を提示すれば、彼はパッと笑った。
「それがいい! そうしよう」
ウォレスがクイニーアマンを手に入れる算段が付いたところで、サーラ達は今日の本題に移ることにした。
「カリヤの部屋に残されたレジスの私物だが、マルセルからの報告では、銅貨が積められた袋が四袋、それから着替えしかなかったそうだが、間違いはないか?」
「間違いないです! そしてカリヤさんとも少しだけ話ができたんですけど、カリヤさんによると、レジスって男はカリヤさんにも愚痴をこぼしていたらしいです。ええっと、何でも、大金が手に入る約束だったのに、騙された。カリヤさんを身請けする予定だったのに、すぐには無理になった。それどころかこんなことになっちまって、俺はどうしたらいいんだ……。みたいな愚痴だそうです」
「なるほど。じゃあ、レジスさんが『許さない』と言っていた相手は、彼を騙したその相手である可能性が高いわね」
そしてレジスを騙した相手が、贋金製造の関係者であるかどうか。
「でも、変ね……」
「何が?」
リジーが首をひねる。
「レジスさんの持ち物よ。銅貨と着替えしかなかったんでしょ? 肝心のものがないわ」
「肝心のもの?」
「偽の銀貨と、銀貨の鋳造に使った鋳型か」
ウォレスが顎を撫でながら眉を寄せる。
「そうです。銀貨を使うという仕事を受けた男……ええっと、エタンさんでしたっけ? 彼が捕縛されたことで、銀貨を使うという行為はストップになったはずです。倉庫に偽の銀貨が残されたまま放置されていたと聞きますが、偽の銀貨がそれだけしかなかったとは言い切れません。少なくとも贋金を製造したのがレジスさんなら、鋳型がないのはおかしいです」
サーラは少し前の情報を思い出す。
今の時点で、贋金の事件に関与していたと考えられる人物でわかっているのは三人だ。
まずはエタン。
彼は「倉庫にある銀貨を使う」という割のいい仕事をコームという名の知人から請け負った男であり、サーラのパン屋ポルポルに、倉庫に置いてある銀貨――すなわち贋金で買い物に来た人物だ。
エタンはその後捕らえられて、自分が雇われた身であると自白している。
次にエタンに仕事を紹介した、彼の知人であるコーム。
コームもまた、何者かに「倉庫にある銀貨を使う仕事」を知り合いに斡旋するように頼まれていたと考えられる。
そして彼は、西の三番通りにある空き家を借りていたようだが、サーラ達が肝試しでその家を捜索していた際に、地下のワイン庫で死んでいるのが発見された。他殺の線が濃厚だ。
コームが借りた家の鍵を、第三者の男が返しに来たと言う情報が家主から得られたため、コームを介してエタンに仕事を出した「雇い主」がそれであろうと当たりをつけていた。コーム殺害の容疑者でもある。
最後にレジス。
レジスがコームの「雇い主」である可能性はまだわからない。それを確認するにはレジスの似顔絵を持って、西の三番通りの空き家の家主に、鍵を返しに来た男と一致するかどうかを確かめる必要があるだろう。
もし一致した場合、レジスは贋金を使うように指示をした「雇い主」であり、コーム殺害の容疑者になるが、すでに死亡してしまっているため、本人の口から詳細を語らせるのは難しい。
そしてレジスは何者かに騙され、その相手を恨んでいた。
それが贋金事件に関係しているのならば、関係者はまだほかにいる。
「贋金を鋳造していたのがレジスさんなのか、その背後にいる別の人物なのかはわかりませんが、贋金の鋳型なんてものは、おいそれと処分できないでしょう?」
「そうだな。処分するにしても、確実に見つからないように処分するだろう」
「偽の銀貨にしてもそうです。もし手元に残っていたのならば、不用意に使うとそこから足がつく可能性があります。どのくらいの数が手元にあったのかは知りませんが、処分するにも人目につかないようにこっそり、そしてそう簡単に見つからない場所に捨てるはずです」
「それがレジスの手元になかったと言うことは、レジスの他の関係者が持っているか、もしくはどこかに捨てたか、か。あれほど精巧な偽の銀貨はこちらとしてもできるだけ……できればすべて回収しておきたい。下手に市場に出回ると厄介だからな。鋳型にしても証拠品として押収したいが、もしレジスが捨てたのならば、捨てたものを探さなくてはな」
サーラがウォレスと難しい顔で話していると、リジーはぱちぱちと目をしばたたいた。
「なんか、とっても大変なのね……」
「そうね。一歩前進したけど、その分謎が深まったって感じよ」
「すぐには片がつかないのは間違いない。今はできることをするしかないな。まずはレジスが贋金と鋳型を処分したと仮定して、それを人海戦術で探すしかないだろう」
人海戦術、と聞いてサーラはこっそり息を吐いた。
(ごめんお兄ちゃん……、たぶん仕事増えたわ)
間違いなく市民警察が動員されるのを予測して、サーラは心の中でシャルに謝罪する。
多忙を極めたシャルが「騎士のやつら人使いが荒すぎる‼」と激怒する日は近いだろう。
ウォレスがブリオッシュに手を伸ばした。
これ以上この件で話すことはなさそうなので、サーラは紅茶のお代わりを入れるために立ち上がる。
「せめてレジスが生きてさえいれば、捜査が一気に進んだかもしれないのにな」
ウォレスの舌打ちを聞きながら、サーラの脳裏に、「口封じ」と言う単語が浮かんで消えた。
マルセルは店の前に停められている御者席に座ったままだが、ウォレスはすでにマルセルから報告を受けているそうで、リジーがいれば問題ないらしい。
いつも通り飲食スペースで話をするらしいので、紅茶を三つ入れる。
ブリオッシュを出してやると、ウォレスが目を丸くした後で嬉しそうに破顔した。
「珍しいな、いつもはこの時間には売り切れているのに」
「今日はたまたまです」
ウォレスのために一つ取り置きしていたとは言わず、サーラは笑ってごまかした。
「サーラぁ」
「リジーはこっち」
リジーの前にはクイニーアマンを出してやる。
リジーが目を丸くした。
「あれ? 今までクイニーアマン、なかったよね?」
「お父さんが冬限定で出そうって考えてるみたいで。これは試作品。ちょっと手間なのと、材料費もかかるから銅貨四枚で出す予定なんだけど、感想聞かせてくれない?」
「菓子屋のリジーさんに甘いものの感想を求めるなんて、なかなか自信家ですなあサーラさんや」
いったい誰の物まねだと突っ込みたくなるような妙な言い方をして、リジーがにんまりと笑う。
ブリオッシュを食べようと手を伸ばしたウォレスが、クイニーアマンを見てちょっともの言いたげな顔をしたので、サーラは苦笑して彼の前にも出してやった。
ウォレスが満足そうな顔をする。
「サーラは食べないの?」
「ここのところお父さんがずっと試作品を作ってて、朝とおやつは毎日クイニーアマンだから、わたしはいいわ」
美味しいが、甘いしバターもたっぷり使ってあるのでさすがに量は食べれない。
バターと、それから表面のカラメルの配合をアドルフが悩んでいて、すでに三十回くらい試作品を作っているのだ。リジーとウォレスに出したのは、その中でアドルフが一番気に入っている配合で作ったものである。
ちなみに甘すぎるものが苦手なシャルは、毎朝出されるクイニーアマンに早くも辟易としてきているので、父にはそろそろ決めてほしいものだ。
ウォレスも、ブリオッシュより先にクイニーアマンに手を伸ばした。新しいものが気になるようである。
サクサクと二人がクイニーアマンを食べるのを、サーラはのんびりと紅茶を飲みながら観察する。表情を見るに、合格だろうか。
じっと見つめると、リジーがぐっと親指を立てた。
「ほいひいよ」
「口の中のもの流し込んでからしゃべりなよ」
サーラが笑うと、リジーがごくんと咀嚼していた口の中のものを嚥下して、もう一度親指を立てる。
「美味しいよ! 銅貨四枚でも全然買うね!」
リジーのお墨付きをもらってホッとしていると、ウォレスが唇を親指の腹でぬぐいながら頷く。
「美味いな。だが、期間限定と言うが、毎日どのくらい作るんだ?」
「最初は少なめにして、様子を見るつもりですが……」
「……それなら残らない可能性があるな」
ウォレスが難しい顔で考え込んだ。クイニーアマンが気に入ったらしい。
(お城にはもっと美味しいものがたくさんあるでしょうにね)
ウォレスは相変わらず、ポルポルのパンをたくさん購入してくれる。
しかしそれは、本人が来る十時ごろに買って帰るか、もしくはウォレスに代わりにマルセルが夕方に買いに来るかなので、その時間に店に並んでいるものばかりだ。
つまり、ブリオッシュのように人気ですぐに売り切れる商品は、なかなか購入するパンの中には紛れ込まない。
「あらかじめ注文しておけば余分に焼いてもらえるのか?」
そうまでして食べたいのだろうか。
サーラは噴き出しそうになった。
「父一人で焼いているもので、余裕があれば受け付けられますけど、状況によると思います」
「そうか……」
「大量には無理ですけど、あらかじめ連絡をもらえれば、一つ、二つくらいならこっそり取り置きしておきますよ」
しょんぼりと肩を落としたウォレスが何だか可哀想で、妥協案を提示すれば、彼はパッと笑った。
「それがいい! そうしよう」
ウォレスがクイニーアマンを手に入れる算段が付いたところで、サーラ達は今日の本題に移ることにした。
「カリヤの部屋に残されたレジスの私物だが、マルセルからの報告では、銅貨が積められた袋が四袋、それから着替えしかなかったそうだが、間違いはないか?」
「間違いないです! そしてカリヤさんとも少しだけ話ができたんですけど、カリヤさんによると、レジスって男はカリヤさんにも愚痴をこぼしていたらしいです。ええっと、何でも、大金が手に入る約束だったのに、騙された。カリヤさんを身請けする予定だったのに、すぐには無理になった。それどころかこんなことになっちまって、俺はどうしたらいいんだ……。みたいな愚痴だそうです」
「なるほど。じゃあ、レジスさんが『許さない』と言っていた相手は、彼を騙したその相手である可能性が高いわね」
そしてレジスを騙した相手が、贋金製造の関係者であるかどうか。
「でも、変ね……」
「何が?」
リジーが首をひねる。
「レジスさんの持ち物よ。銅貨と着替えしかなかったんでしょ? 肝心のものがないわ」
「肝心のもの?」
「偽の銀貨と、銀貨の鋳造に使った鋳型か」
ウォレスが顎を撫でながら眉を寄せる。
「そうです。銀貨を使うという仕事を受けた男……ええっと、エタンさんでしたっけ? 彼が捕縛されたことで、銀貨を使うという行為はストップになったはずです。倉庫に偽の銀貨が残されたまま放置されていたと聞きますが、偽の銀貨がそれだけしかなかったとは言い切れません。少なくとも贋金を製造したのがレジスさんなら、鋳型がないのはおかしいです」
サーラは少し前の情報を思い出す。
今の時点で、贋金の事件に関与していたと考えられる人物でわかっているのは三人だ。
まずはエタン。
彼は「倉庫にある銀貨を使う」という割のいい仕事をコームという名の知人から請け負った男であり、サーラのパン屋ポルポルに、倉庫に置いてある銀貨――すなわち贋金で買い物に来た人物だ。
エタンはその後捕らえられて、自分が雇われた身であると自白している。
次にエタンに仕事を紹介した、彼の知人であるコーム。
コームもまた、何者かに「倉庫にある銀貨を使う仕事」を知り合いに斡旋するように頼まれていたと考えられる。
そして彼は、西の三番通りにある空き家を借りていたようだが、サーラ達が肝試しでその家を捜索していた際に、地下のワイン庫で死んでいるのが発見された。他殺の線が濃厚だ。
