6 / 43
殿下の唇強奪作戦 2
しおりを挟む
「絶対別れる絶対別れる絶対に別れてやるあの女ぁ‼」
医務室のベッドの上で、ライオネルは呪いを吐いていた。
「まあまあ、怪我がなくてよかったじゃないですか……ぷぷっ」
医務室に常駐している医師ウォルターは、肩をぷるぷるさせて笑っている。
このウォルターは、ライオネルがフリージア学園に通う二年間の間だけ保険医を務める医師であり、本来はライオネルの侍従だ。
医師免許も持っているウォルターは、基本的に従者や護衛が張り付けない学園内でライオネルを補佐するために、国王の采配で二年間だけ保険医に転職したのである。
「いいわけあるか‼ こんな屈辱はじめてだ‼」
「十一年前も気絶したって聞きましたけど?」
「あの時は五歳だったじゃないか! 今の俺は何歳だ!」
「十六歳ですねえ」
「くそっ」
衆人環視の前で落とし穴に落とされた挙句気絶して医務室に運ばれたなんて、こんな恥辱があるだろうか。
ライオネルはダンッと拳でベッドを殴る。
「ウォルター、俺は決めた。あの女とは絶対に婚約破棄する!」
「いいじゃないですか、エイミー様は可愛らしいと思いますよ?」
「どこがだ‼ あれはモモンガの皮をかぶった悪魔だぞ‼ このままでは俺はいつか殺されるっ」
「そんな大げさな」
「大げさなものかっ」
ライオネルはぐしゃりと髪をかき上げた。
もちろん、今回の件はエイミーの口車に乗せられたライオネルの失態でもある。
何でも言うことを聞くと言われて、勝てばエイミーと別れられると考えた自分が浅はかだった。
(それにしても邪険にしていればいつかあっちから音を上げると思っていたのに、どこまでもしぶといなあいつはっ)
ライオネルは何度も両親である国王夫妻にエイミーとの婚約を解消したいと申し出た。
けれどもエイミーをやたらと気に入っている両親は、頑として首を縦に振らなかったのだ。
つまり、ライオネルがエイミーと別れるには、エイミーの方から婚約を解消したいと訴えさせる必要がある。
(普通の女ならとっくに心が折れているはずなのに、本当に何なんだ!)
これまでライオネルは、無視をしたり邪険にしたりと、あからさまにエイミーが嫌いなのだということを訴え続けてきた。それなのにエイミーにはまったくと言っていいほど効果がない。それどころか日に日にエスカレートしていく一方だ。
エイミーとの結婚は、学園を卒業する二年後に決定している。
つまり別れるならあと二年しか猶予がない。いや、結婚式の準備がはじまってからでは遅いので、猶予は準備がはじまるまでのあと一年だ。
(あと一年、あと一年以内に別れないと俺の人生はお先真っ暗だ……)
ライオネルはまだ笑っているウォルターを横目でにらみつけながら訊ねた。
「おい、女に嫌われる男の特徴を教えてくれ」
「なんですかいきなり」
「いきなりじゃない! 今まで無視しても邪険にしてもダメだったんだ。ならば俺が世の中の女に嫌われるような男になるしかないだろう⁉」
「遠回しに俺は女に好かれるんだって言っているように聞こえてムカつきますが、それはさておいて殿下、本気で女性に嫌われるダメで気持ち悪い男になりたいんですか」
「なんでダメで気持ち悪い男になる必要があるんだ」
「だって嫌われたいんでしょ? 残念ながら身分と顔と頭脳はどうしようできないので、あとは性格を破綻……はまあ今もなかなか破綻していますが、それとあとは気持ち悪い性癖でもくっつけるくらいしか手はないですよ」
「……」
「とりあえず七三分けにして瓶底眼鏡でもかけ、そうですねえ、人形を持ち歩きながら始終その人形に話しかけてみたらどうですか」
「ふざけるな!」
「いやでもそれくらいしないとインパクトが」
「絶対に嫌だ‼」
「じゃあ無理ですからあきらめましょう」
「それも嫌だっ」
「我儘ですねえ」
ウォルターはやれやれと肩をすくめて、ポンッと手を打った。
「じゃあ目には目を歯には歯をってことで、やられたことをやり返してみたら?」
「つまりエイミーを落とし穴に落とせと」
「いえそうじゃなくて。というか女性を落とし穴に落としたらさすがに軽蔑しますよ」
「じゃあなんだ」
「だから、エイミー様が殿下にするように、エイミー様の名前を叫んで抱き着いたらどうですか四六時中。きっとウザがられますよ」
「んなわけあるかそんなものあの変態を喜ばせるだけだ‼」
「そうですか? というか四六時中べったりくっついても喜んでくれるなんて天使じゃないですか」
「もういっそお前がエイミーと結婚したらどうだ⁉ 変人同士気が合うんじゃないか⁉」
うんざりしてきたライオネルは、ベッドに横になると頭からシーツをかぶった。
「まあまあまあまあ」
しかしウォルターがなだめながらすぐにシーツを引きはがす。
「殿下の気持ちはよくわかりましたけど、ダサい格好をするのも気持ち悪い男になるのも嫌なら、あとはもうストレートにエイミー様に『嫌い』だと言い続けるしかないでしょう。態度に出してもだめなら言葉で伝えるしかないじゃないですか」
「そうだが……本当にそれでうまくいくんだろうな。なんたってあいつはモモンガだ。きっと人間じゃない。人間の言葉が通じるのか」
「なに意味のわからないことを言ってるんですか」
「……まあ、それしかないか」
ライオネルは息を吐き出して頷いた。
ウォルターの言う通り、態度で示してわからないなら言葉で言い続けるしかない。
けれど、たまに怒り任せに「お前なんて嫌いだ」と叫ぶことはあるが、改まって嫌いだと言い続けると思うと心が重かった。
(……何と言ってもモモンガだ。あの小動物……傷ついて心臓が止まったりしないだろうな)
これまでも散々無視したり邪険にしたりしてきたが、さすがに言葉で伝えたらあのエイミーでも傷つくのではなかろうか。
エイミーが大きな青い瞳に涙をためる姿を想像すると、どうしてか胸が痛む。
(なんであいつは俺のことが嫌いにならないんだろう)
あちらから嫌いになってくれれば、きっとエイミーも傷つかずに済むのにと、ライオネルはそんなことを考えていた。
医務室のベッドの上で、ライオネルは呪いを吐いていた。
「まあまあ、怪我がなくてよかったじゃないですか……ぷぷっ」
医務室に常駐している医師ウォルターは、肩をぷるぷるさせて笑っている。
このウォルターは、ライオネルがフリージア学園に通う二年間の間だけ保険医を務める医師であり、本来はライオネルの侍従だ。
医師免許も持っているウォルターは、基本的に従者や護衛が張り付けない学園内でライオネルを補佐するために、国王の采配で二年間だけ保険医に転職したのである。
「いいわけあるか‼ こんな屈辱はじめてだ‼」
「十一年前も気絶したって聞きましたけど?」
「あの時は五歳だったじゃないか! 今の俺は何歳だ!」
「十六歳ですねえ」
「くそっ」
衆人環視の前で落とし穴に落とされた挙句気絶して医務室に運ばれたなんて、こんな恥辱があるだろうか。
ライオネルはダンッと拳でベッドを殴る。
「ウォルター、俺は決めた。あの女とは絶対に婚約破棄する!」
「いいじゃないですか、エイミー様は可愛らしいと思いますよ?」
「どこがだ‼ あれはモモンガの皮をかぶった悪魔だぞ‼ このままでは俺はいつか殺されるっ」
「そんな大げさな」
「大げさなものかっ」
ライオネルはぐしゃりと髪をかき上げた。
もちろん、今回の件はエイミーの口車に乗せられたライオネルの失態でもある。
何でも言うことを聞くと言われて、勝てばエイミーと別れられると考えた自分が浅はかだった。
(それにしても邪険にしていればいつかあっちから音を上げると思っていたのに、どこまでもしぶといなあいつはっ)
ライオネルは何度も両親である国王夫妻にエイミーとの婚約を解消したいと申し出た。
けれどもエイミーをやたらと気に入っている両親は、頑として首を縦に振らなかったのだ。
つまり、ライオネルがエイミーと別れるには、エイミーの方から婚約を解消したいと訴えさせる必要がある。
(普通の女ならとっくに心が折れているはずなのに、本当に何なんだ!)
