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第10章 異国の大決戦編
31.ワニアの戦い(23)
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降り続ける豪雨によってヘルト城の北側を流れている川が氾濫。
やがて水は城内に凄まじい勢いで流れ込み始めていた。
このままでは濁流に飲まれて全軍は壊滅するであろう。
そう考えたカルロスは、水による被害を最小限に抑える為に全ての城門を開放させていた。
一方、連合軍は迫りくる水から逃げるべく軍勢を速やかに動かそうとしていた。
祐永が前方を指差しながら軍勢に対して声を上げ始める。
祐永
「ひとまずはあの丘まで逃げよ!急げ!急ぐのじゃ!」
祐永らの軍勢の前方には丘があった。
さほど急激な斜面では無かったが、氾濫して溢れ出た川の水はかろうじて避けられそうである。
すると今度は政武が急かすようにして言う。
政武
「おいお前たち!ちんたらしてねえでもっと早く進まんか!」
政武によるその声によって連合軍は更に進軍の速度は速まったようである。
そして連合軍は全員、丘の上に到着していた。
一息ついた後に祐永が口を開き始める。
祐永
「いやはや真に凄まじかったのう。自然の力は想像以上でござったな…」
川の氾濫がここまで恐ろしくまた凄まじいものであったとは…
どうやら祐永は、先刻の出来事によって自然の脅威を改めて思い知らされていたようである。
宗重
「それにしても、ここで雷神を使われるとは…祐永様、流石にございますな。」
宗重は始め、雷神を用いて発達した積乱雲から発せられる雷によってヘルト軍に対して攻撃を与えるのであろうかと考えていた。
だがしばらく経った後に彼は、祐永の真意を知る事となった。
祐永は、雷による攻撃を待っていたのでは無いのだ。
降り続ける豪雨によって川を氾濫させ、ヘルト城を水攻めにする事が本当の狙いであったのだ、と。
宗重は祐永に対して感嘆の声を漏らしていた。
すると祐永が深く頷いて答え始める。
祐永
「うむ、いかにも。城の向こう側に川が見えた故に、此度の策が浮かんできたのじゃ。雨によって川を氾濫させることは出来ぬか、とな。」
連合軍の反撃を受けたヘルト軍は城内へと退却。
それから籠城戦に突入し、少しの刻が経った時に祐永は焦り始めていた。
ヘルト城は普請工事を頻繁に行う事によって非常に堅固なものとなっており、正攻法で籠城戦を続けていても埒が明かない。
それ故に、何か他に策を練らねば連合軍の勝利は望めないであろう。
すると祐永は辺りを見回し始め、やがて城の北側に川が流れている事を知る。
この川を氾濫させる事で城内を水攻めすれば勝機が見えるかも知れない。
そう考えた祐永は局地的に大雨を降らせる事を思い付き、雷神を用いたのであった。
崇房
「これがあの雷神…信常殿のご才能には真に恐れ入りまする…」
父である崇冬からは話には聞いていたが、ここまで凄いものであったとは…
崇房は、雷神を発明した信常がいかに優れた才能の持ち主であったという事をこの時に再認識させられていたようである。
ドヴェルク
「信常氏はまさしく創天国が誇る天才発明家でありますね。」
長継
「セビカの地でも信常殿の名は十分に通るであろうな。創天国に生まれし拙者も実に誉なことにござる。」
創天国から遥か遠く離れた異国の地セビカ。
この地において信常の発明された道具の凄さを今、セビカの者たちに知らしめる事となった。
これは、創天国の人間からすれば非常に名誉な事に間違いは無かろう。
長継は誇り高い表情を見せながらそう語っていた。
政武
「へへっ、こりゃあ信常さんに感謝しねえとな。信常さんよ、いつか俺が冥府に参ったその時には礼を言わせてもらうぜ!」
政武は胸を熱くしながらそう言っていた。
やがて水は城内に凄まじい勢いで流れ込み始めていた。
このままでは濁流に飲まれて全軍は壊滅するであろう。
そう考えたカルロスは、水による被害を最小限に抑える為に全ての城門を開放させていた。
一方、連合軍は迫りくる水から逃げるべく軍勢を速やかに動かそうとしていた。
祐永が前方を指差しながら軍勢に対して声を上げ始める。
祐永
「ひとまずはあの丘まで逃げよ!急げ!急ぐのじゃ!」
祐永らの軍勢の前方には丘があった。
さほど急激な斜面では無かったが、氾濫して溢れ出た川の水はかろうじて避けられそうである。
すると今度は政武が急かすようにして言う。
政武
「おいお前たち!ちんたらしてねえでもっと早く進まんか!」
政武によるその声によって連合軍は更に進軍の速度は速まったようである。
そして連合軍は全員、丘の上に到着していた。
一息ついた後に祐永が口を開き始める。
祐永
「いやはや真に凄まじかったのう。自然の力は想像以上でござったな…」
川の氾濫がここまで恐ろしくまた凄まじいものであったとは…
どうやら祐永は、先刻の出来事によって自然の脅威を改めて思い知らされていたようである。
宗重
「それにしても、ここで雷神を使われるとは…祐永様、流石にございますな。」
宗重は始め、雷神を用いて発達した積乱雲から発せられる雷によってヘルト軍に対して攻撃を与えるのであろうかと考えていた。
だがしばらく経った後に彼は、祐永の真意を知る事となった。
祐永は、雷による攻撃を待っていたのでは無いのだ。
降り続ける豪雨によって川を氾濫させ、ヘルト城を水攻めにする事が本当の狙いであったのだ、と。
宗重は祐永に対して感嘆の声を漏らしていた。
すると祐永が深く頷いて答え始める。
祐永
「うむ、いかにも。城の向こう側に川が見えた故に、此度の策が浮かんできたのじゃ。雨によって川を氾濫させることは出来ぬか、とな。」
連合軍の反撃を受けたヘルト軍は城内へと退却。
それから籠城戦に突入し、少しの刻が経った時に祐永は焦り始めていた。
ヘルト城は普請工事を頻繁に行う事によって非常に堅固なものとなっており、正攻法で籠城戦を続けていても埒が明かない。
それ故に、何か他に策を練らねば連合軍の勝利は望めないであろう。
すると祐永は辺りを見回し始め、やがて城の北側に川が流れている事を知る。
この川を氾濫させる事で城内を水攻めすれば勝機が見えるかも知れない。
そう考えた祐永は局地的に大雨を降らせる事を思い付き、雷神を用いたのであった。
崇房
「これがあの雷神…信常殿のご才能には真に恐れ入りまする…」
父である崇冬からは話には聞いていたが、ここまで凄いものであったとは…
崇房は、雷神を発明した信常がいかに優れた才能の持ち主であったという事をこの時に再認識させられていたようである。
ドヴェルク
「信常氏はまさしく創天国が誇る天才発明家でありますね。」
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創天国から遥か遠く離れた異国の地セビカ。
この地において信常の発明された道具の凄さを今、セビカの者たちに知らしめる事となった。
これは、創天国の人間からすれば非常に名誉な事に間違いは無かろう。
長継は誇り高い表情を見せながらそう語っていた。
政武
「へへっ、こりゃあ信常さんに感謝しねえとな。信常さんよ、いつか俺が冥府に参ったその時には礼を言わせてもらうぜ!」
政武は胸を熱くしながらそう言っていた。
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