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聖女認定式と星空の告白 1
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「ひぇいひょみんちぇいちき?」
「飲み込んでから言えー」
お兄様の指摘を受けて、わたしは口の中いっぱいに詰め込んだ大好物のハンバーグをごくんと飲み込んだ。
わたしの隣では、綺麗な所作で、けれども嬉しそうにハンバーグを食べているライナルト殿下がいる。
この世界は日本人が開発した乙女ゲームの世界だけあって、食事は日本で食べられていたものが多いが、貴族はハンバーグを……というより、肉をミンチにしたものは食べないとでもゲームの制作者は考えていたのだろうか。ハンバーグとかミートボールとか餃子とか、まあ、その手のひき肉を使った料理は貴族の食卓には並ばないらしい。
が、わたしたち家族はハンバーグとか餃子とかが大好物なので、ロヴァルタ国のフェルゼンシュタイン公爵領ではお母様が料理人に作り方を説明して作ってもらっていた。
シュティリエ国に移住してからは当分食卓に並ばなかったのだが、本日、ようやく! お母様から聞いた作り方をマスターした料理人が夕食に出してくれたのだ。
……うちの料理人、プロ意識がすごくて、納得する味になるまで食卓に出してくれなかったからね。
ライナルト殿下もはじめて食べるハンバーグの味が気に入ったらしい。
所作は優雅だが、口に運ぶスピードが速くて、なんか可愛い。
わたしはナプキンで口元についたソースを拭うと、改めて言いなおした。
「聖女認定式?」
その聞きなれない単語は、先ほどお母様の口から発せられた。
聖女認定式とはなんぞや、と首をひねる。
すると、ぺろりとハンバーグを平らげたライナルト殿下がふんわりと微笑んだ。
「聖女が現れたら、聖女であることを世間に公表するために認定式を行うんだ。と言っても、我が国に聖女が誕生したのは七十年前が最後だと聞いているから、久しぶりの認定式になるな。父上が、昔の資料を引っ張り出して手順を確認していた」
へー、国王陛下自ら手順を確認するんだ。臣下にさせるんじゃなくて。伯父様って、椅子にふんぞり返っているだけじゃなくて、実際に自分の手足も動かす人なのね。なんか感動。
ライナルト殿下が人間の姿に戻って(うさ耳はあるけど)一週間。
殿下は、帽子でうさ耳を隠して、二日に一回くらいの頻度でここから城に通っている。
魔王の呪いのせいでずっと隠されていたから、王子としての仕事はしたことがないし、必要な勉強も足りていないから、仕事したり勉強したりするために通っているんだって。勤勉だよね。
ちなみに、ライナルト殿下が人に戻ったから、王太子はどうなるんだろうって思ったんだけど、そこは第二王子ディートヘルム殿下のままらしい。
ライナルト殿下が、必要な勉強をしてこなかった自分には荷が勝ちすぎている、自分は弟の補佐でいいと言ったため、このまま据え置かれることになったのだ。
だから、ライナルト殿下は今、ディートヘルム殿下が王位を継いだ時に補佐をするためのお勉強をしているのである。
ほーほーと頷いて聞いていたわたしは、そこでハッとした。
「ちょっと待って、その聖女認定式で認定される聖女って……」
「ヴィルヘルミーネだね」
「ヴィルだね」
「ヴィルしかいないでしょ?」
「ヴィル以外に誰がいるんだ?」
ライナルト殿下、お父様、お母様、お兄様が当然だろうという顔で頷いた。
わたしがあんぐりと口を開けた横で、ライナルト殿下が説明を続ける。
「来月には社交シーズンがはじまるからね。ちょうどいいからその時期にあわせて、城で聖女をお披露目しようってことになってね。だからそれに合わせて聖女認定式をするらしいよ」
「聞いてない!」
わたしが青ざめて声を上げると、お母様がのほほんと「そりゃそうよ、今言ったんだもの」なんて言っている。
「聖女認定って、わたし、自分が聖女だって認識もしていないのに!」
聖女だろうとお母様が判断したけど、自分ではいまだによくわかっていないのだ。
お母様曰く、わたしは自分でも知らないうちに聖女の浄化の力を垂れ流している状態らしいけど、垂れ流している自覚がないのだから、自分では聖女かどうかなんて判断できない。
もし間違ってたらどうするんだ、と焦ったけれど、ライナルト殿下もお母様たちもその心配はしていないようだった。
「俺の呪いを解いたんだから、ヴィルヘルミーネが聖女なのは間違いないよ」
「そうよ、わたくしの判断に間違いはないわ」
わたしより周りの人の方が確信を持っている状況ってどうなんだろう。わたしのことなのに。
お母様は残ったハンバーグソースをパンにつけて口に入れる。
それを見たライナルト殿下が真似をして、顔をほころばせた。うん、本当に可愛い! とくにぴくぴく動いているうさ耳、最高! キュン死にしそう! ハンバーグソースって美味しいよね!
「認定式は来週の予定よ。ああ、でも、神殿が用意した衣装を着て、神殿に保管してあるレガリアを受け取って、『わたしが聖女でーす』みたいな宣誓を行えば終わりだから、すぐよすぐ」
……お母様はすっごい軽い言い方をしているけど、聖女ですって宣誓をするのは、そんなに軽いものなのかしら?
レガリアも聖女の威厳を出すために作ったもので、白魔術師が使っている杖を派手にしただけだとお母様は言っているけど、本当か?
「気にしなくっていいのよ。多少失敗したところで聖女を面と向かって馬鹿にするような愚か者は、いやしないから。聖女認定式なんて限られた人間しか参列できないんだから、高位貴族ばっかりだもの。そんな馬鹿な高位貴族は、そうね、少なくともこの国にはいないわよ」
お母様がロヴァルタ国の貴族をちらっと思い出したのは理解した。貴族じゃなくて王族かもしれないけど。
「それにね、認定式は早い方がいいと思うわよ? 浄化の力をコントロールする訓練を受けた方がいいと思うけど、さすがに認定前から堂々と聖女を名乗って白魔術師団で訓練なんてできないでしょ?」
「聖女の訓練って、白魔術師団でするの?」
「そこが一番だと思うわよ。本当は聖女に教えを乞うのがいいんでしょうけど、聖女がほかにいないんだもの。今の白魔術師団長は魔力の流れを見るのが得意だから、彼に任せるのが一番だと思うのよね。ほら、浄化の力も似たようなもんでしょ?」
本当、軽いなーお母様。
でもまあ、垂れ流し状態らしい浄化の力をうまくコントロールできるようになったら、ライナルト殿下の呪いも完全に浄化することができるかもしれないもんね。
そのときはうさ耳も消えるんだろうからちょっと……いやかなり残念な気もするけど、うさ耳が生えたままだとライナルト殿下の日常生活に支障をきたすから、早く消してあげなくてはならないのだ。
仕方ないか、と頷いてわたしはオレンジジュースに手を伸ばす。
搾りたてのオレンジジュースを堪能していると、お母様がけらけら笑いながら言った。
「それにほらー、聖女って箔をつけてからのほうが、ライナルト殿下との婚約発表のときに盛り上がるでしょー?」
ぶほっ!
お母様の爆弾発言にわたしがオレンジジュースを噴き出した横で、ライナルト殿下が、熟れたリンゴのように顔を真っ赤に染めていた。
「飲み込んでから言えー」
お兄様の指摘を受けて、わたしは口の中いっぱいに詰め込んだ大好物のハンバーグをごくんと飲み込んだ。
わたしの隣では、綺麗な所作で、けれども嬉しそうにハンバーグを食べているライナルト殿下がいる。
この世界は日本人が開発した乙女ゲームの世界だけあって、食事は日本で食べられていたものが多いが、貴族はハンバーグを……というより、肉をミンチにしたものは食べないとでもゲームの制作者は考えていたのだろうか。ハンバーグとかミートボールとか餃子とか、まあ、その手のひき肉を使った料理は貴族の食卓には並ばないらしい。
が、わたしたち家族はハンバーグとか餃子とかが大好物なので、ロヴァルタ国のフェルゼンシュタイン公爵領ではお母様が料理人に作り方を説明して作ってもらっていた。
シュティリエ国に移住してからは当分食卓に並ばなかったのだが、本日、ようやく! お母様から聞いた作り方をマスターした料理人が夕食に出してくれたのだ。
……うちの料理人、プロ意識がすごくて、納得する味になるまで食卓に出してくれなかったからね。
ライナルト殿下もはじめて食べるハンバーグの味が気に入ったらしい。
所作は優雅だが、口に運ぶスピードが速くて、なんか可愛い。
わたしはナプキンで口元についたソースを拭うと、改めて言いなおした。
「聖女認定式?」
その聞きなれない単語は、先ほどお母様の口から発せられた。
聖女認定式とはなんぞや、と首をひねる。
すると、ぺろりとハンバーグを平らげたライナルト殿下がふんわりと微笑んだ。
「聖女が現れたら、聖女であることを世間に公表するために認定式を行うんだ。と言っても、我が国に聖女が誕生したのは七十年前が最後だと聞いているから、久しぶりの認定式になるな。父上が、昔の資料を引っ張り出して手順を確認していた」
へー、国王陛下自ら手順を確認するんだ。臣下にさせるんじゃなくて。伯父様って、椅子にふんぞり返っているだけじゃなくて、実際に自分の手足も動かす人なのね。なんか感動。
ライナルト殿下が人間の姿に戻って(うさ耳はあるけど)一週間。
殿下は、帽子でうさ耳を隠して、二日に一回くらいの頻度でここから城に通っている。
魔王の呪いのせいでずっと隠されていたから、王子としての仕事はしたことがないし、必要な勉強も足りていないから、仕事したり勉強したりするために通っているんだって。勤勉だよね。
