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第9章 創天国の魂編

02.異国の民

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それから数日後の事である。
志栄藩口羽家の領地である徳葉の海岸において、ある一隻の船が着いていた。
船は見慣れぬ形をしていた事もあってか、物珍しく思った周辺の民たちがずらずらと集まり始める。
そうして海岸はたちまち民たちで溢れかえっていった。

やがて騒ぎを聞きつけた宗重が現地へと向かい、その船を目にする事となった。

宗重
「この船は、我が藩のものでは無いな…一体、どこから来たというのじゃ?」

そうしていると船から一人の男が姿を現した。

宗重
「むっ…お主、創天国の者ではござらぬな?どこから来なさったのじゃ?」

宗重から見れば奇抜とも言えるような衣服を身にまとい、金髪で青い目。
男の容姿を見るからには、どこか異国の者であろうか…
そう思った宗重は、慌てた様子を見せていた。
そして同時に困った表情をして言う。

宗重
「で、あらば儂の申す言葉も分からぬであろうな…むぅ、どうすれば良いものか…」

するとその男が宗重に向かって口を開き始める。


「いえ、大丈夫です。私はあなた方の国の言葉、少しだけ話せます。」

宗重
「何と、儂の言葉が分かると申すか。真に珍しき異国の者よのう。」

どうやら男には創天国の言葉が通じるようだ。
その事に宗重は非常に驚き、また感心した様子を見せていた。
そして男が続けて喋り始める。


「はい。私の名前は、ドヴェルク・セリアーといいます。セビカのセラージュという所から海を渡ってこの島に来ました。」

・セビカ
創天国より海を越えた場所に位置する大陸に存在する国。
「国王」と呼ばれる最高指導者の元で政治が執り行われており、創天国の志太幕府のような封建主義体制で成り立っている。
建国時期は創天国が建国される以前より国家として存在していたと言われており、非常に長い歴史を持つ国である。

・セラージュ
セビカ国の南部に位置する街。
海面に面している事もあり、古くから港町として栄えていたという。
それ故に、海を渡っての様々な港街との交易が盛んに行われている。


※青丸がセラージュ

宗重はドヴェルクに対して問いかける。

宗重
「ふむ、ドヴェルク殿と申したな。それで、何故に我が創天国へとわざわざ参られたというわけにござるか?」

するとドヴェルクがはきはきとした口調で答える。

ドヴェルク
「はい。私の国、セビカの危機を救う為に創天国の力をお借りしたくこちらにやって来ました。」

そうして少しばかりの間を置いて宗重が口を開く。

宗重
「ふむ?セビカと申す国の危機?それ故に我が創天国の力を借りる?はて、一体どういうことにござるか?」

創天国の力でセビカという国の危機を救って欲しい。
これまた何とも抽象的とも言えるドヴェルクの答えに宗重は再び首を傾げ始める。

すると、ドヴェルクが後ろに手を向けて言う。

ドヴェルク
「私たちは、あちらの方の導きによって海を渡って来ました。詳しいことはあの方にお聞きください。」

ドベルクが手を指した方向には、もう一人の男の姿があった。
男は宗重に対して頭を深々と下げた後に口を開く。


「どうも、挨拶が遅れて真に申し訳ござらん。創天国のお主たちの力がどうしても必要な故に拙者たちが参ったのじゃ。」

男は、非常に流暢な言葉で宗重に対して話していた。
その男の顔を見た瞬間、宗重は驚きの声を発する。

宗重
「はっ!お主、いや貴方様は…」

宗重は非常に混乱した様子であった。
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