これまでライオネルは、無視をしたり邪険にしたりと、あからさまにエイミーが嫌いなのだということを訴え続けてきた。それなのにエイミーにはまったくと言っていいほど効果がない。それどころか日に日にエスカレートしていく一方だ。
エイミーとの結婚は、学園を卒業する二年後に決定している。
つまり別れるならあと二年しか猶予がない。いや、結婚式の準備がはじまってからでは遅いので、猶予は準備がはじまるまでのあと一年だ。
(あと一年、あと一年以内に別れないと俺の人生はお先真っ暗だ……)
ライオネルはまだ笑っているウォルターを横目でにらみつけながら訊ねた。
「おい、女に嫌われる男の特徴を教えてくれ」
「なんですかいきなり」
「いきなりじゃない! 今まで無視しても邪険にしてもダメだったんだ。ならば俺が世の中の女に嫌われるような男になるしかないだろう⁉」
「遠回しに俺は女に好かれるんだって言っているように聞こえてムカつきますが、それはさておいて殿下、本気で女性に嫌われるダメで気持ち悪い男になりたいんですか」
「なんでダメで気持ち悪い男になる必要があるんだ」
「だって嫌われたいんでしょ? 残念ながら身分と顔と頭脳はどうしようできないので、あとは性格を破綻……はまあ今もなかなか破綻していますが、それとあとは気持ち悪い性癖でもくっつけるくらいしか手はないですよ」
「……」
「とりあえず七三分けにして瓶底眼鏡でもかけ、そうですねえ、人形を持ち歩きながら始終その人形に話しかけてみたらどうですか」
「ふざけるな!」
「いやでもそれくらいしないとインパクトが」
「絶対に嫌だ‼」
「じゃあ無理ですからあきらめましょう」
「それも嫌だっ」
「我儘ですねえ」
ウォルターはやれやれと肩をすくめて、ポンッと手を打った。
「じゃあ目には目を歯には歯をってことで、やられたことをやり返してみたら?」
「つまりエイミーを落とし穴に落とせと」
「いえそうじゃなくて。というか女性を落とし穴に落としたらさすがに軽蔑しますよ」
「じゃあなんだ」
「だから、エイミー様が殿下にするように、エイミー様の名前を叫んで抱き着いたらどうですか四六時中。きっとウザがられますよ」
「んなわけあるかそんなものあの変態を喜ばせるだけだ‼」
「そうですか? というか四六時中べったりくっついても喜んでくれるなんて天使じゃないですか」
「もういっそお前がエイミーと結婚したらどうだ⁉ 変人同士気が合うんじゃないか⁉」
うんざりしてきたライオネルは、ベッドに横になると頭からシーツをかぶった。
「まあまあまあまあ」
しかしウォルターがなだめながらすぐにシーツを引きはがす。
「殿下の気持ちはよくわかりましたけど、ダサい格好をするのも気持ち悪い男になるのも嫌なら、あとはもうストレートにエイミー様に『嫌い』だと言い続けるしかないでしょう。態度に出してもだめなら言葉で伝えるしかないじゃないですか」
「そうだが……本当にそれでうまくいくんだろうな。なんたってあいつはモモンガだ。きっと人間じゃない。人間の言葉が通じるのか」
「なに意味のわからないことを言ってるんですか」
「……まあ、それしかないか」
ライオネルは息を吐き出して頷いた。
ウォルターの言う通り、態度で示してわからないなら言葉で言い続けるしかない。
けれど、たまに怒り任せに「お前なんて嫌いだ」と叫ぶことはあるが、改まって嫌いだと言い続けると思うと心が重かった。
(……何と言ってもモモンガだ。あの小動物……傷ついて心臓が止まったりしないだろうな)
これまでも散々無視したり邪険にしたりしてきたが、さすがに言葉で伝えたらあのエイミーでも傷つくのではなかろうか。
エイミーが大きな青い瞳に涙をためる姿を想像すると、どうしてか胸が痛む。
(なんであいつは俺のことが嫌いにならないんだろう)
あちらから嫌いになってくれれば、きっとエイミーも傷つかずに済むのにと、ライオネルはそんなことを考えていた。
27
お気に入りに追加
354
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )

【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる