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第9章 創天国の魂編
79.待ち受ける脅威
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幕府軍は宗重と政武らの案内によってセビカ国へ向かうべく航海を開始。
それからさらに数刻の時が経っていた。
宗重
「ん?どうした政武よ?そのような顔をして何か案ずることでもあろうか?」
どうやら政武は苦い表情していたようであり、それに対して宗重が思わず言葉をかけていた。
すると重々しい口調で政武が答える。
政武
「爺さんよ…もうじき、嵐が…それも大荒れの嵐が来るぜ…」
政武が言うには、間もなくこの辺り一帯を嵐が襲うとの事である。
宗重
「ほう、嵐とな。して、それは如何ほどの規模というのじゃ?」
その問い掛けに対し、政武は引きつった顔で答え始める。
政武
「少なくとも、俺たち亀去島海賊衆の船が沈んだあの時ほどの規模は有ると思うぜ…」
それは先月に、政武が亀去島海賊衆の頭領として幕府の使者と戦闘状態となった時の事である。
始めの方こそは共に互角にやり合ってはいたが次第に政武の攻撃を一方的に受けるようになり、幕府側は一転して不利な状況へと陥る。
このままの戦況で進めば幕府側は間違いなく壊滅するであろう。
まさにそう思われていた時である。
付近の海上にて発達した雨雲が発生し、両者の船を包み込み始めていた。
やがてそれは嵐となり、海上は一気に大荒れ模様となっていった。
この突然の嵐によって亀去島海賊衆の士気は低下。
戦況は再び互角の状態へと戻り、幕府側壊滅の危機は免れていた。
そして、この戦いは実にあっけない形で決着がつく事となる。
激しい嵐によって引き起こされた波が亀去島海賊衆の船を飲み込んだのである。
この突然の出来事に亀去島海賊衆は為す術もなく、海の底へと沈み始めようとしていた。
すると、その直後に宗重によって政武とその部下数名を無事に救い出す事に成功。
結果、幕府側と亀去島海賊衆との戦いは幕府側の勝利となったのである。
宗重
「なるほど、あの時の嵐か。ふむ…そうであるか…」
あの時に遭った嵐を思い出していたのであろうか、宗重もまた穏やかではない表情であった。
だが、少し考え込んだ後に急に落ち着いた様子を見せて政武に対して言う。
宗重
「おい政武、構わぬ。そのまま進み続けよ。良いな?」
政武
「おいおい、爺さん正気かよ?本当にそれで大丈夫なのか?」
宗重も政武も先月の嵐によって散々な目に遭わされ、一時は死を覚悟するにまで至っていたはず。
にも関わらず、それに対して全く動じる様子を見せない宗重が政武には理解出来ない様子であった。
すると宗重は淡々とした口調で述べ始める。
宗重
「あの守常殿が造られた船であらば、かような嵐など恐れるに足りず故のことにござる。」
天下の発明家と名高き九条信常の子である九条守常もまた、彼の類まれなる才能を存分に受け継いでいよう。
そのような者が発明された船であらば、これしきの嵐などは物ともせぬであろう。
そう言うと宗重は、後方にいる崇房と祐永らの船に目を向けていた。
宗重に対して彼らが声を上げ始める。
崇房
「じきに嵐が吹くとのことらしいが、何も案ずることは無かろう。嵐なぞ構わず進め!進むのじゃ!」
祐永
「必ずやこの大船が我らを守ってくれる故、そのまま進まれよ!」
宗重
「崇房殿も祐永殿もかように申されておるであろう。儂らの船は決して沈むことは無いとな。」
政武
「分かったよ爺さん…あんたらのその言葉、俺も信じるよ。」
宗重らの言葉に対してまだ少し困惑した様子を見せながらも政武はそう答えていた。
それからさらに数刻の時が経っていた。
宗重
「ん?どうした政武よ?そのような顔をして何か案ずることでもあろうか?」
どうやら政武は苦い表情していたようであり、それに対して宗重が思わず言葉をかけていた。
すると重々しい口調で政武が答える。
政武
「爺さんよ…もうじき、嵐が…それも大荒れの嵐が来るぜ…」
政武が言うには、間もなくこの辺り一帯を嵐が襲うとの事である。
宗重
「ほう、嵐とな。して、それは如何ほどの規模というのじゃ?」
その問い掛けに対し、政武は引きつった顔で答え始める。
政武
「少なくとも、俺たち亀去島海賊衆の船が沈んだあの時ほどの規模は有ると思うぜ…」
それは先月に、政武が亀去島海賊衆の頭領として幕府の使者と戦闘状態となった時の事である。
始めの方こそは共に互角にやり合ってはいたが次第に政武の攻撃を一方的に受けるようになり、幕府側は一転して不利な状況へと陥る。
このままの戦況で進めば幕府側は間違いなく壊滅するであろう。
まさにそう思われていた時である。
付近の海上にて発達した雨雲が発生し、両者の船を包み込み始めていた。
やがてそれは嵐となり、海上は一気に大荒れ模様となっていった。
この突然の嵐によって亀去島海賊衆の士気は低下。
戦況は再び互角の状態へと戻り、幕府側壊滅の危機は免れていた。
そして、この戦いは実にあっけない形で決着がつく事となる。
激しい嵐によって引き起こされた波が亀去島海賊衆の船を飲み込んだのである。
この突然の出来事に亀去島海賊衆は為す術もなく、海の底へと沈み始めようとしていた。
すると、その直後に宗重によって政武とその部下数名を無事に救い出す事に成功。
結果、幕府側と亀去島海賊衆との戦いは幕府側の勝利となったのである。
宗重
「なるほど、あの時の嵐か。ふむ…そうであるか…」
あの時に遭った嵐を思い出していたのであろうか、宗重もまた穏やかではない表情であった。
だが、少し考え込んだ後に急に落ち着いた様子を見せて政武に対して言う。
宗重
「おい政武、構わぬ。そのまま進み続けよ。良いな?」
政武
「おいおい、爺さん正気かよ?本当にそれで大丈夫なのか?」
宗重も政武も先月の嵐によって散々な目に遭わされ、一時は死を覚悟するにまで至っていたはず。
にも関わらず、それに対して全く動じる様子を見せない宗重が政武には理解出来ない様子であった。
すると宗重は淡々とした口調で述べ始める。
宗重
「あの守常殿が造られた船であらば、かような嵐など恐れるに足りず故のことにござる。」
天下の発明家と名高き九条信常の子である九条守常もまた、彼の類まれなる才能を存分に受け継いでいよう。
そのような者が発明された船であらば、これしきの嵐などは物ともせぬであろう。
そう言うと宗重は、後方にいる崇房と祐永らの船に目を向けていた。
宗重に対して彼らが声を上げ始める。
崇房
「じきに嵐が吹くとのことらしいが、何も案ずることは無かろう。嵐なぞ構わず進め!進むのじゃ!」
祐永
「必ずやこの大船が我らを守ってくれる故、そのまま進まれよ!」
宗重
「崇房殿も祐永殿もかように申されておるであろう。儂らの船は決して沈むことは無いとな。」
政武
「分かったよ爺さん…あんたらのその言葉、俺も信じるよ。」
宗重らの言葉に対してまだ少し困惑した様子を見せながらも政武はそう答えていた。
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――――――――――
●本作のメインテーマは、あくまで(途中まで)史実の地球を舞台とし、そこに船魄(せんぱく)という異物を投入したらどうなるのか、です。いわゆる艦船擬人化ものですが、特に軍艦や歴史の知識がなくとも楽しめるようにしてあります。もちろん知識があった方が楽しめることは違いないですが。
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