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第8章 将軍への道程編
74.第二次墨山の戦い(14)
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墨山城からの再出撃を敢行した外河軍。
始めは志太軍への迎撃を行うなどの奮闘を見せるが、次第にその勢いは衰え始める。
やがて外河軍壊滅の危機と思われたその時、墨山城の東側から押し寄せてくる軍勢がいた。
その軍勢は、十部家のものであった。
★現在の戦況
志太軍(総兵数 20,000人)
計 20,000人
外河軍(総兵数 10,000人)
計 10,000人
十部軍(総兵数 5,000人)
十部家総大将「十部義継」
十部家軍師「三梅元光」
計 5,000人
※
赤色→志太軍
青色→外河軍
緑色→十部軍
義継
「我ら十部家は、これより志太家に忠誠を誓いまする。」
義継は、志太家の軍勢に向かって深々と頭を下げてそう言っていた。
崇冬
「十部義継殿に三梅元光殿が我らに味方するとな?」
この突然の義継の言葉に崇冬は驚いた表情を見せていた。
康龍
「味方と思っておられた者に裏切られるとは…外河家いや、国輝殿は真に哀れなお方よのう…」
傘下に加えたはずであるにも関わらず、見事に裏切られた国輝に対して康龍は哀れみの表情を浮かべていた。
頼隆
「義継殿、どうやら拙者が申したことがお分かりになられたようにございますな…」
頼隆は、義継との交渉の為に十部国へ出向いた時の話である。
その中で志太家への鞍替えを促していた。
しかし、義継は首を縦に振らなかった。
そうして交渉は決裂し、十部国を去ろうとする前に頼隆が義継に対して次のような事を言った。
「国輝殿は、近いうちに松竹梅三人衆を自身の直属の家臣として強引に迎え入れようとこの地を訪れるでしょうな。」
「十部家の重臣たちを手放すことは真に辛うござるが、主君の命とあらば致し方ござらぬよの?」
「義継殿は外河家の、国輝殿の本意をその時に嫌でも知らされることとなるかと…」
国輝は、このまま外河家に従い続けた場合に十部家にどのような事が身に降り掛かってくるかを予想していた。
そして志太家による交渉があった数日後、国輝が直々に義継の元を訪れていた。
そこで国輝は、松竹梅三人衆を自身の配下に加えるという旨の意向を示していた。
先日に頼隆が予想していた通りの出来事が現実のものとなったのである。
これには義継は戸惑い始め、悩みに悩んだ。
その結果、三月ほどの猶予を国輝に懇願していた。
松竹梅三人衆が急に十部家を去れば十部国は大混乱に陥る。
その混乱は領民たちにも伝播していき、やがては国内で大規模な一揆が発生して収集がつかなくなるであろう。
そう必死に訴えかける義継に見かねた国輝は、渋々これを承諾したという。
そして三月が過ぎた日に、第二次墨山の戦いが起こった。
義継
「これは、我らを試そうとなされておるのか…」
戦の情報を知った義継は一人呟いていた。
この機を逃せば十部家は、やがては外河家によって断絶させられてしまうであろう。
そう考えた義継は、意を決して志太家に味方するべく兵を挙げたのであった。
祐宗
「義継殿、心より感謝いたす!心強き者が仲間になられた故、もう安心にござるな。」
祐宗は、義継の軍勢に向かって大声を上げて感謝の意を表していた。
義継
「ははっ。では、当家自慢の兵たちによる戦いぶりをお見せいたしましょう!」」
元光
「十部家軍師 三梅元光、外河軍を蹴散らせてみせましょうぞ!」
義継と元光らは非常に勇ましい顔つきをしてそう言っていた。
一方、外河軍では国時が深いため息をついて言う。
国時
「はぁ、我らへの援軍では無かったのでござるか…」
十部軍の援軍によって外河軍の巻き返しを図る事ができるという期待を見事に裏切られた事に対して絶望感を覚えている様子だ。
そして国輝が険しい表情を見せて怒鳴り声を上げる。
国輝
「義継!この裏切り者め!貴様、我らへの恩を忘れたつもりか!許さぬ、許さぬぞ!」
十部国では近年における不作を補う為、幾度となく兵糧などの援助を行っていた。
そうした恩を仇で返すとは一体何様のつもりだ。
国輝は、そうした非常に恩着せがましい事を並べて義継を痛烈に批判していた。
現在は自家の傘下ではあるが、かつての盟友で良き関係を結んでいたはずの十部家。
このお互いの歯車が狂い始めた事をまじまじと実感させられた頼信は、酷く落胆した様子で口を開く。
頼信
「あぁ、十部殿までもが志太家の味方となったというのか。外河家は、外河家はもうお終いじゃ…」
頼信の両膝は、がくんと地を着いて呆然としていた。
すると国時が空を見上げて言う。
国時
「むっ、ご覧くだされ。雲が…消えていきますぞ。これはもしや…」
異常なまでに発達していた積乱雲は、雷の乱発によってその姿を消そうとしていた。
やがては雨も上がり、辺りを包んでいた霧も晴れ始めていた。
その様子を見た国輝が、頼信に対して言う。
国輝
