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第8章 将軍への道程編
92.第二次墨山の戦い(32)
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先刻の頼隆らの策略によって墨山城の城門は全て開門されていた。
するとその瞬間に、全方角の門からは志太・十部軍は全軍が墨山城へとわらわらと侵入。
たちまち両軍入り乱れての乱戦へと突入していた。
城内に大勢の敵軍が侵入した墨山城が陥落するのも最早時間の問題であると言っても良いであろう。
そんな中、国輝が国時に対して声をかける。
国輝
「おい国時よ、良き策がござる。まずは、頼信様の元へと移動せよ!良いな?」
国時
「はっ、承知いたしました!拙者も直ちに向かいまする!」
国輝は外河軍の総大将である頼信の元へ向かうように命令していた。
何やらよほど良い策なのであろうか、国輝は非常に自信ありげな表情を浮かべている。
そうしてほどなくして国輝と国時らは、本陣を構える頼信の元へと到着していた。
頼信
「おぉ!国輝殿に国時殿よ、よくぞ来てくれたのう。我は一人で真に心細かったぞ…」
頼信は、国輝と国時の姿を見た途端に安心した様子であった。
すると国輝が頼信の前でひざまずいて言う。
国輝
「頼信様は、外河軍の総大将にあられます。それ故、微力ながらではございますが我らが頼信様をお守りいたしたく候。」
自軍の総大将である頼信を、この戦いの中で命の危機にさらすわけにはいけない。
そこで、家臣である自分たちが命に代えてでも守り通すという責務がある為に参ったのである。
何としてでも皆の力を合わせて外河軍に勝利をもたらせましょう。
国輝は、そうした誠意ある言葉を頼信に向けて発していた。
すると頼信は、国輝の前で背筋をぴんと伸ばして声を上げる。
頼信
「何と!真に嬉しいことを申してくれますなぁ。我は果報者にござる。国輝殿に国時殿よ、心より感謝いたすぞ。」
よほど国輝の発した言葉に厚い忠誠心を感じたのであろうか、頼信は非常に感慨深い想いに浸っていた。
すると、その様子を見た国時が首をかしげた後に国輝に対して耳打ちを始める。
国時
「国輝様、これが…良き策にございますか?」
国輝
「そうじゃ、儂ら二人はこれより頼信と離れることなく行動を共にいたす。」
国時は、自分たちが何故に頼信の元に近付いたのであろうかという事が理解出来なかった。
すると国輝がさらに続けて国時に対し、耳打ちをしながら言葉を返す。
国輝
「我が軍が敵軍に追い詰められたその時、頼信を人質に取るのじゃ。頼隆も所詮は人の親。儂らが頼信の命を握っておると知れば頼隆も手を止めるであろう。」
この乱戦の中、あえて頼信に近付いたという国輝の狙い。
それは、自軍が志太・十部軍によって完全に追い込まれた際に、頼信を人質にして兵たちの動きを止める事であった。
外河軍の総大将である頼信は、敵軍である志太軍の頼隆の嫡男だ。
頼隆は、先刻前に「たとえ実の息子であろうとも敵であらば容赦なく首を刎ねる覚悟にある」と口にしていた。
だが、人質として取られた頼信の姿を目の当たりにすればどうであろうか…
誰もが親としてやはり子が可愛いと思うはずに違いは無い。
それ故に頼隆は、我に返って必死で国輝らに対して頼信の身の安全を懇願するであろう。
国時
「なるほど、それで頼隆の近くに寄られたというわけにございますか。」
国輝
「真に我ながら良き策が思い浮かんだものじゃろう?ふふふ、頼信を上手く利用すればこの戦は勝てようぞ。」
国輝は、不敵な笑みを浮かべていた。
するとその瞬間に、全方角の門からは志太・十部軍は全軍が墨山城へとわらわらと侵入。
たちまち両軍入り乱れての乱戦へと突入していた。
城内に大勢の敵軍が侵入した墨山城が陥落するのも最早時間の問題であると言っても良いであろう。
そんな中、国輝が国時に対して声をかける。
国輝
「おい国時よ、良き策がござる。まずは、頼信様の元へと移動せよ!良いな?」
国時
「はっ、承知いたしました!拙者も直ちに向かいまする!」
国輝は外河軍の総大将である頼信の元へ向かうように命令していた。
何やらよほど良い策なのであろうか、国輝は非常に自信ありげな表情を浮かべている。
そうしてほどなくして国輝と国時らは、本陣を構える頼信の元へと到着していた。
頼信
「おぉ!国輝殿に国時殿よ、よくぞ来てくれたのう。我は一人で真に心細かったぞ…」
頼信は、国輝と国時の姿を見た途端に安心した様子であった。
すると国輝が頼信の前でひざまずいて言う。
国輝
「頼信様は、外河軍の総大将にあられます。それ故、微力ながらではございますが我らが頼信様をお守りいたしたく候。」
自軍の総大将である頼信を、この戦いの中で命の危機にさらすわけにはいけない。
そこで、家臣である自分たちが命に代えてでも守り通すという責務がある為に参ったのである。
何としてでも皆の力を合わせて外河軍に勝利をもたらせましょう。
国輝は、そうした誠意ある言葉を頼信に向けて発していた。
すると頼信は、国輝の前で背筋をぴんと伸ばして声を上げる。
頼信
「何と!真に嬉しいことを申してくれますなぁ。我は果報者にござる。国輝殿に国時殿よ、心より感謝いたすぞ。」
よほど国輝の発した言葉に厚い忠誠心を感じたのであろうか、頼信は非常に感慨深い想いに浸っていた。
すると、その様子を見た国時が首をかしげた後に国輝に対して耳打ちを始める。
国時
「国輝様、これが…良き策にございますか?」
国輝
「そうじゃ、儂ら二人はこれより頼信と離れることなく行動を共にいたす。」
国時は、自分たちが何故に頼信の元に近付いたのであろうかという事が理解出来なかった。
すると国輝がさらに続けて国時に対し、耳打ちをしながら言葉を返す。
国輝
「我が軍が敵軍に追い詰められたその時、頼信を人質に取るのじゃ。頼隆も所詮は人の親。儂らが頼信の命を握っておると知れば頼隆も手を止めるであろう。」
この乱戦の中、あえて頼信に近付いたという国輝の狙い。
それは、自軍が志太・十部軍によって完全に追い込まれた際に、頼信を人質にして兵たちの動きを止める事であった。
外河軍の総大将である頼信は、敵軍である志太軍の頼隆の嫡男だ。
頼隆は、先刻前に「たとえ実の息子であろうとも敵であらば容赦なく首を刎ねる覚悟にある」と口にしていた。
だが、人質として取られた頼信の姿を目の当たりにすればどうであろうか…
誰もが親としてやはり子が可愛いと思うはずに違いは無い。
それ故に頼隆は、我に返って必死で国輝らに対して頼信の身の安全を懇願するであろう。
国時
「なるほど、それで頼隆の近くに寄られたというわけにございますか。」
国輝
「真に我ながら良き策が思い浮かんだものじゃろう?ふふふ、頼信を上手く利用すればこの戦は勝てようぞ。」
国輝は、不敵な笑みを浮かべていた。
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