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第8章 将軍への道程編
66.第二次墨山の戦い(6)
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崇冬の軍勢は、開戦時より優勢を保ち続けていた。
対する国輝の軍勢は、勢いを増した崇冬の軍勢の前に苦戦していた。
このまま押し切られれば国輝の軍勢は壊滅するのは時間の問題であろう。
志太軍の者たちは皆がそう思っていた。
そんな中、墨山周辺の天候が崩れ始めて来た。
この状況を好機と考えた国輝が胸を張って兵たちに声をかけ始める。
国輝
「お前たちよ、間もなく天候が我らに味方しようぞ。準備は良いな?」
辺りが雨雲に囲まれた中で国輝は勝利を確信したかのような様子を見せていた。
崇冬
「くっ、雨雲か。先の戦でのことをどうしても思い出してしまうわ…」
崩れ行く天候を眺めながら崇冬は前回の墨山での戦いで大敗したことを思い出していた。
やがて墨山周辺に雨が降り注ぎ始めた。
それと同時に辺りには濃い霧が発生し、視界は一気に悪くなっていった。
国輝
「ふふふ…こたびもこの霧に紛れて崇冬の軍勢どもに反撃を加えようぞ!」
国輝らの軍勢は、霧眼鏡(むげんきょう)を装着していた。
霧の中のような視界の悪い場所でもくっきりと辺りを見渡す事が出来る信栄斎が開発した道具である。
先の戦いではこの霧眼鏡を用いて志太軍を壊滅の危機にまで追い込んだ。
そうした実績もあった事から、今回の戦いにおいてもこの天候を味方につけて志太軍を一気に壊滅へ追い込もうと国輝は考えていたのだ。
これに対し、崇冬は落ち着いた様子を見せながら口を開く。
崇冬
「あいにくじゃがこちらにも策はござる故、同じ轍は踏まぬわ。」
そして続けて崇冬が声を上げる。
崇冬
「よし!ではお前たちよ、出番じゃ!存分に暴れるがよい!」
崇冬は懐から笛を取り出し、音色を奏で始めた。
笛の音色が辺りに響き渡る…
すると、崇冬の軍勢の後方からは何らかの群れが一気に押し寄せて来るのが分かった。
その群れはたちまち崇冬の構える陣の前線に素早く辿り着いた。
それと同時に群れたちは、墨山に響き渡るほどの大きな声を上げ始めた。
国輝
「な、何じゃこの騒ぎは?一体、何が起こっておるというのじゃ?」
国輝は、この尋常ではない叫び声に対して少し戸惑った表情を見せていた。
崇冬
「我らの援軍が間もなく到着しようぞ。口羽の御犬軍のおでましにござる!」
何とその正体は、犬の群れであった。
この犬たちは、幸龍丸(後の杉康龍)が村上家によって捕らえられていた牢屋の番人代わりに放たれていた野犬であった。
崇冬は、村上家との戦いにおいてこの野犬たちを手懐ける事に成功した。
その後は数十匹いたであろう野犬たちを自らが飼い主となって引き取り、現在では百を超えるほどの頭数にまで繁殖していた。
だが、飼い慣らしたとは言えど獣本来としての激しい闘争心は失ってはいなかったという。
犬などの動物は、視界の悪い場所であろうとも敵の居場所を的確に掴んで攻撃する事には非常に長けている。
そう考えていた崇冬は、今回の戦いに備えて犬たちに訓練を施していたのであった。
国輝
「なに、犬じゃと?ふっ、犬ころ如きの畜生どもに一体何が出来るというのじゃ。笑わせるな!」
国輝は、犬を援軍をして採用した崇冬に対して失笑している様子であった。
たかが犬ごときに我が軍が怯む事など有り得ぬ。
国輝はそう思っていたからである。
一方、その様子を見た貞道は感心した様子で口を開く。
貞道
「これが崇冬殿の申しておった策か。ふむ、真に面白き策よのう。」
対する国輝の軍勢は、勢いを増した崇冬の軍勢の前に苦戦していた。
このまま押し切られれば国輝の軍勢は壊滅するのは時間の問題であろう。
志太軍の者たちは皆がそう思っていた。
そんな中、墨山周辺の天候が崩れ始めて来た。
この状況を好機と考えた国輝が胸を張って兵たちに声をかけ始める。
国輝
「お前たちよ、間もなく天候が我らに味方しようぞ。準備は良いな?」
辺りが雨雲に囲まれた中で国輝は勝利を確信したかのような様子を見せていた。
崇冬
「くっ、雨雲か。先の戦でのことをどうしても思い出してしまうわ…」
崩れ行く天候を眺めながら崇冬は前回の墨山での戦いで大敗したことを思い出していた。
やがて墨山周辺に雨が降り注ぎ始めた。
それと同時に辺りには濃い霧が発生し、視界は一気に悪くなっていった。
国輝
「ふふふ…こたびもこの霧に紛れて崇冬の軍勢どもに反撃を加えようぞ!」
国輝らの軍勢は、霧眼鏡(むげんきょう)を装着していた。
霧の中のような視界の悪い場所でもくっきりと辺りを見渡す事が出来る信栄斎が開発した道具である。
先の戦いではこの霧眼鏡を用いて志太軍を壊滅の危機にまで追い込んだ。
そうした実績もあった事から、今回の戦いにおいてもこの天候を味方につけて志太軍を一気に壊滅へ追い込もうと国輝は考えていたのだ。
これに対し、崇冬は落ち着いた様子を見せながら口を開く。
崇冬
「あいにくじゃがこちらにも策はござる故、同じ轍は踏まぬわ。」
そして続けて崇冬が声を上げる。
崇冬
「よし!ではお前たちよ、出番じゃ!存分に暴れるがよい!」
崇冬は懐から笛を取り出し、音色を奏で始めた。
笛の音色が辺りに響き渡る…
すると、崇冬の軍勢の後方からは何らかの群れが一気に押し寄せて来るのが分かった。
その群れはたちまち崇冬の構える陣の前線に素早く辿り着いた。
それと同時に群れたちは、墨山に響き渡るほどの大きな声を上げ始めた。
国輝
「な、何じゃこの騒ぎは?一体、何が起こっておるというのじゃ?」
国輝は、この尋常ではない叫び声に対して少し戸惑った表情を見せていた。
崇冬
「我らの援軍が間もなく到着しようぞ。口羽の御犬軍のおでましにござる!」
何とその正体は、犬の群れであった。
この犬たちは、幸龍丸(後の杉康龍)が村上家によって捕らえられていた牢屋の番人代わりに放たれていた野犬であった。
崇冬は、村上家との戦いにおいてこの野犬たちを手懐ける事に成功した。
その後は数十匹いたであろう野犬たちを自らが飼い主となって引き取り、現在では百を超えるほどの頭数にまで繁殖していた。
だが、飼い慣らしたとは言えど獣本来としての激しい闘争心は失ってはいなかったという。
犬などの動物は、視界の悪い場所であろうとも敵の居場所を的確に掴んで攻撃する事には非常に長けている。
そう考えていた崇冬は、今回の戦いに備えて犬たちに訓練を施していたのであった。
国輝
「なに、犬じゃと?ふっ、犬ころ如きの畜生どもに一体何が出来るというのじゃ。笑わせるな!」
国輝は、犬を援軍をして採用した崇冬に対して失笑している様子であった。
たかが犬ごときに我が軍が怯む事など有り得ぬ。
国輝はそう思っていたからである。
一方、その様子を見た貞道は感心した様子で口を開く。
貞道
「これが崇冬殿の申しておった策か。ふむ、真に面白き策よのう。」
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