架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

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第10章 異国の大決戦編

10.ワニアの戦い(2)

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ヘルト城付近においてセビカ・志太幕府連合軍はヘルト独立勢力軍と対峙。
アテヌによる挑発を受けた宗重の軍勢が鉄砲を砲撃した事でワニアの戦いが開始した。

宗重は先制攻撃を加え、自慢気な様子であった。
だが、そのすぐ後にアテヌ側の反撃を受けた事で焦りの表情を見せ始める。
どうやら想定していたよりも自身の軍勢が甚大な被害を受けたからであった。

こうして混乱しつつあった宗重の軍勢を見た政武は、軍勢を率いて宗重の軍勢と合流。
宗重と政武の二軍勢でアテヌの軍勢に戦いを挑もうとしていた。

アテヌ
「ふふん、鼠がまた一匹増えただけだ。どうにもなるまいと思うがな。」

甚大な被害を受けた軍勢を助けに来た心意気は良し。
だが、たかだか一軍勢が合流しただけで一体何が出来ようと言うのだ。
アテヌはなおも見下した様子で政武に対してそう言っていた。

政武
「ごちゃごちゃとうるさい奴じゃな。この政武様が貴様のその口、じきにきけなくしてやろう!」

ふんぞり返るアテヌの態度に呆れた様子で政武はそう声を上げていた。
するとアテヌはにやりと笑い、自軍の兵たちに対して声を掛ける。

アテヌ
「あやつにも我らの爆弾矢をお見舞いしてやるがいい。それ!」

アテヌによる掛け声により兵たちは再び弓を構えて矢を射った。
放たれた矢が政武の軍勢へと一直線に向かい始める。
それを見た政武はまたしても呆れた表情をしていた。

政武
「ふん、馬鹿の一つ覚えのようにまた矢の攻撃か。やれやれ…おいお前ら、やれ!」

そう政武が声を上げると兵たちは抜いた刀を飛び交う矢に向かって振り始める。
やがて彼らの振った刀に見事に当たり、矢は弾かれていた。
どうやら政武は矢を斬り落とすのでは無く、峰打ちで弾き返すといった命令を下していたようである。

何と彼らに襲いかかろうとしていた矢は全て、彼らの手によって弾かれていたという。
空中を飛び交う矢を刀で弾き返すなど、人間業とは思えぬ行動を彼らはいとも簡単に成し得たのである。

そうして弾かれた矢は、アテヌの軍勢のもとへと再び戻り始めようとしていた。

アテヌ
「ほう、なかなかやるではないか。っと、うん?」

アテヌは政武らによるこの決死の行動に対して関心した様子であった。
が、その直後に何か異変を感じ始める。
そして次の瞬間、アテヌの軍勢の周りで大きな爆発音が鳴り響いていた。

このヘルト軍が開発したとされる爆弾矢は、矢の後方部に火薬が仕込まれている。
攻撃方法としては矢の先端部に火を着けた状態で射ち、相手の軍勢に届いてしばらく経ってから爆発するといったものだ。
それ故に爆発までの時間に少しながらの時間差が生じる。
政武はそのすき狙って、あえて矢をアテヌの軍勢へと弾き返したのであった。

政武
「へへっ、あんたらの作った爆弾矢とやらの味はどうであったかな?」

まさか自らが作り出した武器で自軍が攻撃されるという事など想像もしていなかったであろう。
政武はアテヌに対してそう問い掛けの言葉を発していた。

アテヌ
「ふふふふ…鼠のくせにやってくれますね。」

アテヌは眉をひそめながらそう言っていた。

政武
「どうした、アテヌのおっさんよ?俺の反撃に焦ってんじゃねえのか?ん?」

政武は、あくまでも冷静さを保ち続けるアテヌに対して嘲笑しながらそう言っていた。
すると宗重が真剣な表情でアテヌに対して声を掛け始める。

宗重
「アテヌ殿よ、我らと刀を交えて正々堂々と勝負いたせ!」

アテヌ
「ふん、どうやら貴方たちはそんなにも地獄へと行きたいようですね。良いでしょう、お相手いたしましょう。」

アテヌはぎらぎらとした目で宗重らを睨みつけていた。
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