520 / 549
第10章 異国の大決戦編
23.ワニアの戦い(15)
しおりを挟む
連合軍の宮本宗重及び木内政武率いる軍勢はアテヌ・ブラウスの攻撃よって壊滅したかのように思われていた。
だが配下の者たちの守りにより、彼らは奇跡的に一命をとりとめていた。
そうして宗重らは反撃に出てアテヌを負傷に追い込み、連合軍は劣勢から優勢へと転換。
この状況に対してヘルト独立勢力軍の総大将であるカルロス・ヘルトは、全軍を城内へと退却させた。
連合軍とヘルト独立勢力軍による籠城戦が始まろうとしていた。
★現在の戦況
セビカ・志太幕府連合軍(総兵数 10,000人)
・セビカ軍
武将「セリアー・長継」
武将「ドヴェルク・セリアー」
計 8,000人
・志太幕府軍
総指揮「志太祐宗」
軍師「口羽崇房」
軍団長「宮本宗重」
副軍団長「木内政武」
計 2,000人
・ヘルト独立勢力軍(総兵数 7,000人)
総大将「カルロス・ヘルト」
参謀「アテヌ・ブラウス」
計 7,000人
※
緑色→セビカ軍
赤色→志太幕府軍
青色→ヘルト独立勢力軍
宗重と政武、崇房らの軍勢は南側へと向かい、城門の破壊を試み始めようとしている。
宗重
「皆の者よ、何としてでもこの城門を突破してアテヌを討ち取るのじゃ!良いな?」
引き締まった表情をしながら宗重は皆に対してそう言っていた。
すると政武が身を乗り出しながら答え始める。
政武
「へっ、言われなくとも分かってるぜ。アテヌのおっさんよ、俺たちの可愛い兵たちを苦しめた落とし前、たっぷりとつけてもらうぜ!」
どうやら政武は先刻のアテヌによる攻撃で多くの配下の兵たちが犠牲となった事に対して怒り心頭のようである。
自分がこうして無事に生還出来たのは彼らのお陰であり、そして命を落としていった者たちへの供養の為にはアテヌを討ち取る他に無い。
政武は堂々たる態度でそう声を上げていた。
崇房
「全ての元凶アテヌよ、我らがセビカに変わって成敗してくれようぞ。」
アテヌは泰平の世であったセビカに災いをもたらした張本人である。
祖国を裏切り、私利私欲にまみれた世界を造ろうとしている不忠者は成敗すべし。
崇房は淡々とした口調でそう言っていた。
一方、長継とドヴェルクら率いるセビカ軍は西側の城門の破壊に取り掛かっていた。
兵たちが奔走する中で長継が呟き始める。
長継
「よもや、同胞であるヘルト殿と刀を交えることになろうとはな…」
長継は、ヘルトが突如として祖国に対して反旗を翻した事が今も信じられないようである。
ましてや彼はアテヌ国の国王に側近として代々仕える家柄の出身だ。
にも関わらず何故にこのような行動を起こしたのであろうか…
長継は考えれば考えるほどヘルトの事が理解出来なくなっていった。
するとドヴェルクが長継に対して口を開き始める。
ドヴェルク
「致し方の無いことにございましょう。これも運命…最早敵となってしまわれた以上、戦うしかありません。」
こうなってしまった事は非常に残念ではあるが、最早運命として受け入れる他に無いであろう。
あくまでも冷静な口調ではあったが、彼の表情にはかつての同胞と敵味方に分かれて戦う事に対しての葛藤が見られていた。
そして志太幕府軍総指揮である祐永は彼らの軍勢の中央に陣を構えている。
祐永
「皆よ、決して死ぬでないぞ…決して、な…」
祐永は手にした軍配を強く握りしめながらそう呟いていた。
だが配下の者たちの守りにより、彼らは奇跡的に一命をとりとめていた。
そうして宗重らは反撃に出てアテヌを負傷に追い込み、連合軍は劣勢から優勢へと転換。
この状況に対してヘルト独立勢力軍の総大将であるカルロス・ヘルトは、全軍を城内へと退却させた。
連合軍とヘルト独立勢力軍による籠城戦が始まろうとしていた。
★現在の戦況
セビカ・志太幕府連合軍(総兵数 10,000人)
・セビカ軍
武将「セリアー・長継」
武将「ドヴェルク・セリアー」
計 8,000人
・志太幕府軍
総指揮「志太祐宗」
軍師「口羽崇房」
軍団長「宮本宗重」
副軍団長「木内政武」
計 2,000人
・ヘルト独立勢力軍(総兵数 7,000人)
総大将「カルロス・ヘルト」
参謀「アテヌ・ブラウス」
計 7,000人
※
緑色→セビカ軍
赤色→志太幕府軍
青色→ヘルト独立勢力軍
宗重と政武、崇房らの軍勢は南側へと向かい、城門の破壊を試み始めようとしている。
宗重
「皆の者よ、何としてでもこの城門を突破してアテヌを討ち取るのじゃ!良いな?」
引き締まった表情をしながら宗重は皆に対してそう言っていた。
すると政武が身を乗り出しながら答え始める。
政武
「へっ、言われなくとも分かってるぜ。アテヌのおっさんよ、俺たちの可愛い兵たちを苦しめた落とし前、たっぷりとつけてもらうぜ!」
どうやら政武は先刻のアテヌによる攻撃で多くの配下の兵たちが犠牲となった事に対して怒り心頭のようである。
自分がこうして無事に生還出来たのは彼らのお陰であり、そして命を落としていった者たちへの供養の為にはアテヌを討ち取る他に無い。
政武は堂々たる態度でそう声を上げていた。
崇房
「全ての元凶アテヌよ、我らがセビカに変わって成敗してくれようぞ。」
アテヌは泰平の世であったセビカに災いをもたらした張本人である。
祖国を裏切り、私利私欲にまみれた世界を造ろうとしている不忠者は成敗すべし。
崇房は淡々とした口調でそう言っていた。
一方、長継とドヴェルクら率いるセビカ軍は西側の城門の破壊に取り掛かっていた。
兵たちが奔走する中で長継が呟き始める。
長継
「よもや、同胞であるヘルト殿と刀を交えることになろうとはな…」
長継は、ヘルトが突如として祖国に対して反旗を翻した事が今も信じられないようである。
ましてや彼はアテヌ国の国王に側近として代々仕える家柄の出身だ。
にも関わらず何故にこのような行動を起こしたのであろうか…
長継は考えれば考えるほどヘルトの事が理解出来なくなっていった。
するとドヴェルクが長継に対して口を開き始める。
ドヴェルク
「致し方の無いことにございましょう。これも運命…最早敵となってしまわれた以上、戦うしかありません。」
こうなってしまった事は非常に残念ではあるが、最早運命として受け入れる他に無いであろう。
あくまでも冷静な口調ではあったが、彼の表情にはかつての同胞と敵味方に分かれて戦う事に対しての葛藤が見られていた。
そして志太幕府軍総指揮である祐永は彼らの軍勢の中央に陣を構えている。
祐永
「皆よ、決して死ぬでないぞ…決して、な…」
祐永は手にした軍配を強く握りしめながらそう呟いていた。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください


小沢機動部隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。
名は小沢治三郎。
年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。
ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。
毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。
楽しんで頂ければ幸いです!

暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる