68 / 69
野心と陰謀と
7
しおりを挟む
次の日イリアは、王太子妃ミルフィアにお茶会に誘われた。
クラヴィスは快く「いっておいで」と送り出してくれた。相手が男ではないので、彼の嫉妬の炎は燃え上がらないらしい。ただし、「早く帰ってくるんだよ」とは念を押された。
イリアは白狐ポチを抱えて、カーミラに案内されて王太子妃の部屋に向かった。
ミルフィアの部屋は、白と薄いグリーンで品よくまとめられた部屋だった。
イリアが訪れると、ミルフィアは立ち上がって彼女を出迎えた。
「ごめんなさいね、急に呼び出してしまって」
イリアは微笑んで首を振った。
「あなたが明日お帰りになると聞いて、それまでに一度お話ししてみたかったの」
ミルフィアは品のいい微笑みを浮かべて、イリアをソファに案内した。
ミルフィアは物静かな女性だったが、話しやすい人だった。彼女はシェロン国のことを聞きたがり、また、イリアにフェルナーン国のことを教えてくれた。
イリアはミルフィアと他愛ない時間をすごし、彼女は「機会があったらまたこの国に来てほしいわ」と言った。彼女は王太子妃として城に入れられ、心を開ける人が少ないらしかった。あなたがいてくれれば心強いのに、とつぶやく彼女は、どうやらイリアのことを気に入ったらしかった。
そしてミルフィアは、イリアの去り際に、声を落としてこんなことを言った。
「こんな事を言うと、不思議に思われるかもしれないけれど……、ウィルフレド王太子殿下にはお気をつけて。あの方は冷たくて―――そして、とても淋しい方だわ」
イリアはウィルフレドの顔を思い出して、一つ頷いた。イリアにとって彼は、できるだけ関わらないでいたい相手だった。
ミルフィアはホッとしたような笑みを浮かべて、「またね」とイリアを見送った。
クラヴィスは快く「いっておいで」と送り出してくれた。相手が男ではないので、彼の嫉妬の炎は燃え上がらないらしい。ただし、「早く帰ってくるんだよ」とは念を押された。
イリアは白狐ポチを抱えて、カーミラに案内されて王太子妃の部屋に向かった。
ミルフィアの部屋は、白と薄いグリーンで品よくまとめられた部屋だった。
イリアが訪れると、ミルフィアは立ち上がって彼女を出迎えた。
「ごめんなさいね、急に呼び出してしまって」
イリアは微笑んで首を振った。
「あなたが明日お帰りになると聞いて、それまでに一度お話ししてみたかったの」
ミルフィアは品のいい微笑みを浮かべて、イリアをソファに案内した。
ミルフィアは物静かな女性だったが、話しやすい人だった。彼女はシェロン国のことを聞きたがり、また、イリアにフェルナーン国のことを教えてくれた。
イリアはミルフィアと他愛ない時間をすごし、彼女は「機会があったらまたこの国に来てほしいわ」と言った。彼女は王太子妃として城に入れられ、心を開ける人が少ないらしかった。あなたがいてくれれば心強いのに、とつぶやく彼女は、どうやらイリアのことを気に入ったらしかった。
そしてミルフィアは、イリアの去り際に、声を落としてこんなことを言った。
「こんな事を言うと、不思議に思われるかもしれないけれど……、ウィルフレド王太子殿下にはお気をつけて。あの方は冷たくて―――そして、とても淋しい方だわ」
イリアはウィルフレドの顔を思い出して、一つ頷いた。イリアにとって彼は、できるだけ関わらないでいたい相手だった。
ミルフィアはホッとしたような笑みを浮かべて、「またね」とイリアを見送った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
725
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる