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第8章 将軍への道程編
64.第二次墨山の戦い(4)
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康龍は国時の軍勢と戦闘状態に突入。
戦況としては、やや康龍の軍勢が優勢であった。
しかし、国時が忍ばせていた伏兵の攻撃により事態は一変。
形勢は一気に国時の軍勢が優勢となっていた。
国時
「小童よ、兵を束ねし将としてどうやらお主は失格のようじゃな。」
康龍は、伏兵が潜んでいる事を見抜けなかった。
戦の経験が浅かったこともあるが、自軍が優勢であった故に周囲の異変に気付かなかった事が何よりの原因であろう。
我が軍の力を思い知ったか。
これでもまだ小童呼ばわりすると言うのか。
この失態は、そうした康龍の慢心が招いた結果と言えよう。
康龍は、国時をかっと睨みつけながら声を上げる。
康龍
「国時、貴様め…最初から不意打ちを狙っておったのか。この卑怯者め!」
その言葉に対して国時が答える。
国時
「ふん、何とでも言えば良いわ。じゃが、ここは戦場じゃ。殺し合いに卑怯も何も無いということを覚えておくが良い!」
戦の場においては、いかに多くの相手を殺めて軍勢を壊滅させられるかが全てである。
それ故に、どんな卑怯な手段であろうとも勝利する事に意味があるのだ。
この非常に偏った思想を当然であるかのごとく国時は説いていた。
だが、国時は「奇襲」という立派な戦法を用いたわけであり、そこまで卑怯とは呼べる手段では無い。
経験が浅く未熟な康龍には、この戦法が卑怯なものに映っていたようである。
康龍
「ぐっ…くそっ…かような者に拙者は負けるというのか…」
康龍は悔しそうな顔をして拳を握りしめていた。
予想外の出来事によって自身の思い通りにならぬ事に対して強い苛立ちを覚えている様子である。
そして自身の力が及ばなかった事に対しての自己嫌悪にも陥っていた。
先程の優勢とは一転し、軍勢壊滅の危機に瀕している状態である。
そんな時、ふと玄名のある言葉が頭にすっと入ってきた。
「康龍よ、康龍よ…平常心を、平常心を取り戻すのですよ…良いですね…」
それは、主君である蛭間玄名が事ある毎に常々に口にしていた言葉であった。
康龍
「はっ!平常心…玄名様、玄名様がいつも申されておったことじゃ…そうじゃ、そうであった…」
何事にも常に平常心を持って挑みなさい。
平常心を忘れた愚か者は自らの身を滅ぼし、破滅の道を辿る事となるであろう。
それ故、平常心を保つという事は非常に大切な事を決して忘れるなかれ。
この玄名の言葉を思い出した康龍は、我に返った様子である。
そして兵たちに対して深々と頭を下げて言う。
康龍
「皆の者、拙者としたことがどうやら平常心を失っておったようじゃ。済まぬ、真に済まなかった…」
先程の取り乱した様子からは一変して康龍は、凛々しい表情へと切り替わっていた。
康龍
「皆の者よ!平常心をもってして今一度、外河軍と戦おうぞ!」
康龍のその言葉によって混乱していた兵たちは落ち着きを取り戻し始めていた。
その動きを見た国時は、感心した様子であった。
国時
「ほう、小童のくせに少しはやるではないか。これは楽しませてくれそうじゃな。くくく…」
この混乱した状況を何としてでも立て直そうとする動きを見せた康龍に対して国時は拍手をおくっていた。
康龍
「我ら杉家が持ちし底力、今こそ見せてくれるわ!国時殿よ、いくぞ!」
非常に力強い口調で康龍はそう言っていた。
戦況としては、やや康龍の軍勢が優勢であった。
しかし、国時が忍ばせていた伏兵の攻撃により事態は一変。
形勢は一気に国時の軍勢が優勢となっていた。
国時
「小童よ、兵を束ねし将としてどうやらお主は失格のようじゃな。」
康龍は、伏兵が潜んでいる事を見抜けなかった。
戦の経験が浅かったこともあるが、自軍が優勢であった故に周囲の異変に気付かなかった事が何よりの原因であろう。
我が軍の力を思い知ったか。
これでもまだ小童呼ばわりすると言うのか。
この失態は、そうした康龍の慢心が招いた結果と言えよう。
康龍は、国時をかっと睨みつけながら声を上げる。
康龍
「国時、貴様め…最初から不意打ちを狙っておったのか。この卑怯者め!」
その言葉に対して国時が答える。
国時
「ふん、何とでも言えば良いわ。じゃが、ここは戦場じゃ。殺し合いに卑怯も何も無いということを覚えておくが良い!」
戦の場においては、いかに多くの相手を殺めて軍勢を壊滅させられるかが全てである。
それ故に、どんな卑怯な手段であろうとも勝利する事に意味があるのだ。
この非常に偏った思想を当然であるかのごとく国時は説いていた。
だが、国時は「奇襲」という立派な戦法を用いたわけであり、そこまで卑怯とは呼べる手段では無い。
経験が浅く未熟な康龍には、この戦法が卑怯なものに映っていたようである。
康龍
「ぐっ…くそっ…かような者に拙者は負けるというのか…」
康龍は悔しそうな顔をして拳を握りしめていた。
予想外の出来事によって自身の思い通りにならぬ事に対して強い苛立ちを覚えている様子である。
そして自身の力が及ばなかった事に対しての自己嫌悪にも陥っていた。
先程の優勢とは一転し、軍勢壊滅の危機に瀕している状態である。
そんな時、ふと玄名のある言葉が頭にすっと入ってきた。
「康龍よ、康龍よ…平常心を、平常心を取り戻すのですよ…良いですね…」
それは、主君である蛭間玄名が事ある毎に常々に口にしていた言葉であった。
康龍
「はっ!平常心…玄名様、玄名様がいつも申されておったことじゃ…そうじゃ、そうであった…」
何事にも常に平常心を持って挑みなさい。
平常心を忘れた愚か者は自らの身を滅ぼし、破滅の道を辿る事となるであろう。
それ故、平常心を保つという事は非常に大切な事を決して忘れるなかれ。
この玄名の言葉を思い出した康龍は、我に返った様子である。
そして兵たちに対して深々と頭を下げて言う。
康龍
「皆の者、拙者としたことがどうやら平常心を失っておったようじゃ。済まぬ、真に済まなかった…」
先程の取り乱した様子からは一変して康龍は、凛々しい表情へと切り替わっていた。
康龍
「皆の者よ!平常心をもってして今一度、外河軍と戦おうぞ!」
康龍のその言葉によって混乱していた兵たちは落ち着きを取り戻し始めていた。
その動きを見た国時は、感心した様子であった。
国時
「ほう、小童のくせに少しはやるではないか。これは楽しませてくれそうじゃな。くくく…」
この混乱した状況を何としてでも立て直そうとする動きを見せた康龍に対して国時は拍手をおくっていた。
康龍
「我ら杉家が持ちし底力、今こそ見せてくれるわ!国時殿よ、いくぞ!」
非常に力強い口調で康龍はそう言っていた。
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