536 / 549
第10章 異国の大決戦編
39.ワニアの戦い(31)
しおりを挟む
アテヌによる催眠術にかかった事により政武は、彼の命令に忠実に従う部下となってしまう。
敵軍である連合軍の将たちを一人残らず討ち取るべし。
その命令を遂行すべく彼は闘志を剥き出しにしていた。
やがて祐永が皆に対して口を開き始める。
祐永
「皆の者に申す。政武殿を決して殺めてはならぬ。良いな?」
政武は今、アテヌの催眠術によって我らの命を狙う敵と化した。
それ故に彼と刀を交えざるを得ないであろう。
だが、それでも討ち取る事はしてはならぬと祐永は言っていた。
長継
「し、しかし祐永殿。そうは申されましても…」
長継は戸惑いながらそう言葉を返していた。
すると祐永が真剣な表情をして言う。
祐永
「政武殿は今や我ら幕府の人間であり、良き友である。そのような者を我らが殺めるなど、以ての外にござらぬか?のう、宗重殿よ。」
宗重
「祐永様…」
祐永の言葉を聞いた宗重は、目にうっすらと涙を浮かべていた。
その様子を見た政武が苛立った様子で声を上げる。
政武
「おらっ!何をごちゃごちゃと言っておる!」
政武はなおも興奮した様子で宗重に襲いかかる。
宗重は素早く刀を抜き、彼の攻撃を受け止めていた。
宗重
「おい政武、止めよ!止めるのじゃ!儂はお前とは戦いとうない…」
ワニア島への航海から始まり上陸、そしてヘルト城への潜入…
どうやら宗重は政武と行動を共にしてきた中で、友情が芽生えているようであった。
そのような友と刀を交えるなど自身には出来るわけが無いであろう。
宗重は悲痛な叫び声を上げていた。
そうしてしばらく二人の鍔迫り合いが続いた後に崇房が声を上げ始める。
崇房
「政武殿よ!お主はかような男では無いはずであろう?亡き政豊殿も草葉の陰で泣かれておるぞ!」
今の政武の状況を父である政豊が見たとするならば、必ずや悲しみの声を上げるであろう。
同士討ちを行おうとしている彼に対して崇房は、戒めるようにそう言っていた。
それを聞いた政武が怪訝そうな顔を見せながら答える。
政武
「あん?何だって?いちいちうるせえ男じゃな。貴様から先に地獄に葬り去ってやろうか?」
崇房
「望むところでござる。鬼の口羽の異名を継ぎしこの崇房、お主の相手になってやろうぞ!」
そう言うと崇房は刀を抜き、政武に対して構えの大勢を見せていた。
政武
「ほう、鬼ねぇ。地獄に逝くにはぴったりの異名じゃねえか。ふはははは!」
すると次の瞬間、政武は笑い声を上げながら崇房に対して襲いかかる。
互いの刀が激しくぶつかり合い、凄まじい音が鳴り響いていた。
こうして崇房と政武による一騎打ちが始まる事となった。
始めのほうは共に互角の戦いを繰り広げていたようである。
だが、次第に政武による猛攻を立て続けに受けた事によって崇房は劣勢の状態に陥りつつあった。
崇房
「くっ…なんという力じゃ…」
そう口にする崇房の表情には疲れの様子が見え始めていた。
政武
「ほれほれ、さっきまでの威勢はどうした?その鬼の異名はただの飾りかね?ん?」
自身を鬼の口羽と名乗ってはいたが、蓋を開けてみればどうだ。
単なる大言壮語に過ぎぬではないか。
政武は崇房に対して吐き捨てるようにそう言っていた。
すると祐永が政武に向かって怒鳴り声を上げる。
祐永
「政武!いい加減にせぬか!このたわけ者が!」
祐永によるその非常に通った声が辺りに響き渡った事で政武は一瞬、怯んだ様子を見せ始める。
政武
「な、何じゃ?貴様は?」
祐永
「お主は誇り高き海賊衆の頭であろう。さすれば、礼儀というものをわきまえられよ!」
お前は海賊を束ねし頭領では無かったのか。
礼儀を欠く行為を起こす者にはもはや人の上に立つ資格は無いであろう。
祐永は政武に対して痛烈な言葉を浴びせていた。
政武
「ふふん、礼儀…か。あんたなかなかいいこと言うじゃねえか!はっはっはっはっはっ!」
政武は声高らかに笑っていた。
敵軍である連合軍の将たちを一人残らず討ち取るべし。
その命令を遂行すべく彼は闘志を剥き出しにしていた。
やがて祐永が皆に対して口を開き始める。
祐永
「皆の者に申す。政武殿を決して殺めてはならぬ。良いな?」
政武は今、アテヌの催眠術によって我らの命を狙う敵と化した。
それ故に彼と刀を交えざるを得ないであろう。
だが、それでも討ち取る事はしてはならぬと祐永は言っていた。
長継
「し、しかし祐永殿。そうは申されましても…」
長継は戸惑いながらそう言葉を返していた。
すると祐永が真剣な表情をして言う。
祐永
「政武殿は今や我ら幕府の人間であり、良き友である。そのような者を我らが殺めるなど、以ての外にござらぬか?のう、宗重殿よ。」
宗重
「祐永様…」
祐永の言葉を聞いた宗重は、目にうっすらと涙を浮かべていた。
その様子を見た政武が苛立った様子で声を上げる。
政武
「おらっ!何をごちゃごちゃと言っておる!」
政武はなおも興奮した様子で宗重に襲いかかる。
宗重は素早く刀を抜き、彼の攻撃を受け止めていた。
宗重
「おい政武、止めよ!止めるのじゃ!儂はお前とは戦いとうない…」
ワニア島への航海から始まり上陸、そしてヘルト城への潜入…
どうやら宗重は政武と行動を共にしてきた中で、友情が芽生えているようであった。
そのような友と刀を交えるなど自身には出来るわけが無いであろう。
宗重は悲痛な叫び声を上げていた。
そうしてしばらく二人の鍔迫り合いが続いた後に崇房が声を上げ始める。
崇房
「政武殿よ!お主はかような男では無いはずであろう?亡き政豊殿も草葉の陰で泣かれておるぞ!」
今の政武の状況を父である政豊が見たとするならば、必ずや悲しみの声を上げるであろう。
同士討ちを行おうとしている彼に対して崇房は、戒めるようにそう言っていた。
それを聞いた政武が怪訝そうな顔を見せながら答える。
政武
「あん?何だって?いちいちうるせえ男じゃな。貴様から先に地獄に葬り去ってやろうか?」
崇房
「望むところでござる。鬼の口羽の異名を継ぎしこの崇房、お主の相手になってやろうぞ!」
そう言うと崇房は刀を抜き、政武に対して構えの大勢を見せていた。
政武
「ほう、鬼ねぇ。地獄に逝くにはぴったりの異名じゃねえか。ふはははは!」
すると次の瞬間、政武は笑い声を上げながら崇房に対して襲いかかる。
互いの刀が激しくぶつかり合い、凄まじい音が鳴り響いていた。
こうして崇房と政武による一騎打ちが始まる事となった。
始めのほうは共に互角の戦いを繰り広げていたようである。
だが、次第に政武による猛攻を立て続けに受けた事によって崇房は劣勢の状態に陥りつつあった。
崇房
「くっ…なんという力じゃ…」
そう口にする崇房の表情には疲れの様子が見え始めていた。
政武
「ほれほれ、さっきまでの威勢はどうした?その鬼の異名はただの飾りかね?ん?」
自身を鬼の口羽と名乗ってはいたが、蓋を開けてみればどうだ。
単なる大言壮語に過ぎぬではないか。
政武は崇房に対して吐き捨てるようにそう言っていた。
すると祐永が政武に向かって怒鳴り声を上げる。
祐永
「政武!いい加減にせぬか!このたわけ者が!」
祐永によるその非常に通った声が辺りに響き渡った事で政武は一瞬、怯んだ様子を見せ始める。
政武
「な、何じゃ?貴様は?」
祐永
「お主は誇り高き海賊衆の頭であろう。さすれば、礼儀というものをわきまえられよ!」
お前は海賊を束ねし頭領では無かったのか。
礼儀を欠く行為を起こす者にはもはや人の上に立つ資格は無いであろう。
祐永は政武に対して痛烈な言葉を浴びせていた。
政武
「ふふん、礼儀…か。あんたなかなかいいこと言うじゃねえか!はっはっはっはっはっ!」
政武は声高らかに笑っていた。
0
佐村孫千Webサイト
https://samuramagosen.themedia.jp/
https://samuramagosen.themedia.jp/
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説


大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。


戦争はただ冷酷に
航空戦艦信濃
歴史・時代
1900年代、日露戦争の英雄達によって帝国陸海軍の教育は大きな変革を遂げた。戦術だけでなく戦略的な視点で、すべては偉大なる皇国の為に、徹底的に敵を叩き潰すための教育が行われた。その為なら、武士道を捨てることだって厭わない…
1931年、満州の荒野からこの教育の成果が世界に示される。


小沢機動部隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。
名は小沢治三郎。
年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。
ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。
毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。
楽しんで頂ければ幸いです!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる