345 / 549
第8章 将軍への道程編
39.墨山の戦い(7)
しおりを挟む
崇冬の軍勢が優勢である事を受け、志太軍は全軍出撃を開始した。
全兵力を外河軍にぶつけて一気にねじ伏せてしまおうという狙いである。
やがて出撃した軍勢は、前線で戦う軍勢と合流。
そうして全ての軍勢が外河軍と接触。
たちまち戦闘状態となった。
終始外河軍との戦闘を行っていた崇冬と康龍にとってこの増援は、非常に心強いものとなったであろう。
国輝が上を向きながら何度も呪文を唱えるかのごとく呟き始める。
国輝
「もうじきじゃ…もうじきじゃ…もうじきじゃ…もうじきじゃぞ…もうじきじゃ…」
国輝の視線は、墨山の空を向いていた。
墨山周辺の天候は曇り始めており、霧もあちらこちらで発生し始めていた。
祐宗
「むっ…霧が出てきおったようじゃな…」
祐宗は霧が辺りに出始めていた事を真っ先に察知し、心配げな表情を浮かべている。
祐永
「これが墨山の地と呼ばれる所以の霧か…かような時で無ければ真に風流なのじゃがな…」
祐永は、霧に包まれた事によって薄っすらとその姿を覗かせる墨山城を見てそう呟いていた。
義道
「見通しが悪くなってきたのう…ここは一旦、留まった方が良いかも知れぬな。」
義道は霧に包まれた自身の軍勢をその場に留まらせる事を検討。
霧の中で無闇に動いて自軍を見失い、気が付いた時には既に窮地に陥っていた、となる事を危惧している様子だ。
玄名
「真に美しき景色であるな。敵も味方も関係無く、かような感動を共に分かち合える日が来ることを私は望んでいます…」
玄名もまた祐永と同様に、立ち込める霧の中から浮かび上がる墨山城の美しさに圧倒されている様子だ。
そして、こうした感動を皆で分かち合えるような争い無き「泰平の世」を一日も早く訪れる事を切に願っていた。
義秀(頼隆)
「霧、か…まぁ墨山では良くある事じゃが…よりによってこの戦の最中にとはのう…」
頼隆は自国の主という事もあり、このような天候は見慣れた光景であった。
しかし自軍が優勢で絶好の機という事もあり、この霧が後の戦に影響しないかを頼隆は案じていた。
康龍
「国時の軍勢が霞んできておる…なんということじゃ!敵軍を見失ってしまうぞ!」
崇冬
「くっ、かような時に限って霧じゃと?これでは思うように攻められぬでは無いか…」
前線で外河軍と戦っている崇冬と康龍らは、目の前に広がる霧に対して苛立った表情であった。
そうしていると霧はみるみるうちに濃くなっていき、両軍をさらに深く包み込んでいった。
すると国輝が全軍に対して大声を上げる。
国輝
「よし、そろそろじゃな。全軍に告ぐ!直ちに新栄斎殿の道具を用意せよ!良いな?!」
国輝のその一声により、外河軍の兵たちが動き出す。
どうやらここで信栄斎が開発したと言う道具を使うようである。
その道具を使う為の準備は瞬く間に終わった。
全ての兵たちの準備が完了した事を確認した国輝が合図の声を上げる。
国輝
「天は我に味方せり!行けっ!」
国輝の合図により、外河軍は志太軍に対して弓と鉄砲の一声発射を開始。
放たれた矢と鉄砲玉は霧の中を迷う事無く突き進み、志太軍に降り注いだ。
崇冬
「なっ…この霧の中で不意打ちじゃと?!」
康龍
「まさか…かような時に敵襲じゃというのか?!」
この突然とも言える外河軍の一方的な攻撃に対し、崇冬や康龍らは混乱した様子であった。
国輝
「ふははははは!我が軍の反撃の始まりじゃ!覚悟して参れよ!」
祐永
「何じゃと…互いは霧の中というのに何故奴らは拙者らの場所が分かるのじゃ?」
祐永は、この濃い霧が立ち込める中において志太軍に対して正確に攻撃を行える外河軍に疑問を感じている様子だ。
すると祐宗が何かを理解した様子で言う。
祐宗
「どうやら外河家には相当な切れ者がおるようじゃな…」
祐宗は苦い表情を浮かべていた。
全兵力を外河軍にぶつけて一気にねじ伏せてしまおうという狙いである。
やがて出撃した軍勢は、前線で戦う軍勢と合流。
そうして全ての軍勢が外河軍と接触。
たちまち戦闘状態となった。
終始外河軍との戦闘を行っていた崇冬と康龍にとってこの増援は、非常に心強いものとなったであろう。
国輝が上を向きながら何度も呪文を唱えるかのごとく呟き始める。
国輝
「もうじきじゃ…もうじきじゃ…もうじきじゃ…もうじきじゃぞ…もうじきじゃ…」
国輝の視線は、墨山の空を向いていた。
墨山周辺の天候は曇り始めており、霧もあちらこちらで発生し始めていた。
祐宗
「むっ…霧が出てきおったようじゃな…」
祐宗は霧が辺りに出始めていた事を真っ先に察知し、心配げな表情を浮かべている。
祐永
「これが墨山の地と呼ばれる所以の霧か…かような時で無ければ真に風流なのじゃがな…」
祐永は、霧に包まれた事によって薄っすらとその姿を覗かせる墨山城を見てそう呟いていた。
義道
「見通しが悪くなってきたのう…ここは一旦、留まった方が良いかも知れぬな。」
義道は霧に包まれた自身の軍勢をその場に留まらせる事を検討。
霧の中で無闇に動いて自軍を見失い、気が付いた時には既に窮地に陥っていた、となる事を危惧している様子だ。
玄名
「真に美しき景色であるな。敵も味方も関係無く、かような感動を共に分かち合える日が来ることを私は望んでいます…」
玄名もまた祐永と同様に、立ち込める霧の中から浮かび上がる墨山城の美しさに圧倒されている様子だ。
そして、こうした感動を皆で分かち合えるような争い無き「泰平の世」を一日も早く訪れる事を切に願っていた。
義秀(頼隆)
「霧、か…まぁ墨山では良くある事じゃが…よりによってこの戦の最中にとはのう…」
頼隆は自国の主という事もあり、このような天候は見慣れた光景であった。
しかし自軍が優勢で絶好の機という事もあり、この霧が後の戦に影響しないかを頼隆は案じていた。
康龍
「国時の軍勢が霞んできておる…なんということじゃ!敵軍を見失ってしまうぞ!」
崇冬
「くっ、かような時に限って霧じゃと?これでは思うように攻められぬでは無いか…」
前線で外河軍と戦っている崇冬と康龍らは、目の前に広がる霧に対して苛立った表情であった。
そうしていると霧はみるみるうちに濃くなっていき、両軍をさらに深く包み込んでいった。
すると国輝が全軍に対して大声を上げる。
国輝
「よし、そろそろじゃな。全軍に告ぐ!直ちに新栄斎殿の道具を用意せよ!良いな?!」
国輝のその一声により、外河軍の兵たちが動き出す。
どうやらここで信栄斎が開発したと言う道具を使うようである。
その道具を使う為の準備は瞬く間に終わった。
全ての兵たちの準備が完了した事を確認した国輝が合図の声を上げる。
国輝
「天は我に味方せり!行けっ!」
国輝の合図により、外河軍は志太軍に対して弓と鉄砲の一声発射を開始。
放たれた矢と鉄砲玉は霧の中を迷う事無く突き進み、志太軍に降り注いだ。
崇冬
「なっ…この霧の中で不意打ちじゃと?!」
康龍
「まさか…かような時に敵襲じゃというのか?!」
この突然とも言える外河軍の一方的な攻撃に対し、崇冬や康龍らは混乱した様子であった。
国輝
「ふははははは!我が軍の反撃の始まりじゃ!覚悟して参れよ!」
祐永
「何じゃと…互いは霧の中というのに何故奴らは拙者らの場所が分かるのじゃ?」
祐永は、この濃い霧が立ち込める中において志太軍に対して正確に攻撃を行える外河軍に疑問を感じている様子だ。
すると祐宗が何かを理解した様子で言う。
祐宗
「どうやら外河家には相当な切れ者がおるようじゃな…」
祐宗は苦い表情を浮かべていた。
0
佐村孫千Webサイト
https://samuramagosen.themedia.jp/
https://samuramagosen.themedia.jp/
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
戦争はただ冷酷に
航空戦艦信濃
歴史・時代
1900年代、日露戦争の英雄達によって帝国陸海軍の教育は大きな変革を遂げた。戦術だけでなく戦略的な視点で、すべては偉大なる皇国の為に、徹底的に敵を叩き潰すための教育が行われた。その為なら、武士道を捨てることだって厭わない…
1931年、満州の荒野からこの教育の成果が世界に示される。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
小沢機動部隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。
名は小沢治三郎。
年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。
ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。
毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。
楽しんで頂ければ幸いです!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる