2 / 118
第一部 街角パン屋の訳あり娘
幽霊になった男 2
しおりを挟む
夜――
日が完全に落ちるころに店を閉め、店の二階のダイニングに母グレースの作った夕食を並べていると、兄のシャルが返って来た。
赤茶色の髪に黒い瞳をした、すらりと背の高いシャルを見上げて、サーラはふと、昼前にやって来た男の客のことを思い出した。
あの客も、シャルに負けず劣らず背が高かった。
「どうした?」
無意識のうちに眉を寄せていたのだろう、シャルが手を洗ってダイニングチェアに腰かけながら訊ねてくる。
「ちょっと、昼前に来た変な客のことを思い出して……」
「変な客?」
「ああ、もしかしたらあの客かな」
ダイニングチェアに座って今日の夕刊に目を通していた父アドルフが顔を上げる。
「今あるパンを全部買って行った羽振りのいいお客さんのことだろう?」
「へえ、それは変な客だな。ありがたいにはありがたいけど……」
アドルフの言うことは間違っていないが、サーラがあの客を「変」だと言った理由は別のものだ。
サーラは肩をすくめて、その客についてシャルに説明した。
「店に入って来たと思ったら、オードラン商会の商会長について何か知らないかと言われたのよ。ちょうどリジーから今朝の事件の話を聞いた後だったから、西の川で水死体で見つかったって聞いたって答えたんだけど、そうしたら、商会長が誰かに恨まれているとか、トラブルに巻き込まれていたとか、そういった類のことを知らないかって言いだしたの。商会長と会ったことなんてないから、もちろん知らないですって答えたら、ありがとうって店のパンを全部買っていったのよ」
「そりゃあ本当に変な客だ」
シャルがあきれた顔で頷いた。
「おかげでお父さんは急いでお昼に並べるパンを焼きなおさなくちゃいけなくて、すっごく大変だったのよ」
「今日はいつもの倍は働いた気分だねえ」
肩を叩く仕草をしながらアドルフが笑う。
「ふふ、でもそのおかげで今日はちょっと豪勢ですよ」
グレースがメインの牛肉のワイン煮込みを持ってやってくる。
今日は目が回るほど頑張ったからと、グレースが手間暇かけて作ったアドルフの大好物である。
「おお、これは美味しそうだ」
アドルフは夕刊をたたむと、目を輝かせて深皿を見やった。
じっくり煮込まれた牛肉はホロホロと崩れるほど柔らかく、ワインと一緒に入れて煮込まれた香草の香りが食欲をそそる。
あとは残りのパンを食卓に並べると、今夜の夕食は完成だ。
夕食に舌鼓を打ちながら話すのは、もちろんリジーの聞いた今朝の事件のことである。
「それで、亡くなったのは本当に商会長だったの?」
「本当にってどういう意味だ?」
シャルがパンと一緒にワイン煮込みを口に入れながら首をひねる。
「リジーから、商会長が幽霊になったなんて変な話を聞いたのよ」
「ああ、あれか」
シャルは途端に渋面になった。
「そういう顔をするってことは、本当に亡くなった商会長を見たって人がいるの?」
「いるよ。しかも二十人以上もね。一人や二人なら見間違いですまされるけど、さすがに二十人を超えると見間違いで片づけにくい。だがうちは市民警察だからね、幽霊なんてものは専門外だ。死んだ商会長がこれ以上幽霊となって彷徨わないよう祈祷するだのなんだのと言いだした奴もいるにはいるが、そんなことは遺族がすればいい。俺たちの出番じゃないはずなのに、祈祷するために事故なのか自殺なのかの死因を特定しろと遺族が騒いで面倒で仕方がない」
「祈祷するのに事故か自殺かを定かにする必要があるの?」
「祈祷の仕方が違うんだとさ。自殺したら死後の労役があると言われているだろう? 労役が軽くなるように教会にたくさんのお金を積まなければならないし、事故なら事故で、現世への未練を断ち切るようにしてもらわなくてはならないらしい」
「へえ、そうなのね」
つまりは教会への献金額の問題ということか。自殺の方が高くつく。だからできれば事故であると断定してほしい、というのが遺族の本音だろう。
毎年似たような事故が起こるので、今回も事故と断定してもよさそうなものだが、断定できないだけの理由があるのだろうか。
「事故って断定できないのは、幽霊の噂の問題?」
「いや、それだけじゃない。商会長は真面目な人で、娼館に出入りしたことは一度もないらしい。あのあたりの飲み屋にも行かないし、遺体が発見された前夜、商会長の姿をあのあたりで目撃した人間は一人もいなかったんだ。橋の上で馬車が立ち往生したようだって話は聞いたが、あれは濡れた石橋の上を馬が怖がったのか、立ち止まっただけで、載っていたのが商会長だった証拠はないし、第一馬車から降りて商会長が川に飛び込んだりしたら、馬車の御者が大慌てで人を呼ぶはずだろう。事件とは関係ない」
