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第9章 創天国の魂編
22.幕府の魂
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幕府と亀去島海賊衆は、崩れ行く天候の中で海戦が繰り広げられていた。
やがてその場に嵐が訪れ、政武ら率いる亀去島海賊衆の船は高波に飲み込まれてしまう。
先程までそこにあった船は大破し、見るも無残な姿へと形を変えた後にあっという間に沈んでしまった。
この様子に宗重がすかさず声を上げる。
「海に投げ出されてしまった政武らをただちに救出せよ。」
たとえ敵であろうとも戦が終わった後は、その者たちに救いの手を差し伸べてあげるべし。
志太幕府将軍 志太祐宗ならびにその先代である祐藤らによる思想のもと、宗重は動いたのであった。
宗重
「皆の者よ、しっかりとその縄を持たれよ!良いな?」
宗重が皆に対してそう言った。
縄は荒れ狂う海の中へと投げ入れられている。
その様子に貞広が思わず口を開き始める。
貞広
「よもや、敵として遭うた者を救うことになろうとはな…」
貞広は複雑な心境であった。
つい先刻までは互いの命をかけた激しい戦いを繰り広げた相手に対してこの行動であるのだから無理は無かろう。
すると長継が真剣な表情をして貞広に対して声をかける。
長継
「これが創天国に住まう者たちの魂なのでございましょう。真に…真に素晴らしき魂にございます。」
宗重による言葉や行動は、創天国 志太幕府の根底に存在する素晴らしい思想であり魂であると感嘆の声を上げていた。
妬み、嫉み、恨み、辛み、などなど…
「人間」というものほど、愚かで自分勝手な存在は無いであろう。
そしてその愚かさ故に、多くの人々がしばしば苦しめられているのだ。
しかし創天国の人たちは、そうした負の存在を打ち消すほどの素晴らしい魂を持っているのでは無いか。
長継はそう考えているようであった。
ドヴェルク
「長継の言うとおりセビカいや、私たちを含むこの世界に住まう者たちが見習いたいものでございます。このような思想を皆が持てば必ず世界は平和なものとなるでしょう…」
この素晴らしき魂は創天国だけではなく、世界の者たちが持てば平和な世となるであろう。
ドヴェルクは、全世界の平和と言う壮大な理想を描いているようであった。
やがて家臣の一人が激しく波打つ海面を指差して声を上げる。
家臣
「宗重様!あ、あれをご覧くだされ!」
宗重
「むっ、あれは…政武殿か?」
家臣の指差したところには政武の姿があった。
政武はただ海に浮かんだ状態であり、動く気配が見られなかった。
どうやら先程の高波に飲み込まれた事により、気を失っているのであろうか…
すると宗重は意を決した表情を見せて声を上げる。
宗重
「えぇい!こうしてはおれぬ!かくなる上は、儂が一肌脱ごうぞ!待っておれ!」
宗重は急いで袴を脱ぎ、褌姿となっていた。
そうしてすぐに海へざぶんと飛び込んだ。
貞広
「宗重殿!何という無茶なことを…」
この宗重の突然の行動に貞広は思わず声を上げた。
自身の危険をも顧みずに荒れ狂う海の中へと身を投げ出した宗重に対して心配な様子である。
宗重は波の激しい海の中をももろともせず器用に泳ぎ始める。
そうしてすぐに政豊の元へと泳ぎ切り、体を掴んで言う。
宗重
「政武殿!お主はかようなところで死すべき人間ではなかろう!しっかりなされよ!」
政武
「…」
しかし、政武の体は依然として動く様子は無かった。
やがてその場に嵐が訪れ、政武ら率いる亀去島海賊衆の船は高波に飲み込まれてしまう。
先程までそこにあった船は大破し、見るも無残な姿へと形を変えた後にあっという間に沈んでしまった。
この様子に宗重がすかさず声を上げる。
「海に投げ出されてしまった政武らをただちに救出せよ。」
たとえ敵であろうとも戦が終わった後は、その者たちに救いの手を差し伸べてあげるべし。
志太幕府将軍 志太祐宗ならびにその先代である祐藤らによる思想のもと、宗重は動いたのであった。
宗重
「皆の者よ、しっかりとその縄を持たれよ!良いな?」
宗重が皆に対してそう言った。
縄は荒れ狂う海の中へと投げ入れられている。
その様子に貞広が思わず口を開き始める。
貞広
「よもや、敵として遭うた者を救うことになろうとはな…」
貞広は複雑な心境であった。
つい先刻までは互いの命をかけた激しい戦いを繰り広げた相手に対してこの行動であるのだから無理は無かろう。
すると長継が真剣な表情をして貞広に対して声をかける。
長継
「これが創天国に住まう者たちの魂なのでございましょう。真に…真に素晴らしき魂にございます。」
宗重による言葉や行動は、創天国 志太幕府の根底に存在する素晴らしい思想であり魂であると感嘆の声を上げていた。
妬み、嫉み、恨み、辛み、などなど…
「人間」というものほど、愚かで自分勝手な存在は無いであろう。
そしてその愚かさ故に、多くの人々がしばしば苦しめられているのだ。
しかし創天国の人たちは、そうした負の存在を打ち消すほどの素晴らしい魂を持っているのでは無いか。
長継はそう考えているようであった。
ドヴェルク
「長継の言うとおりセビカいや、私たちを含むこの世界に住まう者たちが見習いたいものでございます。このような思想を皆が持てば必ず世界は平和なものとなるでしょう…」
この素晴らしき魂は創天国だけではなく、世界の者たちが持てば平和な世となるであろう。
ドヴェルクは、全世界の平和と言う壮大な理想を描いているようであった。
やがて家臣の一人が激しく波打つ海面を指差して声を上げる。
家臣
「宗重様!あ、あれをご覧くだされ!」
宗重
「むっ、あれは…政武殿か?」
家臣の指差したところには政武の姿があった。
政武はただ海に浮かんだ状態であり、動く気配が見られなかった。
どうやら先程の高波に飲み込まれた事により、気を失っているのであろうか…
すると宗重は意を決した表情を見せて声を上げる。
宗重
「えぇい!こうしてはおれぬ!かくなる上は、儂が一肌脱ごうぞ!待っておれ!」
宗重は急いで袴を脱ぎ、褌姿となっていた。
そうしてすぐに海へざぶんと飛び込んだ。
貞広
「宗重殿!何という無茶なことを…」
この宗重の突然の行動に貞広は思わず声を上げた。
自身の危険をも顧みずに荒れ狂う海の中へと身を投げ出した宗重に対して心配な様子である。
宗重は波の激しい海の中をももろともせず器用に泳ぎ始める。
そうしてすぐに政豊の元へと泳ぎ切り、体を掴んで言う。
宗重
「政武殿!お主はかようなところで死すべき人間ではなかろう!しっかりなされよ!」
政武
「…」
しかし、政武の体は依然として動く様子は無かった。
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