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第8章 将軍への道程編
96.第二次墨山の戦い(36)
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志太・十部軍が本丸天守への攻撃を加え始めてしばらくの時が経った。
堅城と名高い墨山城という事もあり、始めの方はその防御力の堅さに兵たちも手を焼いていた。
だが、破壊による攻撃を受け続けた事により本丸城門にひびが入っていた。
さらには本丸に火が放たれ始めており、落城するのも最早時間の問題と言っても良い。
この様子に国輝が国時に対して合図を出していた。
すると次の瞬間に国時は頼信を羽交い締めにする。
状況を理解していない頼信は、国時によって身を拘束されていた。
そして国輝が志太・十部軍に対して大声を上げる。
「これより外河軍の総大将は儂 松永国輝である!」
頼信
「国輝、貴様!最初から外河家を乗っ取るつもりでかような真似を!」
頼信は目をかっと見開き、国輝に対して声を荒らげていた。
国輝は悪びれた様子も見せずに悪態をつき始める。
国輝
「へへっ、今更気付いても遅いわ!もう少し骨のある男と思っておったのじゃが、やはりお主は馬鹿息子よのう。」
そして国時は冷静な口調で頼信に言う。
国時
「残念ながら、我らの動きに気付かぬ頼信殿が愚かなだけにござるのよ。」
家臣らの叛意を見抜けぬ者が一番愚かである。
ましてや頼信は、墨山国を束ねし外河家の大名。
我らの策にまんまと嵌るなど人の上に立つ者としては失格であろう。
国時は、そう言いたげな表情をしていた。
頼信
「くそっ!かような卑怯者どもに我は踊らされておったというのか…」
国輝らの言葉を耳にした頼信は、絶望の表情であった。
やがて国輝は、手にした刀の刃を頼信の首にぴたりとくっつけて本丸の外にいる頼隆に対して問いかける。
国輝
「頼隆殿よ、さぁどうするかね?お主の望み通り、敵である外河頼信をこの国輝が代わって成敗してやろうぞ。悪い話ではござらぬであろう?ふはははは!」
刀をよほど強く押し当てられているのであろうか、頼信の首からは血が滲み出してきている。
頼隆
「くっ、この外道めが!ふざけた真似をしてくれおって!」
頼隆は、地団駄を踏みながらそう声を上げていた。
崇冬
「松永国輝、貴様という奴は一体どこまで卑怯な男なのじゃ!」
崇冬は、国輝を睨みつけながらそう言っていた。
すると康龍も続けて口を開き始める。
康龍
「親子に対していたずらに深き確執を生ませた国輝、許すまじ…」
国輝は、親子同士で敵味方に分かれて戦わねばならぬ状態にまで陥れた張本人だ。
そのような非道さに対して康龍は怒りが沸々とわいていた。
玄名
「天魔じゃ、松永国輝はまさしく創天国の者たちに不幸をもたらす天魔じゃ…」
国輝は、この創天国に仇なす為に地獄の底から訪れた天魔であると口にしていた。
祐永
「真に鬼畜の所業以外のなにものでもござらぬな…」
血も涙もない冷酷な仕打ちを繰り返す国輝に祐永は言葉を詰まらせていた。
祐宗
「これが、かつて我が志太家で軍師を務めておった者と申すのか。真に忌々しき奴男よ…」
祐宗は国輝の卑劣さに怒りを通り越し、呆れ返ったような表情をしていた。
痛烈な批判や辛辣とも言える言葉を各人から浴びせられた国輝ではあったが、そのような事はお構いなしと言った表情を見せている。
そして国輝が吐き捨てるように言った。
国輝
「けっ、何とでも申すが良い。戦の場では卑怯も何もござらん。ただ勝てば良いのじゃよ、勝てばな。」
頼隆
「うっ、この卑怯者めが…」
頼隆は歯を食いしばり、拳を硬く握り締めていた。
堅城と名高い墨山城という事もあり、始めの方はその防御力の堅さに兵たちも手を焼いていた。
だが、破壊による攻撃を受け続けた事により本丸城門にひびが入っていた。
さらには本丸に火が放たれ始めており、落城するのも最早時間の問題と言っても良い。
この様子に国輝が国時に対して合図を出していた。
すると次の瞬間に国時は頼信を羽交い締めにする。
状況を理解していない頼信は、国時によって身を拘束されていた。
そして国輝が志太・十部軍に対して大声を上げる。
「これより外河軍の総大将は儂 松永国輝である!」
頼信
「国輝、貴様!最初から外河家を乗っ取るつもりでかような真似を!」
頼信は目をかっと見開き、国輝に対して声を荒らげていた。
国輝は悪びれた様子も見せずに悪態をつき始める。
国輝
「へへっ、今更気付いても遅いわ!もう少し骨のある男と思っておったのじゃが、やはりお主は馬鹿息子よのう。」
そして国時は冷静な口調で頼信に言う。
国時
「残念ながら、我らの動きに気付かぬ頼信殿が愚かなだけにござるのよ。」
家臣らの叛意を見抜けぬ者が一番愚かである。
ましてや頼信は、墨山国を束ねし外河家の大名。
我らの策にまんまと嵌るなど人の上に立つ者としては失格であろう。
国時は、そう言いたげな表情をしていた。
頼信
「くそっ!かような卑怯者どもに我は踊らされておったというのか…」
国輝らの言葉を耳にした頼信は、絶望の表情であった。
やがて国輝は、手にした刀の刃を頼信の首にぴたりとくっつけて本丸の外にいる頼隆に対して問いかける。
国輝
「頼隆殿よ、さぁどうするかね?お主の望み通り、敵である外河頼信をこの国輝が代わって成敗してやろうぞ。悪い話ではござらぬであろう?ふはははは!」
刀をよほど強く押し当てられているのであろうか、頼信の首からは血が滲み出してきている。
頼隆
「くっ、この外道めが!ふざけた真似をしてくれおって!」
頼隆は、地団駄を踏みながらそう声を上げていた。
崇冬
「松永国輝、貴様という奴は一体どこまで卑怯な男なのじゃ!」
崇冬は、国輝を睨みつけながらそう言っていた。
すると康龍も続けて口を開き始める。
康龍
「親子に対していたずらに深き確執を生ませた国輝、許すまじ…」
国輝は、親子同士で敵味方に分かれて戦わねばならぬ状態にまで陥れた張本人だ。
そのような非道さに対して康龍は怒りが沸々とわいていた。
玄名
「天魔じゃ、松永国輝はまさしく創天国の者たちに不幸をもたらす天魔じゃ…」
国輝は、この創天国に仇なす為に地獄の底から訪れた天魔であると口にしていた。
祐永
「真に鬼畜の所業以外のなにものでもござらぬな…」
血も涙もない冷酷な仕打ちを繰り返す国輝に祐永は言葉を詰まらせていた。
祐宗
「これが、かつて我が志太家で軍師を務めておった者と申すのか。真に忌々しき奴男よ…」
祐宗は国輝の卑劣さに怒りを通り越し、呆れ返ったような表情をしていた。
痛烈な批判や辛辣とも言える言葉を各人から浴びせられた国輝ではあったが、そのような事はお構いなしと言った表情を見せている。
そして国輝が吐き捨てるように言った。
国輝
「けっ、何とでも申すが良い。戦の場では卑怯も何もござらん。ただ勝てば良いのじゃよ、勝てばな。」
頼隆
「うっ、この卑怯者めが…」
頼隆は歯を食いしばり、拳を硬く握り締めていた。
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