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第8章 将軍への道程編
73.第二次墨山の戦い(13)
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異常なまでに発達した積乱雲から発せられる雷は、何度も墨山城を直撃。
このままでは全軍が壊滅すると考えた国輝は、止む無く城からの再出撃を敢行。
志太軍との激闘を繰り広げていた。
しかし士気の乱れが著しい外河軍は、志太軍の勢いに次第に飲まれていった。
敗北は時間の問題かと諦めかけていたその時、墨山城の東側からこちらに向かって進軍している軍勢がいた。
軍勢の旗印を見た国時が声を上げる。
国時
「雲覗き月の旗印…十部殿の軍勢にございますぞ!」
・雲覗き月紋(くものぞきつきもん)
十部家の家紋。
墨山国の東側に位置する十部国も一年を通して不安定な天候で雲に覆われる日が多かった。
それ故に、現地では曇り空の中から時折覗く月がしばしば見られた事から、この情景を十部家の象徴として家紋に取り入れたと言われている。
康龍
「義継殿の軍勢とも刀を交えねばならぬというわけにござるか…」
崇冬
「ふむ、どうやら真に良きところでとんだ邪魔が入られたようじゃな…」
頼隆
「十部の兵たちか…これは厄介なことになりそうであるな…」
崇冬と信常の策によって外河軍を大混乱に陥れた。
そして、最後の大詰めとして全軍で総攻撃をかけて志太軍の勝利は間違いなしと読んでいた。
しかし十部義継率いる軍勢が援軍として登場した事により、その戦況は覆されるかもしれない。
志太軍の将たちは、さらに気を引き締めて戦いに挑む事を決意していた。
頼信
「十部殿による援軍か。かような時に参られるとはまさに天の助け、感謝いたすぞ!」
頼信は、窮地に立たされている自軍を救うべく立ち上がって援軍を出してくれた義継に対して感謝の言葉を発していた。
すると国輝は、傲慢な態度で義継に対して口を開く。
国輝
「おぉ、十部殿が墨山に参ったか!しかし、ちと遅過ぎはしまいか?」
国輝の策略により、十部家は外河家の傘下となった。
対等な立場であった同盟関係は、もう昔の話である。
主家である外河家の危機とあらば、すぐにでも援軍をよこすのが筋では無いのか。
どうやら国輝は、義継の遅すぎる対応にそうした不満を感じているような様子であった。
すると義継は頭を下げて声を上げる。
義継
「我ら十部軍の遅参、どうかお許しくださいませ!」
義継は、今回の戦いにおいて援軍としての到着が遅れた事に対して詫びの言葉を入れていた。
それを聞いた国輝は、義継に対して冷ややかな目線を向けながら言う。
国輝
「もうよい、それよりも早う我らと合流して共に志太の者どもと戦うのじゃ!良いな?」
国輝は、なおも傲慢な態度を見せている。
義継
「ははっ。それでは早速、我らの攻撃をお見舞いいたしましょう!」
そう言うと義継の軍勢が弓を構え始めた。
矢は外河軍の軍勢へと向けられている。
義継
「よし、皆の者よ準備は良いな。では、放てっ!」
義継の合図によって軍勢が一斉に矢を放った。
そうして放たれた矢は、たちまち外河軍の兵たちに降り注がれた。
国時
「な、何をいたす?義継殿よ、相手を間違えておられるぞ!」
突然の義継による攻撃を受けた国時は、慌てた様子であった。
そして義継をぎらりと睨みつけた国輝が声を上げる。
国輝
「こ、こら!貴様!これは一体、何の真似じゃ?答えよ!答えぬか!」
国輝による怒号が墨山城下に響き渡っていた。
義継は、険しい表情の国輝を睨み返して言う。
義継
「我ら十部家が戦う相手は志太家にあらず。真に戦うべき相手は国輝殿、そなたら外河軍にござる!」
義継は堂々たる態度であった。
このままでは全軍が壊滅すると考えた国輝は、止む無く城からの再出撃を敢行。
志太軍との激闘を繰り広げていた。
しかし士気の乱れが著しい外河軍は、志太軍の勢いに次第に飲まれていった。
敗北は時間の問題かと諦めかけていたその時、墨山城の東側からこちらに向かって進軍している軍勢がいた。
軍勢の旗印を見た国時が声を上げる。
国時
「雲覗き月の旗印…十部殿の軍勢にございますぞ!」
・雲覗き月紋(くものぞきつきもん)
十部家の家紋。
墨山国の東側に位置する十部国も一年を通して不安定な天候で雲に覆われる日が多かった。
それ故に、現地では曇り空の中から時折覗く月がしばしば見られた事から、この情景を十部家の象徴として家紋に取り入れたと言われている。
康龍
「義継殿の軍勢とも刀を交えねばならぬというわけにござるか…」
崇冬
「ふむ、どうやら真に良きところでとんだ邪魔が入られたようじゃな…」
頼隆
「十部の兵たちか…これは厄介なことになりそうであるな…」
崇冬と信常の策によって外河軍を大混乱に陥れた。
そして、最後の大詰めとして全軍で総攻撃をかけて志太軍の勝利は間違いなしと読んでいた。
しかし十部義継率いる軍勢が援軍として登場した事により、その戦況は覆されるかもしれない。
志太軍の将たちは、さらに気を引き締めて戦いに挑む事を決意していた。
頼信
「十部殿による援軍か。かような時に参られるとはまさに天の助け、感謝いたすぞ!」
頼信は、窮地に立たされている自軍を救うべく立ち上がって援軍を出してくれた義継に対して感謝の言葉を発していた。
すると国輝は、傲慢な態度で義継に対して口を開く。
国輝
「おぉ、十部殿が墨山に参ったか!しかし、ちと遅過ぎはしまいか?」
国輝の策略により、十部家は外河家の傘下となった。
対等な立場であった同盟関係は、もう昔の話である。
主家である外河家の危機とあらば、すぐにでも援軍をよこすのが筋では無いのか。
どうやら国輝は、義継の遅すぎる対応にそうした不満を感じているような様子であった。
すると義継は頭を下げて声を上げる。
義継
「我ら十部軍の遅参、どうかお許しくださいませ!」
義継は、今回の戦いにおいて援軍としての到着が遅れた事に対して詫びの言葉を入れていた。
それを聞いた国輝は、義継に対して冷ややかな目線を向けながら言う。
国輝
「もうよい、それよりも早う我らと合流して共に志太の者どもと戦うのじゃ!良いな?」
国輝は、なおも傲慢な態度を見せている。
義継
「ははっ。それでは早速、我らの攻撃をお見舞いいたしましょう!」
そう言うと義継の軍勢が弓を構え始めた。
矢は外河軍の軍勢へと向けられている。
義継
「よし、皆の者よ準備は良いな。では、放てっ!」
義継の合図によって軍勢が一斉に矢を放った。
そうして放たれた矢は、たちまち外河軍の兵たちに降り注がれた。
国時
「な、何をいたす?義継殿よ、相手を間違えておられるぞ!」
突然の義継による攻撃を受けた国時は、慌てた様子であった。
そして義継をぎらりと睨みつけた国輝が声を上げる。
国輝
「こ、こら!貴様!これは一体、何の真似じゃ?答えよ!答えぬか!」
国輝による怒号が墨山城下に響き渡っていた。
義継は、険しい表情の国輝を睨み返して言う。
義継
「我ら十部家が戦う相手は志太家にあらず。真に戦うべき相手は国輝殿、そなたら外河軍にござる!」
義継は堂々たる態度であった。
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