架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

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第10章 異国の大決戦編

23.ワニアの戦い(15)

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連合軍の宮本宗重及び木内政武率いる軍勢はアテヌ・ブラウスの攻撃よって壊滅したかのように思われていた。
だが配下の者たちの守りにより、彼らは奇跡的に一命をとりとめていた。

そうして宗重らは反撃に出てアテヌを負傷に追い込み、連合軍は劣勢から優勢へと転換。
この状況に対してヘルト独立勢力軍の総大将であるカルロス・ヘルトは、全軍を城内へと退却させた。
連合軍とヘルト独立勢力軍による籠城戦が始まろうとしていた。

★現在の戦況

セビカ・志太幕府連合軍(総兵数 10,000人)

・セビカ軍
武将「セリアー・長継」
武将「ドヴェルク・セリアー」
計 8,000人

・志太幕府軍
総指揮「志太祐宗」
軍師「口羽崇房」
軍団長「宮本宗重」
副軍団長「木内政武」
計 2,000人

・ヘルト独立勢力軍(総兵数 7,000人)
総大将「カルロス・ヘルト」
参謀「アテヌ・ブラウス」
計 7,000人



緑色→セビカ軍
赤色→志太幕府軍
青色→ヘルト独立勢力軍

宗重と政武、崇房らの軍勢は南側へと向かい、城門の破壊を試み始めようとしている。

宗重
「皆の者よ、何としてでもこの城門を突破してアテヌを討ち取るのじゃ!良いな?」

引き締まった表情をしながら宗重は皆に対してそう言っていた。
すると政武が身を乗り出しながら答え始める。

政武
「へっ、言われなくとも分かってるぜ。アテヌのおっさんよ、俺たちの可愛い兵たちを苦しめた落とし前、たっぷりとつけてもらうぜ!」

どうやら政武は先刻のアテヌによる攻撃で多くの配下の兵たちが犠牲となった事に対して怒り心頭のようである。
自分がこうして無事に生還出来たのは彼らのお陰であり、そして命を落としていった者たちへの供養の為にはアテヌを討ち取る他に無い。
政武は堂々たる態度でそう声を上げていた。

崇房
「全ての元凶アテヌよ、我らがセビカに変わって成敗してくれようぞ。」

アテヌは泰平の世であったセビカに災いをもたらした張本人である。
祖国を裏切り、私利私欲にまみれた世界を造ろうとしている不忠者は成敗すべし。
崇房は淡々とした口調でそう言っていた。

一方、長継とドヴェルクら率いるセビカ軍は西側の城門の破壊に取り掛かっていた。
兵たちが奔走する中で長継が呟き始める。

長継
「よもや、同胞であるヘルト殿と刀を交えることになろうとはな…」

長継は、ヘルトが突如として祖国に対して反旗を翻した事が今も信じられないようである。
ましてや彼はアテヌ国の国王に側近として代々仕える家柄の出身だ。
にも関わらず何故にこのような行動を起こしたのであろうか…
長継は考えれば考えるほどヘルトの事が理解出来なくなっていった。

するとドヴェルクが長継に対して口を開き始める。

ドヴェルク
「致し方の無いことにございましょう。これも運命…最早敵となってしまわれた以上、戦うしかありません。」

こうなってしまった事は非常に残念ではあるが、最早運命として受け入れる他に無いであろう。
あくまでも冷静な口調ではあったが、彼の表情にはかつての同胞と敵味方に分かれて戦う事に対しての葛藤が見られていた。

そして志太幕府軍総指揮である祐永は彼らの軍勢の中央に陣を構えている。

祐永
「皆よ、決して死ぬでないぞ…決して、な…」

祐永は手にした軍配を強く握りしめながらそう呟いていた。
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