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裏切り
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羽趙蔡は国主邸の門の前に止めていた馬車に乗り込んで、チッと舌打ちした。
「まったく、ふざけおって!」
戴冠式の間、馬車の中で待たせていた男へ、忌々しそうに吐き捨てる。
戴冠式を行うと聞いてから今日まで、どうにかして翆を葬り去ってやろうと画策してきたが、邸の警備が厳重すぎてどうすることもできなかった。
「まったく冗談じゃない。あんな青二才にこの国を渡してたまるか! そうだろう?!」
同意を求められて、趙蔡の真向かいに座る男は、無言で首肯した。
男の同意に趙蔡が満足そうに笑ったとき、コンコンと馬車の戸が叩かれる。
趙蔡はそこにいた男に向かってニヤリと笑うと、
「そう、冗談ではない。この国は私のものだ」
馬車の外の無表情な男へ、趙蔡は白い包みを差し出した。
男が無言でそれを受け取って、来た道を引き返していくのを見やりながら、真向かいに座る男へ軽くうなずいて見せた。
男が馬車から降りると、趙蔡は御者に命じて馬車を出させる。
「愚かな男だ。おとなしく国に帰っていればいいものを―――」
「まったく、ふざけおって!」
戴冠式の間、馬車の中で待たせていた男へ、忌々しそうに吐き捨てる。
戴冠式を行うと聞いてから今日まで、どうにかして翆を葬り去ってやろうと画策してきたが、邸の警備が厳重すぎてどうすることもできなかった。
「まったく冗談じゃない。あんな青二才にこの国を渡してたまるか! そうだろう?!」
同意を求められて、趙蔡の真向かいに座る男は、無言で首肯した。
男の同意に趙蔡が満足そうに笑ったとき、コンコンと馬車の戸が叩かれる。
趙蔡はそこにいた男に向かってニヤリと笑うと、
「そう、冗談ではない。この国は私のものだ」
馬車の外の無表情な男へ、趙蔡は白い包みを差し出した。
男が無言でそれを受け取って、来た道を引き返していくのを見やりながら、真向かいに座る男へ軽くうなずいて見せた。
男が馬車から降りると、趙蔡は御者に命じて馬車を出させる。
「愚かな男だ。おとなしく国に帰っていればいいものを―――」
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