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魔女は根にもつ生き物です
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あのあとメリーエルは警戒した男たちに容赦なく簀巻きにされて、荷物のように馬車に詰め込まれ、国境付近の山奥にぽいっとゴミのように捨てられた。
男たちが消えたあと、やってきたユリウスによって簀巻き状態から解放されて、山奥にユリウスが建てた邸で暮らすことになったのだが、あの時の恨みは忘れていない。
「あいつら、たしか近衛隊のやつらなのよ」
ユリウスが作ったパンプキンパイに舌鼓を打ちながら、メリーエルがちっと舌打ちする。
「わたしをゴミみたいに捨てた恨みは忘れていないわ」
「……もとはと言えば、お前が大暴れしたのが悪いんじゃないのか?」
「だって、あの暑苦しい見た目で掴みかかってくるのよ! 暴れるに決まってるじゃないの」
メリーエルは大口を開けてパンプキンタルトの最後のひとかけを口の中に押し込むと、もぐもぐと咀嚼しながら指先でハリネズミ茸をつつく。
「魔女を怒らせると怖いってことをわからせてやらなくっちゃ」
「つまり?」
「んふふっ、――いい実験体でしょ?」
「―――」
ユリウスはちらりとハリネズミ茸に視線を向けて、はあ、と嘆息した。
「どうだっていいが――、もう少し役に立ちそうな魔法薬を研究したらどうなんだ?」
メリーエルはユリウスの突っ込みをきれいさっぱり無視すると、大事そうにハリネズミ茸を持って、魔法薬の研究室に向かったのだった。
男たちが消えたあと、やってきたユリウスによって簀巻き状態から解放されて、山奥にユリウスが建てた邸で暮らすことになったのだが、あの時の恨みは忘れていない。
「あいつら、たしか近衛隊のやつらなのよ」
ユリウスが作ったパンプキンパイに舌鼓を打ちながら、メリーエルがちっと舌打ちする。
「わたしをゴミみたいに捨てた恨みは忘れていないわ」
「……もとはと言えば、お前が大暴れしたのが悪いんじゃないのか?」
「だって、あの暑苦しい見た目で掴みかかってくるのよ! 暴れるに決まってるじゃないの」
メリーエルは大口を開けてパンプキンタルトの最後のひとかけを口の中に押し込むと、もぐもぐと咀嚼しながら指先でハリネズミ茸をつつく。
「魔女を怒らせると怖いってことをわからせてやらなくっちゃ」
「つまり?」
「んふふっ、――いい実験体でしょ?」
「―――」
ユリウスはちらりとハリネズミ茸に視線を向けて、はあ、と嘆息した。
「どうだっていいが――、もう少し役に立ちそうな魔法薬を研究したらどうなんだ?」
メリーエルはユリウスの突っ込みをきれいさっぱり無視すると、大事そうにハリネズミ茸を持って、魔法薬の研究室に向かったのだった。
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