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第10章 異国の大決戦編
29.ワニアの戦い(21)
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先刻前より降り始めた豪雨は止む気配は無く、現在もなお降り続けている。
そしてヘルト城付近には何度も落雷が発生。
それによって連合軍とヘルト軍で負傷する者が相次いでいた。
この豪雨の中で政武が祐永に対して問い掛け始める。
政武
「おい祐永さんよ、一体俺たちはいつまでここで待てばいいんだ?」
連合軍全ての軍勢をヘルト城から離れた場所に集結させた。
だがそこから数刻の時が経とうとしているが、今だに動く気配が見られない。
この状況に政武は痺れを切らしかけているようであった。
宗重
「政武!このたわけが!黙って見ておれ!」
崇房
「祐永様は何か策があられてのこと。故に我らはただ、ひたすらに待ちましょうぞ。」
策があってゆえの事で構えているのだ。
あれこれ言わずに今は総指揮である祐永の命令に従うべきであろう。
政武の問い掛けに対して宗重らはそう答えていた。
長継
「しかし祐永殿、それはどのような策にございますか?」
それにしても、策があるとすれば一体どのようなものなのであろうか。
長継は祐永の考えているであろう策について問い掛けの言葉を発していた。
すると祐永が落ち着いた様子で答え始める。
祐永
「うむ、宗重殿らが申す通り、慌てなくともじきに分かる。」
今はただ焦らずにこの豪雨の中で待つのみである。
そして、もうすぐそれも分かる事となるであろう。
我らがこの場所でじっくりと構えている事の意味が。
祐永はあくまでも冷静な態度を見せていた。
一方、ヘルト城内ではカルロスが不安げな表情を浮かべながら口を開き始める。
カルロス
「豪雨もさることながら、落雷にも気を付けねばならんな…」
先刻前には城内からの応戦は有利であるとは言ったが、やはり激しい雨の中では思うように動けないものである。
さらには落雷によって兵たちが負傷する事態も発生している。
カルロスは軍勢の身を案じているようであった。
そしてアテヌもまた彼と考えを同じくしているのであろうか、深く頷いて答え始める。
アテヌ
「むうぅ、一旦は我らも城内へと退避すべきかも知れませんね…」
確かにカルロスの言う通り、落雷による被害が軍勢に発生し始めている事は事実である。
我らもこの場に留まり続けるのは得策では無いかも知れぬ故、城の中で待機するべきではあろうか…
そう考えたアテヌは、軍勢に対して城内への退避の命令を下そうとしていた。
その直後である。
連合軍の本陣に身を構えていた祐永がすくと立ち上がり、声を上げ始める。
祐永
「よし!やったか!これで我の思い通りぞ!皆の者、早々に戦の再開の準備をいたせ!」
すると城内では大きな音を立てながら彼らの元へと襲いかかろうとするものがあった。
カルロスはそのただならぬ異変に気付き、慌てふためき始める。
カルロス
「な、なっ…アテヌよ、大変じゃ!大変じゃ!」
その声を聞いたアテヌが聞き返すように言う。
アテヌ
「うん?カルロス様、そんなに慌てられて一体どうなされたというのですか?」
アテヌは、カルロスが何故にそこまで慌てているのかが理解出来ていないようである。
そしてカルロスはなおも慌てながら続けて声を上げる。
カルロス
「あ、あれを見てみよ!」
アテヌはカルロスが指差した方角に顔を向ける。
するとたちまち彼も驚きの声を上げ始める。
アテヌ
「こ、これは!な、なんということだ!」
アテヌの顔は一瞬にして蒼白となっていた。
そしてヘルト城付近には何度も落雷が発生。
それによって連合軍とヘルト軍で負傷する者が相次いでいた。
この豪雨の中で政武が祐永に対して問い掛け始める。
政武
「おい祐永さんよ、一体俺たちはいつまでここで待てばいいんだ?」
連合軍全ての軍勢をヘルト城から離れた場所に集結させた。
だがそこから数刻の時が経とうとしているが、今だに動く気配が見られない。
この状況に政武は痺れを切らしかけているようであった。
宗重
「政武!このたわけが!黙って見ておれ!」
崇房
「祐永様は何か策があられてのこと。故に我らはただ、ひたすらに待ちましょうぞ。」
策があってゆえの事で構えているのだ。
あれこれ言わずに今は総指揮である祐永の命令に従うべきであろう。
政武の問い掛けに対して宗重らはそう答えていた。
長継
「しかし祐永殿、それはどのような策にございますか?」
それにしても、策があるとすれば一体どのようなものなのであろうか。
長継は祐永の考えているであろう策について問い掛けの言葉を発していた。
すると祐永が落ち着いた様子で答え始める。
祐永
「うむ、宗重殿らが申す通り、慌てなくともじきに分かる。」
今はただ焦らずにこの豪雨の中で待つのみである。
そして、もうすぐそれも分かる事となるであろう。
我らがこの場所でじっくりと構えている事の意味が。
祐永はあくまでも冷静な態度を見せていた。
一方、ヘルト城内ではカルロスが不安げな表情を浮かべながら口を開き始める。
カルロス
「豪雨もさることながら、落雷にも気を付けねばならんな…」
先刻前には城内からの応戦は有利であるとは言ったが、やはり激しい雨の中では思うように動けないものである。
さらには落雷によって兵たちが負傷する事態も発生している。
カルロスは軍勢の身を案じているようであった。
そしてアテヌもまた彼と考えを同じくしているのであろうか、深く頷いて答え始める。
アテヌ
「むうぅ、一旦は我らも城内へと退避すべきかも知れませんね…」
確かにカルロスの言う通り、落雷による被害が軍勢に発生し始めている事は事実である。
我らもこの場に留まり続けるのは得策では無いかも知れぬ故、城の中で待機するべきではあろうか…
そう考えたアテヌは、軍勢に対して城内への退避の命令を下そうとしていた。
その直後である。
連合軍の本陣に身を構えていた祐永がすくと立ち上がり、声を上げ始める。
祐永
「よし!やったか!これで我の思い通りぞ!皆の者、早々に戦の再開の準備をいたせ!」
すると城内では大きな音を立てながら彼らの元へと襲いかかろうとするものがあった。
カルロスはそのただならぬ異変に気付き、慌てふためき始める。
カルロス
「な、なっ…アテヌよ、大変じゃ!大変じゃ!」
その声を聞いたアテヌが聞き返すように言う。
アテヌ
「うん?カルロス様、そんなに慌てられて一体どうなされたというのですか?」
アテヌは、カルロスが何故にそこまで慌てているのかが理解出来ていないようである。
そしてカルロスはなおも慌てながら続けて声を上げる。
カルロス
「あ、あれを見てみよ!」
アテヌはカルロスが指差した方角に顔を向ける。
するとたちまち彼も驚きの声を上げ始める。
アテヌ
「こ、これは!な、なんということだ!」
アテヌの顔は一瞬にして蒼白となっていた。
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