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降ってきた妖精
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五歳の時の一件からというもの、ミリアムにとってアスヴィルは天敵だった。
アスヴィルは、ミリアムの一番上の兄のシヴァと仲がいいらしく、よく城にやってくる。
アスヴィルが来ると聞いた時はミリアムは必ず部屋に引きこもって外には出ず、徹底的にアスヴィルを避けた。
たまに出くわしてしまったときも、完全に視界から追い出し、挨拶一つ交わさなかった。
アスヴィルの方は儀礼的に声をかけてくるのだが、それすらも無視をする。たまに、「返事もできないのか」と厭味を言われた時だけは、もちろん言い返したが。
そうして月日は流れ、ミリアムは十五歳になっていた。
年齢を重ねるにつれ、さすがに幼い時のように分別なく我儘を言うようなことはなくなり、ミリアムは多少周りに配慮できるようになった。
シヴァに言わせればまだまだ充分我儘という評価が下るが、あの兄は思っていても口には出さないし注意もしないので、ミリアムに甘々な両親とデレデレな次兄セリウスの「大人になったねぇ」という評価だけがミリアムの中にある。
ミリアムは今日、水色のドレスを着て、一人で庭の大木の上にいた。
太い枝の上に横になって、昼寝を楽しんでいる。
どうやら今日アスヴィルが城に来るらしいのだが、部屋に籠っている気にはなれず、こうして大木の上で昼寝して時間をつぶそうという魂胆だった。
晩春の暖かい風が通りすぎて、木の上はなかなか快適だった。
昼食を食べたばかりで腹が膨れているので、心地よい風に吹かれて、ミリアムの瞼はすぐに重たくなってくる。
ややして、ミリアムは太い幹の上で、健やかな寝息を立てはじめた。
アスヴィルは、ミリアムの一番上の兄のシヴァと仲がいいらしく、よく城にやってくる。
アスヴィルが来ると聞いた時はミリアムは必ず部屋に引きこもって外には出ず、徹底的にアスヴィルを避けた。
たまに出くわしてしまったときも、完全に視界から追い出し、挨拶一つ交わさなかった。
アスヴィルの方は儀礼的に声をかけてくるのだが、それすらも無視をする。たまに、「返事もできないのか」と厭味を言われた時だけは、もちろん言い返したが。
そうして月日は流れ、ミリアムは十五歳になっていた。
年齢を重ねるにつれ、さすがに幼い時のように分別なく我儘を言うようなことはなくなり、ミリアムは多少周りに配慮できるようになった。
シヴァに言わせればまだまだ充分我儘という評価が下るが、あの兄は思っていても口には出さないし注意もしないので、ミリアムに甘々な両親とデレデレな次兄セリウスの「大人になったねぇ」という評価だけがミリアムの中にある。
ミリアムは今日、水色のドレスを着て、一人で庭の大木の上にいた。
太い枝の上に横になって、昼寝を楽しんでいる。
どうやら今日アスヴィルが城に来るらしいのだが、部屋に籠っている気にはなれず、こうして大木の上で昼寝して時間をつぶそうという魂胆だった。
晩春の暖かい風が通りすぎて、木の上はなかなか快適だった。
昼食を食べたばかりで腹が膨れているので、心地よい風に吹かれて、ミリアムの瞼はすぐに重たくなってくる。
ややして、ミリアムは太い幹の上で、健やかな寝息を立てはじめた。
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