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第9章 創天国の魂編
11.海上での遭遇
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貞広ら一行が乗った船が徳葉海岸から出港。
創天国からはるか離れた異国の地であるセビカへと向かい始めていた。
それから数刻の時が過ぎ、船は志栄島の東方沖にまで進んでいた。
現地は、海が荒れるような兆しは全く見られぬほどに快晴の天候であった。
宗重
「いやはや、真に良き天候にも恵まれたものじゃ。セビカまでの航路も問題無さそうにございますな。」
辺りは雲一つ無い快晴でそのうえ波も穏やかな様子に対して宗重は安心した様子であった。
すると長継が真剣な表情を見せて宗重に対して言う。
長継
「ですが、油断は禁物にございます。海の上では思わぬことが起きます故に…」
ドヴェルク
「かくいう私たちも創天国に辿り着くまでには大変な苦労をしました。」
どうやら長継らがセビカから創天国に到着するまでには、様々な障壁に直面していたと言う。
嵐の吹く中での航海から始まり、鮫による襲撃、果ては航路を見失いかけた事による遭難の危機…
とにかく、海上では何が起こっても不思議では無いほどに無数の障壁が待ち構えているものである。
特にその中で最も悩まされたのが急激な天候の変化であったという。
長継
「海を渡ることが多き我らセビカの民から申せば、天候が一番の大敵にございます…」
長継らが住まうセビカの都市セラージュは港町として栄えており、無数の船が絶えず頻繁に海を渡って様々な都市を行き来している。
住民たちは船が日常の移動手段となっているが故に、そうした危機を体験する事が非常に多かったという。
そうした事実を知っている長継らによる言葉には非常に説得力があり、また重みがあった。
宗重
「ほう、海はそこまで危なきものにござるのですなあ…ふむ、しかと心得ましたぞ。」
長継らの言葉を聞いた宗重は、引き締まった表情を見せていた。
そうして暫くした後、船に同乗していた貞広の配下の家臣の一人が貞広の元に駆けつけて来た。
家臣は非常に慌てた様子を見せているようである。
家臣
「貞広様!貞広様!大変にございますぞ!」
宗重
「おや、そんなに焦られて一体いかがなされた?」
家臣の慌てぶりに宗重は少し驚きながら問い掛ける。
そして思い出したように宗重が続けて言う。
宗重
「はっ!もしや、嵐が訪れる兆しが見られたのでござるか?」
つい先程に長継らによって急激な天候の移り変わりには注意すべし、と言う言葉を思い出した宗重はそう口にしていた。
すると家臣は首を横に振り、喋り始める。
家臣
「我らの方角に向かって来る一隻の船を確認いたしました!」
貞広
「何じゃ何じゃ、騒々しいと思えばかようなことにござるか。船の一隻を見つけたくらいで一体何を慌てておるのじゃ。全く…」
家臣からの報告を受けた貞広は、呆れた表情でそう言っていた。
たかだか一隻の船を見つけた程度で何をそこまで慌てる必要があると言うのだ。
第一、海の上であらば他の船と出会う事などそうそう珍しい事でも無いであろうに…
それ故に、家臣が異常なまでに慌て出す様子に対して貞広は首を傾げていた。
家臣は相変わらず混乱した様子を見せて声を震わせながら答える。
家臣
「しかし…そ、それが…」
すると宗重が目を見開いて声を上げる。
宗重
「ややっ、貞広殿!あれをご覧くだされ!」
貞広
「な、何じゃあの船は…」
宗重の指した方角を見た貞広は、たちまち驚愕の表情へと切り替わっていた。
創天国からはるか離れた異国の地であるセビカへと向かい始めていた。
それから数刻の時が過ぎ、船は志栄島の東方沖にまで進んでいた。
現地は、海が荒れるような兆しは全く見られぬほどに快晴の天候であった。
宗重
「いやはや、真に良き天候にも恵まれたものじゃ。セビカまでの航路も問題無さそうにございますな。」
辺りは雲一つ無い快晴でそのうえ波も穏やかな様子に対して宗重は安心した様子であった。
すると長継が真剣な表情を見せて宗重に対して言う。
長継
「ですが、油断は禁物にございます。海の上では思わぬことが起きます故に…」
ドヴェルク
「かくいう私たちも創天国に辿り着くまでには大変な苦労をしました。」
どうやら長継らがセビカから創天国に到着するまでには、様々な障壁に直面していたと言う。
嵐の吹く中での航海から始まり、鮫による襲撃、果ては航路を見失いかけた事による遭難の危機…
とにかく、海上では何が起こっても不思議では無いほどに無数の障壁が待ち構えているものである。
特にその中で最も悩まされたのが急激な天候の変化であったという。
長継
「海を渡ることが多き我らセビカの民から申せば、天候が一番の大敵にございます…」
長継らが住まうセビカの都市セラージュは港町として栄えており、無数の船が絶えず頻繁に海を渡って様々な都市を行き来している。
住民たちは船が日常の移動手段となっているが故に、そうした危機を体験する事が非常に多かったという。
そうした事実を知っている長継らによる言葉には非常に説得力があり、また重みがあった。
宗重
「ほう、海はそこまで危なきものにござるのですなあ…ふむ、しかと心得ましたぞ。」
長継らの言葉を聞いた宗重は、引き締まった表情を見せていた。
そうして暫くした後、船に同乗していた貞広の配下の家臣の一人が貞広の元に駆けつけて来た。
家臣は非常に慌てた様子を見せているようである。
家臣
「貞広様!貞広様!大変にございますぞ!」
宗重
「おや、そんなに焦られて一体いかがなされた?」
家臣の慌てぶりに宗重は少し驚きながら問い掛ける。
そして思い出したように宗重が続けて言う。
宗重
「はっ!もしや、嵐が訪れる兆しが見られたのでござるか?」
つい先程に長継らによって急激な天候の移り変わりには注意すべし、と言う言葉を思い出した宗重はそう口にしていた。
すると家臣は首を横に振り、喋り始める。
家臣
「我らの方角に向かって来る一隻の船を確認いたしました!」
貞広
「何じゃ何じゃ、騒々しいと思えばかようなことにござるか。船の一隻を見つけたくらいで一体何を慌てておるのじゃ。全く…」
家臣からの報告を受けた貞広は、呆れた表情でそう言っていた。
たかだか一隻の船を見つけた程度で何をそこまで慌てる必要があると言うのだ。
第一、海の上であらば他の船と出会う事などそうそう珍しい事でも無いであろうに…
それ故に、家臣が異常なまでに慌て出す様子に対して貞広は首を傾げていた。
家臣は相変わらず混乱した様子を見せて声を震わせながら答える。
家臣
「しかし…そ、それが…」
すると宗重が目を見開いて声を上げる。
宗重
「ややっ、貞広殿!あれをご覧くだされ!」
貞広
「な、何じゃあの船は…」
宗重の指した方角を見た貞広は、たちまち驚愕の表情へと切り替わっていた。
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