コームが借りた家の鍵を、第三者の男が返しに来たと言う情報が家主から得られたため、コームを介してエタンに仕事を出した「雇い主」がそれであろうと当たりをつけていた。コーム殺害の容疑者でもある。
最後にレジス。
レジスがコームの「雇い主」である可能性はまだわからない。それを確認するにはレジスの似顔絵を持って、西の三番通りの空き家の家主に、鍵を返しに来た男と一致するかどうかを確かめる必要があるだろう。
もし一致した場合、レジスは贋金を使うように指示をした「雇い主」であり、コーム殺害の容疑者になるが、すでに死亡してしまっているため、本人の口から詳細を語らせるのは難しい。
そしてレジスは何者かに騙され、その相手を恨んでいた。
それが贋金事件に関係しているのならば、関係者はまだほかにいる。
「贋金を鋳造していたのがレジスさんなのか、その背後にいる別の人物なのかはわかりませんが、贋金の鋳型なんてものは、おいそれと処分できないでしょう?」
「そうだな。処分するにしても、確実に見つからないように処分するだろう」
「偽の銀貨にしてもそうです。もし手元に残っていたのならば、不用意に使うとそこから足がつく可能性があります。どのくらいの数が手元にあったのかは知りませんが、処分するにも人目につかないようにこっそり、そしてそう簡単に見つからない場所に捨てるはずです」
「それがレジスの手元になかったと言うことは、レジスの他の関係者が持っているか、もしくはどこかに捨てたか、か。あれほど精巧な偽の銀貨はこちらとしてもできるだけ……できればすべて回収しておきたい。下手に市場に出回ると厄介だからな。鋳型にしても証拠品として押収したいが、もしレジスが捨てたのならば、捨てたものを探さなくてはな」
サーラがウォレスと難しい顔で話していると、リジーはぱちぱちと目をしばたたいた。
「なんか、とっても大変なのね……」
「そうね。一歩前進したけど、その分謎が深まったって感じよ」
「すぐには片がつかないのは間違いない。今はできることをするしかないな。まずはレジスが贋金と鋳型を処分したと仮定して、それを人海戦術で探すしかないだろう」
人海戦術、と聞いてサーラはこっそり息を吐いた。
(ごめんお兄ちゃん……、たぶん仕事増えたわ)
間違いなく市民警察が動員されるのを予測して、サーラは心の中でシャルに謝罪する。
多忙を極めたシャルが「騎士のやつら人使いが荒すぎる‼」と激怒する日は近いだろう。
ウォレスがブリオッシュに手を伸ばした。
これ以上この件で話すことはなさそうなので、サーラは紅茶のお代わりを入れるために立ち上がる。
「せめてレジスが生きてさえいれば、捜査が一気に進んだかもしれないのにな」
ウォレスの舌打ちを聞きながら、サーラの脳裏に、「口封じ」と言う単語が浮かんで消えた。
141
お気に入りに追加
706
あなたにおすすめの小説
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
側妃を迎えたいと言ったので、了承したら溺愛されました
ひとみん
恋愛
タイトル変更しました!旧「国王陛下の長い一日」です。書いているうちに、何かあわないな・・・と。
内容そのまんまのタイトルです(笑
「側妃を迎えたいと思うのだが」国王が言った。
「了承しました。では今この時から夫婦関係は終了という事でいいですね?」王妃が言った。
「え?」困惑する国王に彼女は一言。「結婚の条件に書いていますわよ」と誓約書を見せる。
其処には確かに書いていた。王妃が恋人を作る事も了承すると。
そして今更ながら国王は気付く。王妃を愛していると。
困惑する王妃の心を射止めるために頑張るヘタレ国王のお話しです。
ご都合主義のゆるゆる設定です。
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる