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甘いお菓子につられて
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シヴァはもう、本当に嫌になっていた。
シヴァの部屋のソファの上で、クッションを抱きしめ、ゴロゴロしている友人を見やる。
この男はここを駆け込み寺か何かと勘違いしているのではないだろうか。
最近アスヴィルはほぼ毎日のように城を訪れている。
そうして、シヴァの部屋に来ては、こうして一日をすごして出て行くのだ。ものすごく迷惑である。
それもこれも、ミリアムのせいだ。
ミリアムに恋したこの友人は、しかしミリアムに嫌われているという事実を知って慄き、しかしミリアムの姿を一目見たいとこうして城に訪れている始末だった。
シヴァの部屋でいそいそとミリアムへあてた手紙をしたためるのもやめてほしい。
せめてミリアムから一通でも返事が戻ってきていたら、アスヴィルも少しはシヴァの部屋から出て、ミリアムの様子を見に行くなりなんなりするのだろうが、あの愚妹は一通の返信も送らない。
まあ、あれだけ嫌っている男からの手紙だ。燃やすか何かして、そもそも開けていない可能性が高いだろう。
アスヴィルがミリアムに恋をしてひと月がすぎた。シヴァの目には何ら進展していないように見える。
けれどもこの友人は、あれだけ嫌われていてなお、諦める気はないらしい。
アスヴィルの密かな趣味によって焼かれたチョコチップクッキーが、シヴァの目の前に山のように積んである。本当はミリアムに持って行きたいらしいのだが、勇気が出ずに持っていけないらしいのだ。そのため、こうしてシヴァの部屋において行くのだが。
(まあ、美味いから、かまわないが……)
最初はこんな甘いものを持ってくるなと文句を言っていたシヴァであるが、興味本位で口に入れたこのクッキーの味に魅了されてしまっていた。だからと言ってこんなに山のようには必要ないのだが、気に入っているからアスヴィルが持ってくることをもう拒まない。
シヴァはクッションを抱えて悶々としている友人を見て、少し憐れになった。
使用人を呼びつけて、アスヴィルが焼いたクッキーを数枚紙に包んで持たせ、ミリアムにもって行けと告げる。
そうしてシヴァは、この勝ち目のない友人の初恋が、少しでも好転することを願ったのだった。
シヴァの部屋のソファの上で、クッションを抱きしめ、ゴロゴロしている友人を見やる。
この男はここを駆け込み寺か何かと勘違いしているのではないだろうか。
最近アスヴィルはほぼ毎日のように城を訪れている。
そうして、シヴァの部屋に来ては、こうして一日をすごして出て行くのだ。ものすごく迷惑である。
それもこれも、ミリアムのせいだ。
ミリアムに恋したこの友人は、しかしミリアムに嫌われているという事実を知って慄き、しかしミリアムの姿を一目見たいとこうして城に訪れている始末だった。
シヴァの部屋でいそいそとミリアムへあてた手紙をしたためるのもやめてほしい。
せめてミリアムから一通でも返事が戻ってきていたら、アスヴィルも少しはシヴァの部屋から出て、ミリアムの様子を見に行くなりなんなりするのだろうが、あの愚妹は一通の返信も送らない。
まあ、あれだけ嫌っている男からの手紙だ。燃やすか何かして、そもそも開けていない可能性が高いだろう。
アスヴィルがミリアムに恋をしてひと月がすぎた。シヴァの目には何ら進展していないように見える。
けれどもこの友人は、あれだけ嫌われていてなお、諦める気はないらしい。
アスヴィルの密かな趣味によって焼かれたチョコチップクッキーが、シヴァの目の前に山のように積んである。本当はミリアムに持って行きたいらしいのだが、勇気が出ずに持っていけないらしいのだ。そのため、こうしてシヴァの部屋において行くのだが。
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シヴァはクッションを抱えて悶々としている友人を見て、少し憐れになった。
使用人を呼びつけて、アスヴィルが焼いたクッキーを数枚紙に包んで持たせ、ミリアムにもって行けと告げる。
そうしてシヴァは、この勝ち目のない友人の初恋が、少しでも好転することを願ったのだった。
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