ちなみに、ライナルト殿下が人に戻ったから、王太子はどうなるんだろうって思ったんだけど、そこは第二王子ディートヘルム殿下のままらしい。
ライナルト殿下が、必要な勉強をしてこなかった自分には荷が勝ちすぎている、自分は弟の補佐でいいと言ったため、このまま据え置かれることになったのだ。
だから、ライナルト殿下は今、ディートヘルム殿下が王位を継いだ時に補佐をするためのお勉強をしているのである。
ほーほーと頷いて聞いていたわたしは、そこでハッとした。
「ちょっと待って、その聖女認定式で認定される聖女って……」
「ヴィルヘルミーネだね」
「ヴィルだね」
「ヴィルしかいないでしょ?」
「ヴィル以外に誰がいるんだ?」
ライナルト殿下、お父様、お母様、お兄様が当然だろうという顔で頷いた。
わたしがあんぐりと口を開けた横で、ライナルト殿下が説明を続ける。
「来月には社交シーズンがはじまるからね。ちょうどいいからその時期にあわせて、城で聖女をお披露目しようってことになってね。だからそれに合わせて聖女認定式をするらしいよ」
「聞いてない!」
わたしが青ざめて声を上げると、お母様がのほほんと「そりゃそうよ、今言ったんだもの」なんて言っている。
「聖女認定って、わたし、自分が聖女だって認識もしていないのに!」
聖女だろうとお母様が判断したけど、自分ではいまだによくわかっていないのだ。
お母様曰く、わたしは自分でも知らないうちに聖女の浄化の力を垂れ流している状態らしいけど、垂れ流している自覚がないのだから、自分では聖女かどうかなんて判断できない。
もし間違ってたらどうするんだ、と焦ったけれど、ライナルト殿下もお母様たちもその心配はしていないようだった。
「俺の呪いを解いたんだから、ヴィルヘルミーネが聖女なのは間違いないよ」
「そうよ、わたくしの判断に間違いはないわ」
わたしより周りの人の方が確信を持っている状況ってどうなんだろう。わたしのことなのに。
お母様は残ったハンバーグソースをパンにつけて口に入れる。
それを見たライナルト殿下が真似をして、顔をほころばせた。うん、本当に可愛い! とくにぴくぴく動いているうさ耳、最高! キュン死にしそう! ハンバーグソースって美味しいよね!
「認定式は来週の予定よ。ああ、でも、神殿が用意した衣装を着て、神殿に保管してあるレガリアを受け取って、『わたしが聖女でーす』みたいな宣誓を行えば終わりだから、すぐよすぐ」
……お母様はすっごい軽い言い方をしているけど、聖女ですって宣誓をするのは、そんなに軽いものなのかしら?
レガリアも聖女の威厳を出すために作ったもので、白魔術師が使っている杖を派手にしただけだとお母様は言っているけど、本当か?
「気にしなくっていいのよ。多少失敗したところで聖女を面と向かって馬鹿にするような愚か者は、いやしないから。聖女認定式なんて限られた人間しか参列できないんだから、高位貴族ばっかりだもの。そんな馬鹿な高位貴族は、そうね、少なくともこの国にはいないわよ」
お母様がロヴァルタ国の貴族をちらっと思い出したのは理解した。貴族じゃなくて王族かもしれないけど。
「それにね、認定式は早い方がいいと思うわよ? 浄化の力をコントロールする訓練を受けた方がいいと思うけど、さすがに認定前から堂々と聖女を名乗って白魔術師団で訓練なんてできないでしょ?」
「聖女の訓練って、白魔術師団でするの?」
「そこが一番だと思うわよ。本当は聖女に教えを乞うのがいいんでしょうけど、聖女がほかにいないんだもの。今の白魔術師団長は魔力の流れを見るのが得意だから、彼に任せるのが一番だと思うのよね。ほら、浄化の力も似たようなもんでしょ?」
本当、軽いなーお母様。
でもまあ、垂れ流し状態らしい浄化の力をうまくコントロールできるようになったら、ライナルト殿下の呪いも完全に浄化することができるかもしれないもんね。
そのときはうさ耳も消えるんだろうからちょっと……いやかなり残念な気もするけど、うさ耳が生えたままだとライナルト殿下の日常生活に支障をきたすから、早く消してあげなくてはならないのだ。
仕方ないか、と頷いてわたしはオレンジジュースに手を伸ばす。
搾りたてのオレンジジュースを堪能していると、お母様がけらけら笑いながら言った。
「それにほらー、聖女って箔をつけてからのほうが、ライナルト殿下との婚約発表のときに盛り上がるでしょー?」
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お母様の爆弾発言にわたしがオレンジジュースを噴き出した横で、ライナルト殿下が、熟れたリンゴのように顔を真っ赤に染めていた。
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