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第9章 創天国の魂編
43.長き航海の末に
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それから更に数日が経った。
船は目的地であるワニア島を目指して現在も航海を続けている。
そんな中、宗重が疲れた表情を見せながら言う。
宗重
「遠回りの航路をせんで済んだものの、やはりワニアまでの航路は長きものでござるな…」
航路の距離が短縮されたとはいえど、ワニア島の東端を目指しての距離が長い事に変わりは無い。
それ故にやはりどうしても到着するまでには日数はかかるであろう。
長期に渡っての航海になるであろうと考えていた宗重は気が重い様子である。
政武
「しかし、長継の言うておった遠回りの航路で進んでおれば俺たちはどうなっておったであろうな。」
ワニア島を本拠地に構えるヘルト独立勢力の者たちの警備にかからぬ為には、大回りの航路で潜入する他に手は無い。
この長継による提案のままに船を進めていれば、ワニア島に到着するまでどれほどの時が必要となるであろうかと考えていた。
宗重
「うむ、思えばかなり無茶なことでござったな…」
確かに今、それを考えただけでも更に気が遠くなりそうな事である。
宗重もまた政武に同じく、苦笑いをしてそう答えていた。
すると今度は政武がうんざりした表情を浮かべながら口を開き始める。
政武
「俺は長い期間の航海は嫌いなもんでな。どうも退屈で仕方ないわ!」
宗重
「仮にもお前は海賊を束ねし頭領のであろう?全く、お前は真に変わった男じゃのう。」
航海というものは実に退屈で退屈で仕方がない。
海の上においての活動を主とする海賊衆である人間らしからぬ発言である。
この政武の言葉に宗重は思わず失笑していた。
すると政武が活き活きとした声を上げ始める。
政武
「俺は船の上で強い相手と命のやり取りをするのが好きなもんでな。相手を完膚なきまでに叩きのめして今まで生きて来た男よ!」
敵として出会った相手に対して戦いを挑み、そして勝利する事が政武にとって何よりの生きがいであるという。
力によって相手を屈服させ、自身の強さを見せつけてやりたい。
そうした異常なまでの自己顕示欲が政武の中には存在しているようである。
そんな自信満々な表情をしている政武に対して横槍を入れるように宗重が口を開く。
宗重
「ふふん。じゃが、儂ら幕府に対して敗北はしてはおるがな。」
政武
「うっ、爺さん…そ、それは言わんでくれよ…」
宗重は先の志栄島当方沖での幕府との海戦においては政武率いる亀去島海賊衆が敗北した事を口にしていた。
痛い所を突かれた政武は、たちまち苦虫を噛み潰したような表情になった。
それに対し宗重が真剣な表情をして続けて喋り始める。
宗重
「じゃが、その心意気や良し。儂はこれでもお前の力を買っておる故、存分な働きを期待してはおるでな。」
先の戦いで政武は確かに敗北はしている。
だが、それまでの政武が持つ無敗の歴戦に対して宗重は認めている様子だ。
それは、政武の勝利に対する異常なまでの執着心に底知れぬ力を感じていたからであった。
政武
「まぁ、俺のことを認めてはくれておるようではあるが…どうもそのことを言われると調子が狂うぜ…」
自身の実力に対して宗重は高く評価されているという事は非常に喜ばしいものではある。
しかし、幕府に敗北したという過去の失敗を引き合いに出された事に対して政武はたちまちげんなりとし始め、暫く黙り込むのであった。
そしてそれから数刻の時が経った後に、先程までの沈黙を破るように政武が声を上げ始める。
政武
「おっ、そろそろ目的の場所に着きそうではないか?」
どうやら船は、彼らが目指しているワニア島の東端部に間もなく到着しようとしているようであった。
政武によるその声を聞いた宗重が引き締まった表情を見せながら言う。
宗重
「よし、忍びとしての務めを果たす時はもうじきぞ。政武、用意は出来ておろうな?」
