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第8章 将軍への道程編
41.墨山の戦い(9)
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墨山城周辺は天候が変わり、霧が発生。
志太軍、外河軍の両軍は一寸先も分からぬ程の濃い霧に包まれていた。
そこで国輝は、信栄斎が開発した霧眼鏡(むげんきょう)の使用を兵たちに促した。
霧眼鏡を用いた事で志太軍の兵たちの居場所が掴めた兵たちは、一斉に矢と鉄砲玉を志太軍目掛けて放った。
周りを十分に見渡せぬ霧の中で志太軍は、一方的に攻撃を受ける事となった。
志太軍は全軍壊滅かと思われていたその時、義秀(頼隆)が太鼓を爆音で鳴らしていた。
義秀(頼隆)
「祐宗様、こちらを目指して我らの軍勢と合流くだされ!」
どうやら義秀(頼隆)の陣に祐宗らの軍勢を誘導させた後に一斉に退却させようと考えていたようだ。
祐宗
「すまぬ、義秀殿よ。恩に着るぞ!」
その様子を見ていた国輝は感心した表情を見せていたが、すぐに不気味な笑みを浮かべながら言う。
国輝
「太鼓の音を頼りに退路の案内とな?義秀という男め、考えおったな。じゃが、果たしてそう上手くはいくかのう?」
そして軍勢を動かそうとする祐宗を祐永が制止するようにして言う。
祐永
「しかし兄者、今のこの状況で外河軍の攻撃を避けて逃げ切るのは難しきことかと…」
祐宗
「むぅ…確かに外河軍は我らの動きは手に取るように分かってはおる。」
現在の志太軍の動きは外河軍が手に取るように分かる状況だ。
隙だらけの軍勢が退却を行ったとすれば外河家の追い打ちをまともに喰らい、その被害は甚大なものとなるであろう。
だが、その場に立ち止まったとしてもいずれは全軍壊滅する事は明白。
大きな犠牲を払う事に対しての覚悟を決めねばならまい。
祐宗は切羽詰まった様子であった。
すると、義道が意を決した表情をして声を上げる。
義道
「よし、儂が殿を務めようぞ!儂が外河軍を食い止めておる間に皆は逃げよ!」
志太軍の殿の役目を義道が買って出ると言うのである。
義道のその言葉を聞いた祐宗は、しばらく間を置いた後に首を深く縦に振って言う。
祐宗
「うむ、承知いたした。叔父御、頼んだぞよ!ただし、死ぬでないぞ…命は大事にせよ!良いな?」
義道
「心配なさるな!この大村義道、そう簡単に討たれはせぬ!ここで儂が死ねば兄者に怒られてしまうでな。はっはっはっ!」
義道は冗談交じりに笑いながらそう答えていた。
そうして祐宗が全軍に対して声を上げる。
祐宗
「皆の者よ!義秀殿の鳴らされておる太鼓の音のする方角へと急いで向かうのじゃ!義道が外河軍を食い止めておる間に何としても全員無事に御所へと逃げ帰るのじゃ!」
崇冬
「ははっ!義道殿、真にかたじけのうございます!我ら共に全員、必ずや生きて帰りましょうぞ!」
康龍
「我らのような者の為に殿を…義道殿こそが真の武士にござる。」
玄名
「義道殿、どうかご無事で…」
志太軍の武将たちは、義道に対して感謝の言葉をかけつつまたその身を案じている様子でもあった。
退却を進める志太軍の兵たちが立てる足音を聞きながら義道が呟く。
義道
「この戦を最後に儂は身を退こうと考えておったのじゃが…やれやれ、そうは行かぬみたいじゃな…」
義道の軍勢を睨みつけながら国輝が口を開く。
国輝
「大村義道…祐藤の兄弟か。奴は志太家では山ほどの武功を立てておったのう。じゃが、それも遠き昔の話。老いには勝てぬということを奴に教えてやろうぞ!」
国輝は闘志を燃やしていた。
志太軍、外河軍の両軍は一寸先も分からぬ程の濃い霧に包まれていた。
そこで国輝は、信栄斎が開発した霧眼鏡(むげんきょう)の使用を兵たちに促した。
霧眼鏡を用いた事で志太軍の兵たちの居場所が掴めた兵たちは、一斉に矢と鉄砲玉を志太軍目掛けて放った。
周りを十分に見渡せぬ霧の中で志太軍は、一方的に攻撃を受ける事となった。
志太軍は全軍壊滅かと思われていたその時、義秀(頼隆)が太鼓を爆音で鳴らしていた。
義秀(頼隆)
「祐宗様、こちらを目指して我らの軍勢と合流くだされ!」
どうやら義秀(頼隆)の陣に祐宗らの軍勢を誘導させた後に一斉に退却させようと考えていたようだ。
祐宗
「すまぬ、義秀殿よ。恩に着るぞ!」
その様子を見ていた国輝は感心した表情を見せていたが、すぐに不気味な笑みを浮かべながら言う。
国輝
「太鼓の音を頼りに退路の案内とな?義秀という男め、考えおったな。じゃが、果たしてそう上手くはいくかのう?」
そして軍勢を動かそうとする祐宗を祐永が制止するようにして言う。
祐永
「しかし兄者、今のこの状況で外河軍の攻撃を避けて逃げ切るのは難しきことかと…」
祐宗
「むぅ…確かに外河軍は我らの動きは手に取るように分かってはおる。」
現在の志太軍の動きは外河軍が手に取るように分かる状況だ。
隙だらけの軍勢が退却を行ったとすれば外河家の追い打ちをまともに喰らい、その被害は甚大なものとなるであろう。
だが、その場に立ち止まったとしてもいずれは全軍壊滅する事は明白。
大きな犠牲を払う事に対しての覚悟を決めねばならまい。
祐宗は切羽詰まった様子であった。
すると、義道が意を決した表情をして声を上げる。
義道
「よし、儂が殿を務めようぞ!儂が外河軍を食い止めておる間に皆は逃げよ!」
志太軍の殿の役目を義道が買って出ると言うのである。
義道のその言葉を聞いた祐宗は、しばらく間を置いた後に首を深く縦に振って言う。
祐宗
「うむ、承知いたした。叔父御、頼んだぞよ!ただし、死ぬでないぞ…命は大事にせよ!良いな?」
義道
「心配なさるな!この大村義道、そう簡単に討たれはせぬ!ここで儂が死ねば兄者に怒られてしまうでな。はっはっはっ!」
義道は冗談交じりに笑いながらそう答えていた。
そうして祐宗が全軍に対して声を上げる。
祐宗
「皆の者よ!義秀殿の鳴らされておる太鼓の音のする方角へと急いで向かうのじゃ!義道が外河軍を食い止めておる間に何としても全員無事に御所へと逃げ帰るのじゃ!」
崇冬
「ははっ!義道殿、真にかたじけのうございます!我ら共に全員、必ずや生きて帰りましょうぞ!」
康龍
「我らのような者の為に殿を…義道殿こそが真の武士にござる。」
玄名
「義道殿、どうかご無事で…」
志太軍の武将たちは、義道に対して感謝の言葉をかけつつまたその身を案じている様子でもあった。
退却を進める志太軍の兵たちが立てる足音を聞きながら義道が呟く。
義道
「この戦を最後に儂は身を退こうと考えておったのじゃが…やれやれ、そうは行かぬみたいじゃな…」
義道の軍勢を睨みつけながら国輝が口を開く。
国輝
「大村義道…祐藤の兄弟か。奴は志太家では山ほどの武功を立てておったのう。じゃが、それも遠き昔の話。老いには勝てぬということを奴に教えてやろうぞ!」
国輝は闘志を燃やしていた。
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