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第8章 将軍への道程編
81.第二次墨山の戦い(21)
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外河軍が籠城する墨山城を前に志太・十部軍は苦戦を強いられていた。
このまま今の状態が続くのであれば、退却を余儀なくされるのでは無いであろうか。
志太・十部軍の将たちはそう思い始めていた。
その時、十部軍の政長が意を決した表情をして言う。
政長
「よし、拙者らの軍勢によってこの戦の流れを変えて見せようぞ!」
十部軍は、先刻前に志太軍に援軍として加わった。
そして更に数刻後に政長が遅れて墨山城に到着し、援軍として参戦していた。
自身が参戦した頃は、外河軍をほぼ完全に追い詰めている事であろうか。
そう政長は考えていたようである。
しかし、墨山城に到着した事でそれは自身にとって都合の良い愚かな想像であった事を思い知らされる。
志太・十部の両家の軍勢が束になっているにも関わらず、今もなお停滞した戦況であったからだ。
これは、自身の軍勢が参戦しなかった事で、主君である義継をはじめとする十部家の軍勢たちにその大きなしわ寄せが押し寄せて来た故の結果であるに違いない。
そう思った政長は、今回の援軍の遅参についてその責任を重く感じていたようである。
その責任を、これからの自身の活躍によって必ず挽回して見せねばならぬ。
そうした覚悟を持った思いで政長は動き始めるのであった。
すると、頼隆が政長に対して声をかける。
頼隆
「政長殿、拙者もそなたの軍勢の力となりましょうぞ!」
政長
「おぉ!頼隆殿が我ら軍勢に加勢していただけるとは!これは真に心強きことにございますな!」
頼隆の呼びかけに対して政長は大きな声を上げていた。
政長は、自身の軍勢のみを用いて外河軍に対して策を遂行する事を考えている。
それ故に、通常に比べると非常に危険が伴う事を覚悟していた。
そんな中、頼隆の助力によって救いの手が差し伸べられるという事に対して政長は全身で感謝の意を表すのであった。
頼隆
「よし、これより我らは政長殿の軍勢に続くのじゃ!」
そうして頼隆の軍勢が動き始めた事を知った康龍らが口を開く。
康龍
「どうやら頼隆殿の軍勢は、政長殿と合流なさるようにござるな。」
義道
「ほほう、何か良き策でもござろうか。」
なおも外河軍との籠城戦で停滞が続く康龍らの軍勢。
そんな中、ここに来て政長が新しい動きを見せ始めた。
二人は、この政長らによる動きに何やら期待を寄せているようであった。
一方、外河軍の陣営でも間もなく政長らの動きについて知られる事となった。
国時
「国輝様、政長が何やら動き始めたようにございます。この墨山城に対して何らかの計略をかけるつもりにございませぬか?」
国時は、心配げな表情を浮かべながら国輝へそう報告していた。
すると国輝は堂々たる態度で言葉を返す。
国輝
「ほう、政長がか。ふっ、所詮は見掛け倒しの小細工であろう。気にするまでもないわ。」
確かに政長は多彩な才能を持ち合わせており、十部家の中で最も活躍している人物だ。
しかし、それでも今のこの戦況を覆す事など無理であろうと国輝は考えていた。
政長一人の力で、それも未だかつて敵の手に落ちた事の無い墨山城に対して一体何が出来ると言うのだ。
国輝は、心配の欠片も見られぬほどに自信満々な表情を見せていた。
すると頼信は、そんな国輝とは対照的に顔をしかめて呟く。
頼信
「じゃが、政信殿ほどの者が小細工を行うとは考えられぬ気が余はしてならぬがな…」
どうやら頼信も国時と同様に、政長の底知れぬ実力を恐れているようである。
政長
「やれやれ、国輝殿は相変わらずといったところじゃな。拙者も甘く見られたものよのう。」
政長は、呆れた表情を見せていた。
このまま今の状態が続くのであれば、退却を余儀なくされるのでは無いであろうか。
志太・十部軍の将たちはそう思い始めていた。
その時、十部軍の政長が意を決した表情をして言う。
政長
「よし、拙者らの軍勢によってこの戦の流れを変えて見せようぞ!」
十部軍は、先刻前に志太軍に援軍として加わった。
そして更に数刻後に政長が遅れて墨山城に到着し、援軍として参戦していた。
自身が参戦した頃は、外河軍をほぼ完全に追い詰めている事であろうか。
そう政長は考えていたようである。
しかし、墨山城に到着した事でそれは自身にとって都合の良い愚かな想像であった事を思い知らされる。
志太・十部の両家の軍勢が束になっているにも関わらず、今もなお停滞した戦況であったからだ。
これは、自身の軍勢が参戦しなかった事で、主君である義継をはじめとする十部家の軍勢たちにその大きなしわ寄せが押し寄せて来た故の結果であるに違いない。
そう思った政長は、今回の援軍の遅参についてその責任を重く感じていたようである。
その責任を、これからの自身の活躍によって必ず挽回して見せねばならぬ。
そうした覚悟を持った思いで政長は動き始めるのであった。
すると、頼隆が政長に対して声をかける。
頼隆
「政長殿、拙者もそなたの軍勢の力となりましょうぞ!」
政長
「おぉ!頼隆殿が我ら軍勢に加勢していただけるとは!これは真に心強きことにございますな!」
頼隆の呼びかけに対して政長は大きな声を上げていた。
政長は、自身の軍勢のみを用いて外河軍に対して策を遂行する事を考えている。
それ故に、通常に比べると非常に危険が伴う事を覚悟していた。
そんな中、頼隆の助力によって救いの手が差し伸べられるという事に対して政長は全身で感謝の意を表すのであった。
頼隆
「よし、これより我らは政長殿の軍勢に続くのじゃ!」
そうして頼隆の軍勢が動き始めた事を知った康龍らが口を開く。
康龍
「どうやら頼隆殿の軍勢は、政長殿と合流なさるようにござるな。」
義道
「ほほう、何か良き策でもござろうか。」
なおも外河軍との籠城戦で停滞が続く康龍らの軍勢。
そんな中、ここに来て政長が新しい動きを見せ始めた。
二人は、この政長らによる動きに何やら期待を寄せているようであった。
一方、外河軍の陣営でも間もなく政長らの動きについて知られる事となった。
国時
「国輝様、政長が何やら動き始めたようにございます。この墨山城に対して何らかの計略をかけるつもりにございませぬか?」
国時は、心配げな表情を浮かべながら国輝へそう報告していた。
すると国輝は堂々たる態度で言葉を返す。
国輝
「ほう、政長がか。ふっ、所詮は見掛け倒しの小細工であろう。気にするまでもないわ。」
確かに政長は多彩な才能を持ち合わせており、十部家の中で最も活躍している人物だ。
しかし、それでも今のこの戦況を覆す事など無理であろうと国輝は考えていた。
政長一人の力で、それも未だかつて敵の手に落ちた事の無い墨山城に対して一体何が出来ると言うのだ。
国輝は、心配の欠片も見られぬほどに自信満々な表情を見せていた。
すると頼信は、そんな国輝とは対照的に顔をしかめて呟く。
頼信
「じゃが、政信殿ほどの者が小細工を行うとは考えられぬ気が余はしてならぬがな…」
どうやら頼信も国時と同様に、政長の底知れぬ実力を恐れているようである。
政長
「やれやれ、国輝殿は相変わらずといったところじゃな。拙者も甘く見られたものよのう。」
政長は、呆れた表情を見せていた。
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