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第8章 将軍への道程編
37.墨山の戦い(5)
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一方、崇冬率いる軍勢は国輝の軍勢に対して突撃を開始。
先手を取り、相手に考える暇を与えさせぬほどの手際の良さによって国輝の軍勢への斬り込みであった。
国輝の軍勢はこの勢いに飲み込まれ、多数の被害が出始めていた。
崇冬が自慢げな表情を浮かべて国輝に対して声を上げる。
崇冬
「どうじゃ、国輝殿よ!我が軍の強さ、思い知ったか!」
どうやら崇冬は自身の思い通りに事が進み、非常に満足した様子である。
国輝
「くっ…貴様、なかなかやりおるな…」
国輝は眉をひそめながら苦い表情をしていた。
その様子に崇冬はさらに続けて言う。
崇冬
「国輝殿よ、強がるのもほどほどにされるのが良いのではござらぬか?お主の軍勢が壊滅するのも時間の問題ぞ?」
崇冬による挑発の言葉をかけられた国輝は、みるみるうちに険しい表情を見せ始める。
国輝
「えぇい、ほざくな!まだまだ儂らは負けてはおらぬわ!」
国輝の瞳は、闘争心に燃えるようにぎらりと光っていた。
一方そこから少し離れた志太軍の本陣では、この様子を祐宗と祐宗らが眺めていた。
祐永
「兄者、どうやら崇冬殿の軍勢が優勢のようにございますな。」
祐宗
「うむ、流石は武芸に秀でた口羽家の人間よの。」
祐宗は、崇冬の戦いぶりに対して非常に感心した様子であった。
かつては志太家において戦の指揮を執る軍師の役に就いていた国輝。
軍師というものは「武」の才能が無ければその役も務まらない。
それ故に国輝もそうした才能を当然ながら持ち合わせていた。
しかし崇冬は国輝の軍勢を物ともせずに堂々たる態度で立ち向かい、戦況を有利に進めている。
武闘派であり、鬼の口羽の異名を持つという所以がここに確かにあった。
祐宗
「それにしても見事な戦いぶりじゃな。もし、崇冬殿ほどの男に敵として会っておれば…考えただけでも恐ろしきものよ…」
確かに自家においてこのように英雄のような存在の家臣がいるという事は大変誉れなことであろう。
だが、これがもし敵方の人間であれば話は変わってくる。
敵国の英雄など、自家にとっては脅威以外の何物でも無いからである。
こうした不安を感じていた事からも祐宗は、いかに崇冬の能力を恐れるほどに高く評価していたという事が伺える。
そして少しの刻が過ぎた。
国輝の軍勢はなおも崇冬の軍勢による猛攻が続いている。
崇冬
「どうじゃ!我らの力、思い知ったか!国輝殿よ、身を引かれるのであらば今のうちにござるぞ?」
勝敗は最早ついていると言っても良いであろう。
それ故に、無駄な抵抗を止めて投降すべきだ。
崇冬はそう言わんばかりの態度と口調でそう言っていた。
しかし、その問い掛けに国輝は余裕そうな表情を浮かべて答える。
国輝
「確かに今の戦況では我らが不利。じゃが、果たしてそう上手くいくものかね?」
そして頼隆の陣でも崇冬優勢というこの状況を見守っていた。
頼隆は、どこか落ち着かない様子で口を開く。
義秀(頼隆)
「国輝、あやつめ…まだ余裕な顔をしておる。何か策があるというのか…」
もしや、この戦況をひっくり返すほどの切り札があるのだろうか。
窮地に陥りつつある国輝の軍勢ではあったが、それでもなお平然とした様子の国輝に対して頼隆は疑問を抱いていた。
すると国輝は不気味な笑みを浮かべながら呟く。
国輝
「ふふふ…もうじきじゃ、もうじきじゃな…」
墨山城周辺の天候は崩れつつあった。
それはまるで、今後の両軍の行方が大きく転換する事を予告するかのようであった…
先手を取り、相手に考える暇を与えさせぬほどの手際の良さによって国輝の軍勢への斬り込みであった。
国輝の軍勢はこの勢いに飲み込まれ、多数の被害が出始めていた。
崇冬が自慢げな表情を浮かべて国輝に対して声を上げる。
崇冬
「どうじゃ、国輝殿よ!我が軍の強さ、思い知ったか!」
どうやら崇冬は自身の思い通りに事が進み、非常に満足した様子である。
国輝
「くっ…貴様、なかなかやりおるな…」
国輝は眉をひそめながら苦い表情をしていた。
その様子に崇冬はさらに続けて言う。
崇冬
「国輝殿よ、強がるのもほどほどにされるのが良いのではござらぬか?お主の軍勢が壊滅するのも時間の問題ぞ?」
崇冬による挑発の言葉をかけられた国輝は、みるみるうちに険しい表情を見せ始める。
国輝
「えぇい、ほざくな!まだまだ儂らは負けてはおらぬわ!」
国輝の瞳は、闘争心に燃えるようにぎらりと光っていた。
一方そこから少し離れた志太軍の本陣では、この様子を祐宗と祐宗らが眺めていた。
祐永
「兄者、どうやら崇冬殿の軍勢が優勢のようにございますな。」
祐宗
「うむ、流石は武芸に秀でた口羽家の人間よの。」
祐宗は、崇冬の戦いぶりに対して非常に感心した様子であった。
かつては志太家において戦の指揮を執る軍師の役に就いていた国輝。
軍師というものは「武」の才能が無ければその役も務まらない。
それ故に国輝もそうした才能を当然ながら持ち合わせていた。
しかし崇冬は国輝の軍勢を物ともせずに堂々たる態度で立ち向かい、戦況を有利に進めている。
武闘派であり、鬼の口羽の異名を持つという所以がここに確かにあった。
祐宗
「それにしても見事な戦いぶりじゃな。もし、崇冬殿ほどの男に敵として会っておれば…考えただけでも恐ろしきものよ…」
確かに自家においてこのように英雄のような存在の家臣がいるという事は大変誉れなことであろう。
だが、これがもし敵方の人間であれば話は変わってくる。
敵国の英雄など、自家にとっては脅威以外の何物でも無いからである。
こうした不安を感じていた事からも祐宗は、いかに崇冬の能力を恐れるほどに高く評価していたという事が伺える。
そして少しの刻が過ぎた。
国輝の軍勢はなおも崇冬の軍勢による猛攻が続いている。
崇冬
「どうじゃ!我らの力、思い知ったか!国輝殿よ、身を引かれるのであらば今のうちにござるぞ?」
勝敗は最早ついていると言っても良いであろう。
それ故に、無駄な抵抗を止めて投降すべきだ。
崇冬はそう言わんばかりの態度と口調でそう言っていた。
しかし、その問い掛けに国輝は余裕そうな表情を浮かべて答える。
国輝
「確かに今の戦況では我らが不利。じゃが、果たしてそう上手くいくものかね?」
そして頼隆の陣でも崇冬優勢というこの状況を見守っていた。
頼隆は、どこか落ち着かない様子で口を開く。
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「国輝、あやつめ…まだ余裕な顔をしておる。何か策があるというのか…」
もしや、この戦況をひっくり返すほどの切り札があるのだろうか。
窮地に陥りつつある国輝の軍勢ではあったが、それでもなお平然とした様子の国輝に対して頼隆は疑問を抱いていた。
すると国輝は不気味な笑みを浮かべながら呟く。
国輝
「ふふふ…もうじきじゃ、もうじきじゃな…」
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