「殿、早まるのはお止めくださいませ!まだ我らには勝機がございます故…」
国輝は、天候の回復に一筋の希望を見ている様子であった。
始めは志太軍への迎撃を行うなどの奮闘を見せるが、次第にその勢いは衰え始める。
やがて外河軍壊滅の危機と思われたその時、墨山城の東側から押し寄せてくる軍勢がいた。
その軍勢は、十部家のものであった。
★現在の戦況
志太軍(総兵数 20,000人)
計 20,000人
外河軍(総兵数 10,000人)
計 10,000人
十部軍(総兵数 5,000人)
十部家総大将「十部義継」
十部家軍師「三梅元光」
計 5,000人
※
赤色→志太軍
青色→外河軍
緑色→十部軍
義継
「我ら十部家は、これより志太家に忠誠を誓いまする。」
義継は、志太家の軍勢に向かって深々と頭を下げてそう言っていた。
崇冬
「十部義継殿に三梅元光殿が我らに味方するとな?」
この突然の義継の言葉に崇冬は驚いた表情を見せていた。
康龍
「味方と思っておられた者に裏切られるとは…外河家いや、国輝殿は真に哀れなお方よのう…」
傘下に加えたはずであるにも関わらず、見事に裏切られた国輝に対して康龍は哀れみの表情を浮かべていた。
頼隆
「義継殿、どうやら拙者が申したことがお分かりになられたようにございますな…」
頼隆は、義継との交渉の為に十部国へ出向いた時の話である。
その中で志太家への鞍替えを促していた。
しかし、義継は首を縦に振らなかった。
そうして交渉は決裂し、十部国を去ろうとする前に頼隆が義継に対して次のような事を言った。
「国輝殿は、近いうちに松竹梅三人衆を自身の直属の家臣として強引に迎え入れようとこの地を訪れるでしょうな。」
「十部家の重臣たちを手放すことは真に辛うござるが、主君の命とあらば致し方ござらぬよの?」
「義継殿は外河家の、国輝殿の本意をその時に嫌でも知らされることとなるかと…」
国輝は、このまま外河家に従い続けた場合に十部家にどのような事が身に降り掛かってくるかを予想していた。
そして志太家による交渉があった数日後、国輝が直々に義継の元を訪れていた。
そこで国輝は、松竹梅三人衆を自身の配下に加えるという旨の意向を示していた。
先日に頼隆が予想していた通りの出来事が現実のものとなったのである。
これには義継は戸惑い始め、悩みに悩んだ。
その結果、三月ほどの猶予を国輝に懇願していた。
松竹梅三人衆が急に十部家を去れば十部国は大混乱に陥る。
その混乱は領民たちにも伝播していき、やがては国内で大規模な一揆が発生して収集がつかなくなるであろう。
そう必死に訴えかける義継に見かねた国輝は、渋々これを承諾したという。
そして三月が過ぎた日に、第二次墨山の戦いが起こった。
義継
「これは、我らを試そうとなされておるのか…」
戦の情報を知った義継は一人呟いていた。
この機を逃せば十部家は、やがては外河家によって断絶させられてしまうであろう。
そう考えた義継は、意を決して志太家に味方するべく兵を挙げたのであった。
祐宗
「義継殿、心より感謝いたす!心強き者が仲間になられた故、もう安心にござるな。」
祐宗は、義継の軍勢に向かって大声を上げて感謝の意を表していた。
義継
「ははっ。では、当家自慢の兵たちによる戦いぶりをお見せいたしましょう!」」
元光
「十部家軍師 三梅元光、外河軍を蹴散らせてみせましょうぞ!」
義継と元光らは非常に勇ましい顔つきをしてそう言っていた。
一方、外河軍では国時が深いため息をついて言う。
国時
「はぁ、我らへの援軍では無かったのでござるか…」
十部軍の援軍によって外河軍の巻き返しを図る事ができるという期待を見事に裏切られた事に対して絶望感を覚えている様子だ。
そして国輝が険しい表情を見せて怒鳴り声を上げる。
国輝
「義継!この裏切り者め!貴様、我らへの恩を忘れたつもりか!許さぬ、許さぬぞ!」
十部国では近年における不作を補う為、幾度となく兵糧などの援助を行っていた。
そうした恩を仇で返すとは一体何様のつもりだ。
国輝は、そうした非常に恩着せがましい事を並べて義継を痛烈に批判していた。
現在は自家の傘下ではあるが、かつての盟友で良き関係を結んでいたはずの十部家。
このお互いの歯車が狂い始めた事をまじまじと実感させられた頼信は、酷く落胆した様子で口を開く。
頼信
「あぁ、十部殿までもが志太家の味方となったというのか。外河家は、外河家はもうお終いじゃ…」
頼信の両膝は、がくんと地を着いて呆然としていた。
すると国時が空を見上げて言う。
国時
「むっ、ご覧くだされ。雲が…消えていきますぞ。これはもしや…」
異常なまでに発達していた積乱雲は、雷の乱発によってその姿を消そうとしていた。
やがては雨も上がり、辺りを包んでいた霧も晴れ始めていた。
その様子を見た国輝が、頼信に対して言う。
国輝
「殿、早まるのはお止めくださいませ!まだ我らには勝機がございます故…」
国輝は、天候の回復に一筋の希望を見ている様子であった。
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