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第9章 創天国の魂編
37.口論
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セビカ国と創天幕府の共敵となったヘルト独立勢力。
その本拠地である城が険しい山の中腹部に築かれている事を知った幕府の者たちは皆がいかめしい表情を見せていた。
すると政武が彼らに構わず言い放つ。
「幕府の人間ともあろう者たちがそのような弱気な態度で良いのか」
この言葉を聞いた貞広がすかさず声を上げる。
貞広
「政武!貴様は黙って聞いておれば好き勝手なことを申しおって!」
政武の言葉に余程腹が立っていたのであろうか、険しい表情で政武を睨みつけていた。
今にも政武の胸ぐらを掴んで凄みそうな勢いであった。
だがそれにも構わず政武は続けて喋り始める。
政武
「俺は真のことを言っただけじゃがな。全く、これで幕府の者とは聞いて呆れるわ!」
志太家は様々な困難をも乗り越え、天下を治めた事に対しては素晴らしいとは思っている。
だが、そのような者たちが揃いも揃って尻込みをする気配を見せると言うのは実に滑稽である。
最早幕府というものは、ただの飾りにしか過ぎない存在に成り下がっていたのか。
政武はそう言いたげな様子であった。
それに対して貞広はなおも険しい表情を見せて声を上げる。
貞広
「お主は墨山城の堅固さを知らぬ故、かようなことが申せるのじゃ!我らがどのような思いで墨山城を攻略したことも知らぬくせに…」
幾度の困難に直面しては必ず乗り越え続けて志太家が天下を手にした事は事実ではある。
だが、それらを乗り越える為に我ら志太家の者たちは血の滲むような思いで全力を尽くしてここまで来たのだ。
たかだかいち海賊衆の人間が我らの努力に対して知った風な口を利くとは真に許せぬ行為である。
貞広は腸が煮えくり返るような思いであった。
するとそんな二人の間を割って宗重が声を出す。
宗重
「まぁ待たれよ貞広殿。政武の申しておることは至極当然じゃ。」
政武
「ほう、随分と素直じゃねえか。爺さんよ。」
政武は宗重のその言葉を聞いた瞬間、意地悪そうな顔を見せた。
冷静な口調で宗重が喋り始める。
宗重
「墨山城は確かに我ら志太軍が苦戦を強いられた堅城。それ以上の城が存在しておることに面を食らってはおる。」
たとえ天下を治めた志太家であろうとも、過去に遭遇した困難以上のものが待ち構えている事が分かれば身構えてはしまうであろう。
実に率直かつ素直な見解とも言える言葉である。
そして次の瞬間に宗重は神妙な顔つきに切り替わって政武の目を見つめて言う。
宗重
「じゃが我らは奴らと戦わぬとは申してはおらぬ故、早とちりをするでないぞ。」
身構えこそはするものの、そのような敵からは決して逃げずに真っ向から立ち向かう。
セビカ国と盟友となった以上は、何があろうとも必ずや忠義を貫き通す。
それが創天国の、志太幕府の信念でもあり魂でもあるのだ。
宗重は政武に対してそう語りかけていた。
政武
「ふん、それならそうと早く素直に言えば良いじゃねえか。実に回りくどき奴らばかりで呆れてくるわ。」
政武はなおも気だるそうな様子を見せながら吐き捨てるように言っていた。
それに対して宗重が政武の肩を軽く叩いて言う。
宗重
「政武、お前も戦の場に出れば分かるであろう。その時に儂らの考えておることがな…」
政武
「へっ、なんじゃそりゃ。」
政武には依然としてあまりぴんとは来ていない様子であった。
その本拠地である城が険しい山の中腹部に築かれている事を知った幕府の者たちは皆がいかめしい表情を見せていた。
すると政武が彼らに構わず言い放つ。
「幕府の人間ともあろう者たちがそのような弱気な態度で良いのか」
この言葉を聞いた貞広がすかさず声を上げる。
貞広
「政武!貴様は黙って聞いておれば好き勝手なことを申しおって!」
政武の言葉に余程腹が立っていたのであろうか、険しい表情で政武を睨みつけていた。
今にも政武の胸ぐらを掴んで凄みそうな勢いであった。
だがそれにも構わず政武は続けて喋り始める。
政武
「俺は真のことを言っただけじゃがな。全く、これで幕府の者とは聞いて呆れるわ!」
志太家は様々な困難をも乗り越え、天下を治めた事に対しては素晴らしいとは思っている。
だが、そのような者たちが揃いも揃って尻込みをする気配を見せると言うのは実に滑稽である。
最早幕府というものは、ただの飾りにしか過ぎない存在に成り下がっていたのか。
政武はそう言いたげな様子であった。
それに対して貞広はなおも険しい表情を見せて声を上げる。
貞広
「お主は墨山城の堅固さを知らぬ故、かようなことが申せるのじゃ!我らがどのような思いで墨山城を攻略したことも知らぬくせに…」
幾度の困難に直面しては必ず乗り越え続けて志太家が天下を手にした事は事実ではある。
だが、それらを乗り越える為に我ら志太家の者たちは血の滲むような思いで全力を尽くしてここまで来たのだ。
たかだかいち海賊衆の人間が我らの努力に対して知った風な口を利くとは真に許せぬ行為である。
貞広は腸が煮えくり返るような思いであった。
するとそんな二人の間を割って宗重が声を出す。
宗重
「まぁ待たれよ貞広殿。政武の申しておることは至極当然じゃ。」
政武
「ほう、随分と素直じゃねえか。爺さんよ。」
政武は宗重のその言葉を聞いた瞬間、意地悪そうな顔を見せた。
冷静な口調で宗重が喋り始める。
宗重
「墨山城は確かに我ら志太軍が苦戦を強いられた堅城。それ以上の城が存在しておることに面を食らってはおる。」
たとえ天下を治めた志太家であろうとも、過去に遭遇した困難以上のものが待ち構えている事が分かれば身構えてはしまうであろう。
実に率直かつ素直な見解とも言える言葉である。
そして次の瞬間に宗重は神妙な顔つきに切り替わって政武の目を見つめて言う。
宗重
「じゃが我らは奴らと戦わぬとは申してはおらぬ故、早とちりをするでないぞ。」
身構えこそはするものの、そのような敵からは決して逃げずに真っ向から立ち向かう。
セビカ国と盟友となった以上は、何があろうとも必ずや忠義を貫き通す。
それが創天国の、志太幕府の信念でもあり魂でもあるのだ。
宗重は政武に対してそう語りかけていた。
政武
「ふん、それならそうと早く素直に言えば良いじゃねえか。実に回りくどき奴らばかりで呆れてくるわ。」
政武はなおも気だるそうな様子を見せながら吐き捨てるように言っていた。
それに対して宗重が政武の肩を軽く叩いて言う。
宗重
「政武、お前も戦の場に出れば分かるであろう。その時に儂らの考えておることがな…」
政武
「へっ、なんじゃそりゃ。」
政武には依然としてあまりぴんとは来ていない様子であった。
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