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第9章 創天国の魂編
14.亀去島海賊衆
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貞広らを乗せた幕府の船は、海賊衆の船と遭遇。
やがて海賊衆の船は幕府の船に最接近し、攻撃を開始。
放たれた矢は容赦なく貞広ら幕府の一行に降り注いでいた。
ほどなくして攻撃は止み、海賊衆と思わしき頭領が姿を現す。
六尺五寸で筋骨隆々とした肉体に真っ赤な首巻き姿といった出で立ちで一際目立っていた。
貞広
「おのれ貴様ら、我らを幕府の人間と知っての狼藉にござるか!」
貞広は目をかっと見開いて頭領に対してそう声を上げた。
頭領が悪びれた様子を見せること無く答える。
頭領
「ふふん、それがどうしたというのじゃ?幕府の人間とて、死すればただの人であろう。」
たとえ幕府の者であったとしても、死ねばただの一人の人間に変わりは無かろう。
言われてみれば至極当然とも言える言葉ではあるが、裏を返せばそれは単なる屁理屈に過ぎない。
相手が誰であろうとも狼藉を働く事が我らの信念であるかのような物言いである。
そうしてお互いの話が噛み合わない様子に業を煮やした宗重が言葉を発する。
宗重
「お主らは一体、何者じゃ?」
宗重のその問い掛けに頭領が答え始める。
頭領
「俺の名は、政武じゃ。亀去島海賊衆 頭領の政武じゃ、よう覚えておけ!」
・政武(せいぶ)
亀去島海賊衆頭領。
頭領になる以前は、各国を渡り歩いては乱暴狼藉を働くならず者であった。
敵対する衆との闘争においては現在に至るまで無敗であったという。
政武は、闘争に勝利する度にその相手を子分として取り入れるなどして着実に人材を確保。
そうして集まった子分たちと共に亀去島を拠点とした海賊衆を立ち上げ、頭領の座に就いた。
長継
「亀去島海賊衆の政武…真にとんでもなき男がおったものじゃ…」
ドヴェルク
「あぁ、恐ろしい…創天国にはこのような海賊たちがいるのですか…」
長継とドヴェルクらは、今までに見たことも無いほどの政武の気迫に圧倒されている様子であった。
彼らの母国セビカでも海賊衆と遭遇し、時には戦を繰り広げるなど数多くの経験を積んでいたという。
こうした経験がありながらも彼らは、政武をひとたび目の前にした事で戦々恐々としてしまった。
亀去島海賊衆がいかに凄まじい存在であった事が分かるであろう…
険しい表情で貞広が政武に対して問い掛けの言葉を発する。
貞広
「貴様、何故に我ら幕府の船を襲うのじゃ?答えよ。」
すると政武が軽く鼻で笑いながら答える。
政武
「理由ねぇ…そうじゃな、祐宗とかいう阿呆な男のせいで退屈な世となった腹いせ、とでも言っておこうかな。」
政武は、先の祐宗による天下統一で泰平の世を訪れさせた事に対して不満を感じていたと言っていた。
泰平の世。
それは、創天国に住まう誰もが願って止まなかった世である。
しかし、こと政武に関して言えばそのような世は退屈で退屈でたまらなかった。
それ故に、こうして海賊衆の徒党を組んで世を乱す行為を繰り返しているのだと言う。
貞広
「何じゃと、ただそれだけの理由でかような狼藉をはたらいておると申すわけか…」
貞広は呆れた様子でそう声を漏らしていた。
これに対して宗重は毅然とした態度を見せて声を上げる。
宗重
「全く、何たる愚かな男じゃ…その腐った根性、我らが叩き直してくれる!」
政武
「ふん、やれるもんならやってみな。返り討ちにしてやるわ!」
政武は胸を張り、堂々たる態度で声を上げていた。
やがて海賊衆の船は幕府の船に最接近し、攻撃を開始。
放たれた矢は容赦なく貞広ら幕府の一行に降り注いでいた。
ほどなくして攻撃は止み、海賊衆と思わしき頭領が姿を現す。
六尺五寸で筋骨隆々とした肉体に真っ赤な首巻き姿といった出で立ちで一際目立っていた。
貞広
「おのれ貴様ら、我らを幕府の人間と知っての狼藉にござるか!」
貞広は目をかっと見開いて頭領に対してそう声を上げた。
頭領が悪びれた様子を見せること無く答える。
頭領
「ふふん、それがどうしたというのじゃ?幕府の人間とて、死すればただの人であろう。」
たとえ幕府の者であったとしても、死ねばただの一人の人間に変わりは無かろう。
言われてみれば至極当然とも言える言葉ではあるが、裏を返せばそれは単なる屁理屈に過ぎない。
相手が誰であろうとも狼藉を働く事が我らの信念であるかのような物言いである。
そうしてお互いの話が噛み合わない様子に業を煮やした宗重が言葉を発する。
宗重
「お主らは一体、何者じゃ?」
宗重のその問い掛けに頭領が答え始める。
頭領
「俺の名は、政武じゃ。亀去島海賊衆 頭領の政武じゃ、よう覚えておけ!」
・政武(せいぶ)
亀去島海賊衆頭領。
頭領になる以前は、各国を渡り歩いては乱暴狼藉を働くならず者であった。
敵対する衆との闘争においては現在に至るまで無敗であったという。
政武は、闘争に勝利する度にその相手を子分として取り入れるなどして着実に人材を確保。
そうして集まった子分たちと共に亀去島を拠点とした海賊衆を立ち上げ、頭領の座に就いた。
長継
「亀去島海賊衆の政武…真にとんでもなき男がおったものじゃ…」
ドヴェルク
「あぁ、恐ろしい…創天国にはこのような海賊たちがいるのですか…」
長継とドヴェルクらは、今までに見たことも無いほどの政武の気迫に圧倒されている様子であった。
彼らの母国セビカでも海賊衆と遭遇し、時には戦を繰り広げるなど数多くの経験を積んでいたという。
こうした経験がありながらも彼らは、政武をひとたび目の前にした事で戦々恐々としてしまった。
亀去島海賊衆がいかに凄まじい存在であった事が分かるであろう…
険しい表情で貞広が政武に対して問い掛けの言葉を発する。
貞広
「貴様、何故に我ら幕府の船を襲うのじゃ?答えよ。」
すると政武が軽く鼻で笑いながら答える。
政武
「理由ねぇ…そうじゃな、祐宗とかいう阿呆な男のせいで退屈な世となった腹いせ、とでも言っておこうかな。」
政武は、先の祐宗による天下統一で泰平の世を訪れさせた事に対して不満を感じていたと言っていた。
泰平の世。
それは、創天国に住まう誰もが願って止まなかった世である。
しかし、こと政武に関して言えばそのような世は退屈で退屈でたまらなかった。
それ故に、こうして海賊衆の徒党を組んで世を乱す行為を繰り返しているのだと言う。
貞広
「何じゃと、ただそれだけの理由でかような狼藉をはたらいておると申すわけか…」
貞広は呆れた様子でそう声を漏らしていた。
これに対して宗重は毅然とした態度を見せて声を上げる。
宗重
「全く、何たる愚かな男じゃ…その腐った根性、我らが叩き直してくれる!」
政武
「ふん、やれるもんならやってみな。返り討ちにしてやるわ!」
政武は胸を張り、堂々たる態度で声を上げていた。
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