不可思議談話集

佐村孫千(サムラ マゴセン)

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03.おでん委員。

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高校生の主人公は、ホームルーム後に学級委員に立候補することをクラスの生徒から強いられていた。
イジメとまではいかないが主人公はよく人からからかわれやすい性格だ。

そんな中、担任の先生から一言。
「お前にぴったりの委員があるけどやってみないか?おでん委員。」
と言われた。

おでん委員?そんな委員がこの学校というよりそもそも世間一般の学校にそんな委員が存在するのか?
主人公は先生や生徒たちに呆れた感じで返事を返すと、
「どこの学校にでもある非常に重大な役目だ」
と逆に返された。
結局、主人公は断ることもできずにおでん委員に任命された。

そして、放課後に早速第一回目のおでん委員がおでん委員長である1年先輩の生徒を議長として開かれた。
各クラスの生徒が集まったところでおでん委員長が
「それでは始めさせていただきますが、初めての方もいらっしゃると思いますので今回は講義という形で説明させていただきます。」
と、述べて第一回目の委員会が始まった。

内容としては、「おでんの歴史」「各地のおでん事情」「各社コンビニのおでんの違い」などかなりマニアックで中身の濃い講義だ。主人公は初めの方こそ退屈そうな表情ではあったが、次第におでん委員長のおでんを語る熱意が伝わったのか、委員会が終わる頃には熱心に講義内容をノートにとっていた。

主人公は、それからというものおでんに対して異常なまでの執着心を持つようになった。
朝食はもちろんのこと昼食の弁当にも「おでん」試験勉強の合間の夜食にも「おでん」使っているスマホケースのデザインも「おでん」着ているTシャツのデザイン文字も「ODEN」と、おでんづくしの日々を過ごしていた。
学内でもおでんのことなら何でも知っていると言われるまでになり、最早おでんの事について右に出る者は誰もいなかった。

そうして月日は流れ、各委員会の任期が満了となり、次回委員会の会員選出がクラスのホームルームで始まった。
主人公は、おでん委員を通して学んだことや成長したことを糧にして次はおでん委員長を目指そうと考えていた。
「俺、おでん委員今期もやります。」
主人公が真っ先に発言をすると担任の先生が
「何だそのふざけた名前の委員会は?そんなものあるわけないだろが。」
クラスの皆が呆れ返って失笑していた。

そんな馬鹿な、俺はあれだけおでんについて委員会を通して学んだじゃないか。
今まで変な夢を見ていた?でも夢にしてはえらく長い時間覚めない夢だな、と考えていると担任の先生が主人公に対して一言。
「それより、お前にぴったりの委員があるけどやってみないか?」

主人公
「それ、どんな委員ですか?」

先生
「うどん委員。」
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