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第9章 創天国の魂編
52.ワニアの堅城
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宗重はヘルト城への潜入すべくワニア山を突き進む。
その途中で度重なる崖崩れによる脅威に見舞われていたが、難無くこれらを突破。
そして突如として発生した濃い霧によって視界が奪われ始め、宗重は一寸先も見えぬ程の視界の悪い環境に立たされる。
しかし、墨山藩の信栄斎(しんえいさい)が開発した霧の中のような視界の悪い場所であっても辺りをくっきりと見渡す事の出来る道具である「霧眼鏡(むげんきょう)」を使用する事で足止めを食わずして進行は継続。
そうして進み着いた先には大きな建物が宗重の目の前に飛び込んで来た。
宗重
「これは、城…か?城、なのであろうか?」
宗重は、ワニア山に構えたその建物を目を凝らして見始める。
その目は建物の細部に至るところまでじっくりと観察しているようであった。
やがて宗重は納得した様子で口を開く。
宗重
「ふむ、創天国とワニア。国は違えど城らしき造りが随所に見受けられる。するとこれがヘルト城であるのか…」
宗重の言った通り、その建物はヘルト城であった。
自国である創天国とは違った造りではあるものの、それが城であるということを宗重は認識していたようだ。
そしてヘルト城をしげしげと眺めながら言う。
宗重
「むぅ…この城、どこかあの墨山城を思い出させるものがあるのぅ…」
・墨山城(すみやまじょう)
かつて戦国期において墨山国を治めていた大名 外河家の居城。
城としての歴史は非常に古く、初代三浦幕府創設時には既に築城されていたとされている。
墨山国は一年を通して大気の状態が不安定な地であり、霧がしばしば発生していた。
このことから別名「霧の城」とも呼ばれている。
なお、墨山城は築城されてから志太軍の侵攻(第二次墨山の戦い)を受けるまでは一度も落城した事は無かったほどの堅城であった。
ヘルト城に自国である創天国の墨山城を彷彿させるような雰囲気を宗重は感じているようであった。
やがて宗重は重々しい口調で呟き始める。
宗重
「険しき山に築かれし城。それ故、堅城であることに違いは無さそうにござるな。あの墨山城のように…」
頻発する崖崩れや発生した濃い霧による視界不良。
このような過酷な環境に築かれている城は非常に守りが固く、敵の侵入をそう簡単に許してはくれないであろう。
かつて志太軍が二度に渡る外河軍との戦いによって手を焼いたあの墨山城のように…
宗重
「それにドヴェルク殿の申されておった通り、この地は真に神が住まれておるのやも知れぬな…」
宗重らを狙うかのようにして次々と襲いかかって来る自然の脅威。
よもやこれは神によって我々の侵入を許さぬ故の仕打ちなのであろうか。
元来、宗重は物の怪といった心霊現象などの類に対しても臆することは無い性格であったという。
だが、今回に彼が体験した一連の出来事が余程の衝撃だったのであろうか、非常に困惑した表情を見せている。
やがて宗重が顔をしかめて言う。
宗重
「いやはや真にこれは一筋縄ではいかぬ任務となりそうじゃ…」
ヘルト城を前にした宗重は、今回の主命を果たすのは非常に困難な事であろうと考えている様子であった。
だがすぐに勇ましい表情へと切り替わって声を上げる。
宗重
「こうしてはおれぬ。このヘルト城へ潜入し、内情を探るのじゃ!」
これより、宗重によるヘルト城の潜入が始まろうとしている。
その途中で度重なる崖崩れによる脅威に見舞われていたが、難無くこれらを突破。
そして突如として発生した濃い霧によって視界が奪われ始め、宗重は一寸先も見えぬ程の視界の悪い環境に立たされる。
しかし、墨山藩の信栄斎(しんえいさい)が開発した霧の中のような視界の悪い場所であっても辺りをくっきりと見渡す事の出来る道具である「霧眼鏡(むげんきょう)」を使用する事で足止めを食わずして進行は継続。
そうして進み着いた先には大きな建物が宗重の目の前に飛び込んで来た。
宗重
「これは、城…か?城、なのであろうか?」
宗重は、ワニア山に構えたその建物を目を凝らして見始める。
その目は建物の細部に至るところまでじっくりと観察しているようであった。
やがて宗重は納得した様子で口を開く。
宗重
「ふむ、創天国とワニア。国は違えど城らしき造りが随所に見受けられる。するとこれがヘルト城であるのか…」
宗重の言った通り、その建物はヘルト城であった。
自国である創天国とは違った造りではあるものの、それが城であるということを宗重は認識していたようだ。
そしてヘルト城をしげしげと眺めながら言う。
宗重
「むぅ…この城、どこかあの墨山城を思い出させるものがあるのぅ…」
・墨山城(すみやまじょう)
かつて戦国期において墨山国を治めていた大名 外河家の居城。
城としての歴史は非常に古く、初代三浦幕府創設時には既に築城されていたとされている。
墨山国は一年を通して大気の状態が不安定な地であり、霧がしばしば発生していた。
このことから別名「霧の城」とも呼ばれている。
なお、墨山城は築城されてから志太軍の侵攻(第二次墨山の戦い)を受けるまでは一度も落城した事は無かったほどの堅城であった。
ヘルト城に自国である創天国の墨山城を彷彿させるような雰囲気を宗重は感じているようであった。
やがて宗重は重々しい口調で呟き始める。
宗重
「険しき山に築かれし城。それ故、堅城であることに違いは無さそうにござるな。あの墨山城のように…」
頻発する崖崩れや発生した濃い霧による視界不良。
このような過酷な環境に築かれている城は非常に守りが固く、敵の侵入をそう簡単に許してはくれないであろう。
かつて志太軍が二度に渡る外河軍との戦いによって手を焼いたあの墨山城のように…
宗重
「それにドヴェルク殿の申されておった通り、この地は真に神が住まれておるのやも知れぬな…」
宗重らを狙うかのようにして次々と襲いかかって来る自然の脅威。
よもやこれは神によって我々の侵入を許さぬ故の仕打ちなのであろうか。
元来、宗重は物の怪といった心霊現象などの類に対しても臆することは無い性格であったという。
だが、今回に彼が体験した一連の出来事が余程の衝撃だったのであろうか、非常に困惑した表情を見せている。
やがて宗重が顔をしかめて言う。
宗重
「いやはや真にこれは一筋縄ではいかぬ任務となりそうじゃ…」
ヘルト城を前にした宗重は、今回の主命を果たすのは非常に困難な事であろうと考えている様子であった。
だがすぐに勇ましい表情へと切り替わって声を上げる。
宗重
「こうしてはおれぬ。このヘルト城へ潜入し、内情を探るのじゃ!」
これより、宗重によるヘルト城の潜入が始まろうとしている。
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https://samuramagosen.themedia.jp/
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