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金色の蛇は魔女がお好き?
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「いやあああああっ」
メリーエルは悲鳴を上げながらユリウスの襟を締め上げた。
ドーンッという音が再び響き、衝撃で天井からパラパラと邸の破片のような欠片が降ってくる。
「ちょっと! なんとかしなさいよ! このままだと家の下敷きじゃないの! っていうかそれよりわたしの研究室が! 魔法薬がっ! 材料がぁああああ!」
「わかった! わかったから首を絞めるな!」
「じゃあ今すぐ何とかしてきなさいよっ! 窓の外で大暴れしてるのあんたの従妹でしょうがっ!」
メリーエルはユリウスの襟元から手を放すと、腕を振り回して叫んだ。
そう、邸の一部を破壊し、なおも攻撃を続けているのは、龍族の王子であるユリウスの従妹であるナナリーである。
癇癪を起こした幼子のように「泥棒魔女!」と叫びながらポンポン火の玉を生み出しては、次々に邸に向かって投げつけてきているのだ。
このままでは、邸をすべて破壊されるか火事になるか、はたまたその両方か――、とにかく大惨事は免れない。
邸はもともとユリウスが魔法で作り出したものだから別にいいのだが、大切な魔法薬やその材料が全滅するのだけは何としても避けたかった。以前に自分で爆破させて半分以上を消滅させてしまったが、それとこれとはわけが違う。今回は全滅の恐れがあるし、なにより自分で破壊するのと人に破壊されるのでは腹立たしさが全然違う。
ユリウスはリビングの窓から外を見やって大げさなため息をつくと、特に焦った様子もなく玄関へ向かった。
ユリウスが出て行ってからしばらくして、続いていた爆発音がぴたりとやむ。
ようやく収まったと胸を撫でおろしたメリーエルは、戻って来たユリウスの背後にちょこちょことついてきたモノを見て目を丸くした。
「ほら、ナナリー! 約束しただろう!」
ユリウスが言えば、彼のうしろにいたモノが拗ねたようにそっぽを向く。
メリーエルはあんぐりと口を開けた。
「……ナナリーって、もしかして、その子?」
ユリウスの背後には、彼の膝ほどの高さまでの小さな銀色の子龍が、メリーエルを威嚇するように小さな翼を広げて立っていた。
メリーエルは悲鳴を上げながらユリウスの襟を締め上げた。
ドーンッという音が再び響き、衝撃で天井からパラパラと邸の破片のような欠片が降ってくる。
「ちょっと! なんとかしなさいよ! このままだと家の下敷きじゃないの! っていうかそれよりわたしの研究室が! 魔法薬がっ! 材料がぁああああ!」
「わかった! わかったから首を絞めるな!」
「じゃあ今すぐ何とかしてきなさいよっ! 窓の外で大暴れしてるのあんたの従妹でしょうがっ!」
メリーエルはユリウスの襟元から手を放すと、腕を振り回して叫んだ。
そう、邸の一部を破壊し、なおも攻撃を続けているのは、龍族の王子であるユリウスの従妹であるナナリーである。
癇癪を起こした幼子のように「泥棒魔女!」と叫びながらポンポン火の玉を生み出しては、次々に邸に向かって投げつけてきているのだ。
このままでは、邸をすべて破壊されるか火事になるか、はたまたその両方か――、とにかく大惨事は免れない。
邸はもともとユリウスが魔法で作り出したものだから別にいいのだが、大切な魔法薬やその材料が全滅するのだけは何としても避けたかった。以前に自分で爆破させて半分以上を消滅させてしまったが、それとこれとはわけが違う。今回は全滅の恐れがあるし、なにより自分で破壊するのと人に破壊されるのでは腹立たしさが全然違う。
ユリウスはリビングの窓から外を見やって大げさなため息をつくと、特に焦った様子もなく玄関へ向かった。
ユリウスが出て行ってからしばらくして、続いていた爆発音がぴたりとやむ。
ようやく収まったと胸を撫でおろしたメリーエルは、戻って来たユリウスの背後にちょこちょことついてきたモノを見て目を丸くした。
「ほら、ナナリー! 約束しただろう!」
ユリウスが言えば、彼のうしろにいたモノが拗ねたようにそっぽを向く。
メリーエルはあんぐりと口を開けた。
「……ナナリーって、もしかして、その子?」
ユリウスの背後には、彼の膝ほどの高さまでの小さな銀色の子龍が、メリーエルを威嚇するように小さな翼を広げて立っていた。
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