「ふぅん……。でもそれだけだと、事故はともかく自殺の線を考えるのは弱くない?」
自殺が死因の候補に上がった理由は何だろう。
すると、シャルは少しいいにくそうに答えた。
「……失恋が原因で自殺したんじゃないかって、誰かが言ったんだ。上がった遺体を調べたが、持ち物には財布などの貴重品がまったくなかった。自殺するから置いて行ったのではないかとも考えられる」
「失恋? 商会長って独身だったの?」
「ああ。三十二歳で妻も子もいない。なかなかの美丈夫で、女性には非常にモテるそうだが、何年も前から一途に一人の女性を想い続けていたそうだ」
「失恋したって断定できた理由は?」
「相手が結婚していて子供もいるからだ。商会長が出会った何年も前の時点で結婚していた」
「……あー」
それは想い続けても仕方のない相手だ。相手が離婚なり夫と死別なりすれば可能性はゼロではないかもしれないが、そんな夢が現実になる可能性は極めて低い。
しかし、失恋で自殺と言うのも、サーラにはピンとこなかった。
サーラが商会長に会ったことは一度もなく、その人となりについては何も知らないけれど、一代で商会を大きく成長させたやり手の商会長が、失恋ごときで命を絶つほど繊細だろうかと思ったのだ。
「ほらほら二人とも、食べる手が止まっているよ」
話に夢中になって手が止まっていたらしい。
アドルフの注意を受けて、サーラはハッとして食事を再開する。せっかくの美味しい食事だ。冷めてはもったいない。
物騒な話を切り辞めて食事に集中していると、ふと顔を上げたシャルがそっと手を伸ばしてサーラの髪に触れた。
「……ここ、色が落ちかけているよ」
サーラはシャルに指摘された耳の後ろの当たりに触れて、困ったように笑った。
「ありがとう。……今夜にでも染め直しておくわ」
シャルが指摘したところの髪は、うっすらと金色がかっていた。
日が完全に落ちるころに店を閉め、店の二階のダイニングに母グレースの作った夕食を並べていると、兄のシャルが返って来た。
赤茶色の髪に黒い瞳をした、すらりと背の高いシャルを見上げて、サーラはふと、昼前にやって来た男の客のことを思い出した。
あの客も、シャルに負けず劣らず背が高かった。
「どうした?」
無意識のうちに眉を寄せていたのだろう、シャルが手を洗ってダイニングチェアに腰かけながら訊ねてくる。
「ちょっと、昼前に来た変な客のことを思い出して……」
「変な客?」
「ああ、もしかしたらあの客かな」
ダイニングチェアに座って今日の夕刊に目を通していた父アドルフが顔を上げる。
「今あるパンを全部買って行った羽振りのいいお客さんのことだろう?」
「へえ、それは変な客だな。ありがたいにはありがたいけど……」
アドルフの言うことは間違っていないが、サーラがあの客を「変」だと言った理由は別のものだ。
サーラは肩をすくめて、その客についてシャルに説明した。
「店に入って来たと思ったら、オードラン商会の商会長について何か知らないかと言われたのよ。ちょうどリジーから今朝の事件の話を聞いた後だったから、西の川で水死体で見つかったって聞いたって答えたんだけど、そうしたら、商会長が誰かに恨まれているとか、トラブルに巻き込まれていたとか、そういった類のことを知らないかって言いだしたの。商会長と会ったことなんてないから、もちろん知らないですって答えたら、ありがとうって店のパンを全部買っていったのよ」
「そりゃあ本当に変な客だ」
シャルがあきれた顔で頷いた。
「おかげでお父さんは急いでお昼に並べるパンを焼きなおさなくちゃいけなくて、すっごく大変だったのよ」
「今日はいつもの倍は働いた気分だねえ」
肩を叩く仕草をしながらアドルフが笑う。
「ふふ、でもそのおかげで今日はちょっと豪勢ですよ」
グレースがメインの牛肉のワイン煮込みを持ってやってくる。
今日は目が回るほど頑張ったからと、グレースが手間暇かけて作ったアドルフの大好物である。
「おお、これは美味しそうだ」
アドルフは夕刊をたたむと、目を輝かせて深皿を見やった。
じっくり煮込まれた牛肉はホロホロと崩れるほど柔らかく、ワインと一緒に入れて煮込まれた香草の香りが食欲をそそる。
あとは残りのパンを食卓に並べると、今夜の夕食は完成だ。
夕食に舌鼓を打ちながら話すのは、もちろんリジーの聞いた今朝の事件のことである。
「それで、亡くなったのは本当に商会長だったの?」
「本当にってどういう意味だ?」
シャルがパンと一緒にワイン煮込みを口に入れながら首をひねる。
「リジーから、商会長が幽霊になったなんて変な話を聞いたのよ」
「ああ、あれか」
シャルは途端に渋面になった。
「そういう顔をするってことは、本当に亡くなった商会長を見たって人がいるの?」
「いるよ。しかも二十人以上もね。一人や二人なら見間違いですまされるけど、さすがに二十人を超えると見間違いで片づけにくい。だがうちは市民警察だからね、幽霊なんてものは専門外だ。死んだ商会長がこれ以上幽霊となって彷徨わないよう祈祷するだのなんだのと言いだした奴もいるにはいるが、そんなことは遺族がすればいい。俺たちの出番じゃないはずなのに、祈祷するために事故なのか自殺なのかの死因を特定しろと遺族が騒いで面倒で仕方がない」
「祈祷するのに事故か自殺かを定かにする必要があるの?」
「祈祷の仕方が違うんだとさ。自殺したら死後の労役があると言われているだろう? 労役が軽くなるように教会にたくさんのお金を積まなければならないし、事故なら事故で、現世への未練を断ち切るようにしてもらわなくてはならないらしい」
「へえ、そうなのね」
つまりは教会への献金額の問題ということか。自殺の方が高くつく。だからできれば事故であると断定してほしい、というのが遺族の本音だろう。
毎年似たような事故が起こるので、今回も事故と断定してもよさそうなものだが、断定できないだけの理由があるのだろうか。
「事故って断定できないのは、幽霊の噂の問題?」
「いや、それだけじゃない。商会長は真面目な人で、娼館に出入りしたことは一度もないらしい。あのあたりの飲み屋にも行かないし、遺体が発見された前夜、商会長の姿をあのあたりで目撃した人間は一人もいなかったんだ。橋の上で馬車が立ち往生したようだって話は聞いたが、あれは濡れた石橋の上を馬が怖がったのか、立ち止まっただけで、載っていたのが商会長だった証拠はないし、第一馬車から降りて商会長が川に飛び込んだりしたら、馬車の御者が大慌てで人を呼ぶはずだろう。事件とは関係ない」
「ふぅん……。でもそれだけだと、事故はともかく自殺の線を考えるのは弱くない?」
自殺が死因の候補に上がった理由は何だろう。
すると、シャルは少しいいにくそうに答えた。
「……失恋が原因で自殺したんじゃないかって、誰かが言ったんだ。上がった遺体を調べたが、持ち物には財布などの貴重品がまったくなかった。自殺するから置いて行ったのではないかとも考えられる」
「失恋? 商会長って独身だったの?」
「ああ。三十二歳で妻も子もいない。なかなかの美丈夫で、女性には非常にモテるそうだが、何年も前から一途に一人の女性を想い続けていたそうだ」
「失恋したって断定できた理由は?」
「相手が結婚していて子供もいるからだ。商会長が出会った何年も前の時点で結婚していた」
「……あー」
それは想い続けても仕方のない相手だ。相手が離婚なり夫と死別なりすれば可能性はゼロではないかもしれないが、そんな夢が現実になる可能性は極めて低い。
しかし、失恋で自殺と言うのも、サーラにはピンとこなかった。
サーラが商会長に会ったことは一度もなく、その人となりについては何も知らないけれど、一代で商会を大きく成長させたやり手の商会長が、失恋ごときで命を絶つほど繊細だろうかと思ったのだ。
「ほらほら二人とも、食べる手が止まっているよ」
話に夢中になって手が止まっていたらしい。
アドルフの注意を受けて、サーラはハッとして食事を再開する。せっかくの美味しい食事だ。冷めてはもったいない。
物騒な話を切り辞めて食事に集中していると、ふと顔を上げたシャルがそっと手を伸ばしてサーラの髪に触れた。
「……ここ、色が落ちかけているよ」
サーラはシャルに指摘された耳の後ろの当たりに触れて、困ったように笑った。
「ありがとう。……今夜にでも染め直しておくわ」
シャルが指摘したところの髪は、うっすらと金色がかっていた。
184
お気に入りに追加
708
あなたにおすすめの小説
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
window
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【短編】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ、赤ちゃんが生まれる。
誕生を祝いに、領地から父の辺境伯が訪ねてくるのを心待ちにしているアリシア。
でも、夫と赤髪メイドのメリッサが口づけを交わしているのを見てしまう。
「なぜ、メリッサもお腹に赤ちゃんがいるの!?」
アリシアは夫の愛を疑う。
小説家になろう様にも投稿しています。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる