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第9章 創天国の魂編
82.到着目前
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幕府軍が航海を始めて数日が経った。
その途中で激しい嵐に見舞われるなどしてはいたが先の守常によって発明された大船のおかげもあり、難なくこれらを突破。
今現在も安定を保ちながらセビカへと向かうべく航海が続けられていた。
崇房
「進めど進めど周りは海。セビカと申す国は真に我ら創天国から遠き場所に有るのじゃな…」
崇房は苦い表情を浮かべながらそう言っていた。
どうやらこの数日間を船の上で過ごしている事に対して少し疲れた様子を見せている。
そしてそれは崇房に限った話では無かった。
祐永
「ふむ、あれからもう何日も海の上を進み続けておるが…まだセビカには着かぬようであるな…」
祐永もまた崇房と同じく、依然として目的地であるセビカに到着する気配が見られぬ事に対してそうした言葉を漏らしていた。
創天国とセビカまでは相当な距離がある為、長期間の航海となる事は間違い無い。
それ故に、気を緩める事無く航海を続けるべし。
祐永は創天国からの出港前に皆に対してそう促していた。
だが、今のこの状況下に置かれた事で祐永自身までもが不安を抱き始めているようであった。
一方、宗重らの乗った船では宗重が静かに口を開き始める。
宗重
「政武よ、セビカが見えてくるのはもうじきぞ。向こうでの準備はできておるか?」
政武
「あぁ、言われなくとも俺も分かってるよ爺さん。セビカに着くは間もなくということはな。」
宗重と政武らは一度、創天国から海を渡ってセビカを訪問していた。
それ故に現在の自身たちが今る場所をある程度把握していたのであろうか、目的地であるセビカに近付いて来ている事を感じているようであった。
政武
「全く退屈で仕方が無い故、早いとこ陸地に足を着けたいものじゃ。」
宗重
「ほう、奇遇であるな。儂もお前と同じことを考えておったところじゃ。」
宗重は、珍しくお互いの考えている事が一致していた事に対して軽く笑いながらそう言っていた。
宗重
「間もなく我ら創天幕府の軍勢が助太刀に参ります故に長継殿にドヴェルク殿、今しばらくの辛抱にござるぞ…」
長継やドヴェルク、そしてセビカ国王のアルド。
今、彼らはいつ襲われるかも知れぬ敵国 ヘルト独立勢力の脅威に怯えて眠れぬ日々を過ごしているであろう。
だが、それも我々創天幕府の援軍がセビカに到着するまでの話だ。
それまではもうしばらくの辛抱である故に、何としてでも持ち堪えてくれ…
宗重は真剣な表情をしてそう呟いていた。
すると今度は政武が笑いながら宗重に対して言葉をかける。
政武
「へへっ、爺さんよ。俺もちょうどあんたと同じことを考えていたぜ。珍しい日もあったもんじゃな。」
どうやら政武もまた宗重と同じ考えを持っていたようであり、たまらず笑いながらそう言っていた。
こうも珍しくお互いの思っている事が一致する事に対し、和やかな雰囲気へと切り替わった。
以前は意見が食い違うなどして口論に至った事も多々あったが、今は最早以心伝心と言っても良い程にまで至っている。
宗重と政武らは、たびたび共にこうして行動していた故の事であろう。
それから数刻の時が経っていた。
すると宗重が政武に対して声を上げ始める。
宗重
「おい政武、あそこを見てみよ!」
政武
「おぉ!ようやくこの船の上での生活からおさらばできるようじゃな!」
政武は喜びの声を上げていた。
その途中で激しい嵐に見舞われるなどしてはいたが先の守常によって発明された大船のおかげもあり、難なくこれらを突破。
今現在も安定を保ちながらセビカへと向かうべく航海が続けられていた。
崇房
「進めど進めど周りは海。セビカと申す国は真に我ら創天国から遠き場所に有るのじゃな…」
崇房は苦い表情を浮かべながらそう言っていた。
どうやらこの数日間を船の上で過ごしている事に対して少し疲れた様子を見せている。
そしてそれは崇房に限った話では無かった。
祐永
「ふむ、あれからもう何日も海の上を進み続けておるが…まだセビカには着かぬようであるな…」
祐永もまた崇房と同じく、依然として目的地であるセビカに到着する気配が見られぬ事に対してそうした言葉を漏らしていた。
創天国とセビカまでは相当な距離がある為、長期間の航海となる事は間違い無い。
それ故に、気を緩める事無く航海を続けるべし。
祐永は創天国からの出港前に皆に対してそう促していた。
だが、今のこの状況下に置かれた事で祐永自身までもが不安を抱き始めているようであった。
一方、宗重らの乗った船では宗重が静かに口を開き始める。
宗重
「政武よ、セビカが見えてくるのはもうじきぞ。向こうでの準備はできておるか?」
政武
「あぁ、言われなくとも俺も分かってるよ爺さん。セビカに着くは間もなくということはな。」
宗重と政武らは一度、創天国から海を渡ってセビカを訪問していた。
それ故に現在の自身たちが今る場所をある程度把握していたのであろうか、目的地であるセビカに近付いて来ている事を感じているようであった。
政武
「全く退屈で仕方が無い故、早いとこ陸地に足を着けたいものじゃ。」
宗重
「ほう、奇遇であるな。儂もお前と同じことを考えておったところじゃ。」
宗重は、珍しくお互いの考えている事が一致していた事に対して軽く笑いながらそう言っていた。
宗重
「間もなく我ら創天幕府の軍勢が助太刀に参ります故に長継殿にドヴェルク殿、今しばらくの辛抱にござるぞ…」
長継やドヴェルク、そしてセビカ国王のアルド。
今、彼らはいつ襲われるかも知れぬ敵国 ヘルト独立勢力の脅威に怯えて眠れぬ日々を過ごしているであろう。
だが、それも我々創天幕府の援軍がセビカに到着するまでの話だ。
それまではもうしばらくの辛抱である故に、何としてでも持ち堪えてくれ…
宗重は真剣な表情をしてそう呟いていた。
すると今度は政武が笑いながら宗重に対して言葉をかける。
政武
「へへっ、爺さんよ。俺もちょうどあんたと同じことを考えていたぜ。珍しい日もあったもんじゃな。」
どうやら政武もまた宗重と同じ考えを持っていたようであり、たまらず笑いながらそう言っていた。
こうも珍しくお互いの思っている事が一致する事に対し、和やかな雰囲気へと切り替わった。
以前は意見が食い違うなどして口論に至った事も多々あったが、今は最早以心伝心と言っても良い程にまで至っている。
宗重と政武らは、たびたび共にこうして行動していた故の事であろう。
それから数刻の時が経っていた。
すると宗重が政武に対して声を上げ始める。
宗重
「おい政武、あそこを見てみよ!」
政武
「おぉ!ようやくこの船の上での生活からおさらばできるようじゃな!」
政武は喜びの声を上げていた。
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