政武
「おうよ!俺の忍びとしての力、見せてくれるわ!」
政武は威勢の良い声を上げていた。
船は目的地であるワニア島を目指して現在も航海を続けている。
そんな中、宗重が疲れた表情を見せながら言う。
宗重
「遠回りの航路をせんで済んだものの、やはりワニアまでの航路は長きものでござるな…」
航路の距離が短縮されたとはいえど、ワニア島の東端を目指しての距離が長い事に変わりは無い。
それ故にやはりどうしても到着するまでには日数はかかるであろう。
長期に渡っての航海になるであろうと考えていた宗重は気が重い様子である。
政武
「しかし、長継の言うておった遠回りの航路で進んでおれば俺たちはどうなっておったであろうな。」
ワニア島を本拠地に構えるヘルト独立勢力の者たちの警備にかからぬ為には、大回りの航路で潜入する他に手は無い。
この長継による提案のままに船を進めていれば、ワニア島に到着するまでどれほどの時が必要となるであろうかと考えていた。
宗重
「うむ、思えばかなり無茶なことでござったな…」
確かに今、それを考えただけでも更に気が遠くなりそうな事である。
宗重もまた政武に同じく、苦笑いをしてそう答えていた。
すると今度は政武がうんざりした表情を浮かべながら口を開き始める。
政武
「俺は長い期間の航海は嫌いなもんでな。どうも退屈で仕方ないわ!」
宗重
「仮にもお前は海賊を束ねし頭領のであろう?全く、お前は真に変わった男じゃのう。」
航海というものは実に退屈で退屈で仕方がない。
海の上においての活動を主とする海賊衆である人間らしからぬ発言である。
この政武の言葉に宗重は思わず失笑していた。
すると政武が活き活きとした声を上げ始める。
政武
「俺は船の上で強い相手と命のやり取りをするのが好きなもんでな。相手を完膚なきまでに叩きのめして今まで生きて来た男よ!」
敵として出会った相手に対して戦いを挑み、そして勝利する事が政武にとって何よりの生きがいであるという。
力によって相手を屈服させ、自身の強さを見せつけてやりたい。
そうした異常なまでの自己顕示欲が政武の中には存在しているようである。
そんな自信満々な表情をしている政武に対して横槍を入れるように宗重が口を開く。
宗重
「ふふん。じゃが、儂ら幕府に対して敗北はしてはおるがな。」
政武
「うっ、爺さん…そ、それは言わんでくれよ…」
宗重は先の志栄島当方沖での幕府との海戦においては政武率いる亀去島海賊衆が敗北した事を口にしていた。
痛い所を突かれた政武は、たちまち苦虫を噛み潰したような表情になった。
それに対し宗重が真剣な表情をして続けて喋り始める。
宗重
「じゃが、その心意気や良し。儂はこれでもお前の力を買っておる故、存分な働きを期待してはおるでな。」
先の戦いで政武は確かに敗北はしている。
だが、それまでの政武が持つ無敗の歴戦に対して宗重は認めている様子だ。
それは、政武の勝利に対する異常なまでの執着心に底知れぬ力を感じていたからであった。
政武
「まぁ、俺のことを認めてはくれておるようではあるが…どうもそのことを言われると調子が狂うぜ…」
自身の実力に対して宗重は高く評価されているという事は非常に喜ばしいものではある。
しかし、幕府に敗北したという過去の失敗を引き合いに出された事に対して政武はたちまちげんなりとし始め、暫く黙り込むのであった。
そしてそれから数刻の時が経った後に、先程までの沈黙を破るように政武が声を上げ始める。
政武
「おっ、そろそろ目的の場所に着きそうではないか?」
どうやら船は、彼らが目指しているワニア島の東端部に間もなく到着しようとしているようであった。
政武によるその声を聞いた宗重が引き締まった表情を見せながら言う。
宗重
「よし、忍びとしての務めを果たす時はもうじきぞ。政武、用意は出来ておろうな?」
政武
「おうよ!俺の忍びとしての力、見せてくれるわ!」
政武は威勢の良い声を上げていた。
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