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第8章 将軍への道程編
35.墨山の戦い(3)
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墨山の地で対峙した志太軍と外河軍は、両軍の将による号令によって攻撃を開始。
両軍入り乱れての戦いがついに始まった。
崇冬との戦闘を開始した国輝が余裕そうな表情を見せて言う。
国輝
「さて、まずは手並み拝見といくかね。」
その言葉に対し、崇冬は険しい顔をしていた。
崇冬
「舐めるでない!我が口羽の恐ろしさ、見せてくれるわ!」
そう言うと崇冬の軍勢は弓矢を取り出し、素早く弦を弾いた。
放たれた矢が国輝の軍勢に雨のように降り注ぐ。
これには国輝の軍勢も面を食らったようである。
しかし、すぐに国輝は兵たちに対して一喝。
たちまち軍勢は元の落ち着きを取り戻した。
国輝
「ほほぅ、流石は口羽崇数の嫡男だけのことはあるようじゃな。なかなか戦い甲斐のある将よ!」
依然として余裕げな表情を浮かべている国輝に対し、崇冬はなおも興奮した様子で叫ぶ。
崇冬
「そう申しておれるのも今のうちであるぞ!行けっ!」
崇冬の軍勢は馬に跨り、槍・刀らを手にして国輝の軍勢目掛けて一気に突進を開始した。
この間髪入れずの攻撃の嵐に国輝は真剣な表情を見せ始める。
国輝
「一気にかたを付けるつもりか。面白い!受けて立とうぞ!」
国輝もまた興奮した様子でそう叫んでいた。
一方、康龍の軍勢は国時の軍勢との衝突が既に始まっていた。
戦況は両軍勢共にほぼ互角と言ったところであろうか。
軍勢による戦いぶりについて国時が口を開く。
国時
「ふむ…小童よ、どうやらお主の実力は口だけでは無いようじゃな。」
国時のその言葉を耳にした康龍が声を荒らげて言う。
康龍
「拙者は小童などではない!拙者は杉康龍にござる!」
康龍は、小童扱いされた事に対して怒りを覚えた様子であった。
その様子を見た国時が笑いながら言う。
国時
「おぉ、そうじゃったのう康龍殿よ。しかしお主は若い、まだまだ若いのぅ…おいお前たち、準備しろ。」
国時は自身の兵たちに合図の言葉をかけた。
すると国時の兵たちは、目にも留まらぬ速さで鉄砲を構え始めた。
国時
「その若さ故に詰めが甘かったようじゃな。よし、やれ。」
さらに国時は続けて合図の言葉を発した。
その瞬間、国時の軍勢は康龍の軍勢目掛けて一斉に砲撃。
数千挺ともあろう鉄砲による凄まじい砲撃音が辺りに鳴り響いていた。
この攻撃により、康龍の軍勢では多数の死傷者が出始めていた。
康龍
「な、なんじゃと…」
突然の出来事に康龍は目を見開いていた。
国時
「どうやらまだまだ戦には慣れておらぬと見た。真の戦というものを儂が教えてやろうぞ!」
国時は不気味な笑みを浮かべながらそう声を上げていた。
そして義道の軍勢は、墨山城に潜入するべく城壁の破壊を行っていた。
やがて一人の兵が息を切らして義道の元に駆け寄って来た。
兵
「義道様、どうやら康龍殿の軍勢が劣勢のようにございますぞ!」
兵は国時と戦闘状態にある康龍の軍勢が現在、危機に面していると伝えた。
先程の鉄砲による一斉砲撃を受けた事で多数の被害を受けており、国時の軍勢に押されている状態だ。
義道
「うむ、康龍殿が国時相手にちいと手こずっておるようじゃの。」
義道もこの様子には気付いていたようである。
兵
「ここは、我らも加勢いたすべきでは…ございませぬか?」
すると義道は首を横に振って答える。
義道
「いや、康龍殿ならば今の戦況をひっくり返せるであろう。故に、加勢は無用じゃ。」
康龍であれば、例え劣勢であったとしても逆転してみせるに違い無い、と義道は考えていたようである。
そして続けて義道が言う。
義道
「康龍殿は、我が兄者が心底惚れた村上家の名将 杉康虎殿の嫡男。そう簡単に敵に敗れはせぬよ。」
義道は落ち着いた表情を見せていた。
両軍入り乱れての戦いがついに始まった。
崇冬との戦闘を開始した国輝が余裕そうな表情を見せて言う。
国輝
「さて、まずは手並み拝見といくかね。」
その言葉に対し、崇冬は険しい顔をしていた。
崇冬
「舐めるでない!我が口羽の恐ろしさ、見せてくれるわ!」
そう言うと崇冬の軍勢は弓矢を取り出し、素早く弦を弾いた。
放たれた矢が国輝の軍勢に雨のように降り注ぐ。
これには国輝の軍勢も面を食らったようである。
しかし、すぐに国輝は兵たちに対して一喝。
たちまち軍勢は元の落ち着きを取り戻した。
国輝
「ほほぅ、流石は口羽崇数の嫡男だけのことはあるようじゃな。なかなか戦い甲斐のある将よ!」
依然として余裕げな表情を浮かべている国輝に対し、崇冬はなおも興奮した様子で叫ぶ。
崇冬
「そう申しておれるのも今のうちであるぞ!行けっ!」
崇冬の軍勢は馬に跨り、槍・刀らを手にして国輝の軍勢目掛けて一気に突進を開始した。
この間髪入れずの攻撃の嵐に国輝は真剣な表情を見せ始める。
国輝
「一気にかたを付けるつもりか。面白い!受けて立とうぞ!」
国輝もまた興奮した様子でそう叫んでいた。
一方、康龍の軍勢は国時の軍勢との衝突が既に始まっていた。
戦況は両軍勢共にほぼ互角と言ったところであろうか。
軍勢による戦いぶりについて国時が口を開く。
国時
「ふむ…小童よ、どうやらお主の実力は口だけでは無いようじゃな。」
国時のその言葉を耳にした康龍が声を荒らげて言う。
康龍
「拙者は小童などではない!拙者は杉康龍にござる!」
康龍は、小童扱いされた事に対して怒りを覚えた様子であった。
その様子を見た国時が笑いながら言う。
国時
「おぉ、そうじゃったのう康龍殿よ。しかしお主は若い、まだまだ若いのぅ…おいお前たち、準備しろ。」
国時は自身の兵たちに合図の言葉をかけた。
すると国時の兵たちは、目にも留まらぬ速さで鉄砲を構え始めた。
国時
「その若さ故に詰めが甘かったようじゃな。よし、やれ。」
さらに国時は続けて合図の言葉を発した。
その瞬間、国時の軍勢は康龍の軍勢目掛けて一斉に砲撃。
数千挺ともあろう鉄砲による凄まじい砲撃音が辺りに鳴り響いていた。
この攻撃により、康龍の軍勢では多数の死傷者が出始めていた。
康龍
「な、なんじゃと…」
突然の出来事に康龍は目を見開いていた。
国時
「どうやらまだまだ戦には慣れておらぬと見た。真の戦というものを儂が教えてやろうぞ!」
国時は不気味な笑みを浮かべながらそう声を上げていた。
そして義道の軍勢は、墨山城に潜入するべく城壁の破壊を行っていた。
やがて一人の兵が息を切らして義道の元に駆け寄って来た。
兵
「義道様、どうやら康龍殿の軍勢が劣勢のようにございますぞ!」
兵は国時と戦闘状態にある康龍の軍勢が現在、危機に面していると伝えた。
先程の鉄砲による一斉砲撃を受けた事で多数の被害を受けており、国時の軍勢に押されている状態だ。
義道
「うむ、康龍殿が国時相手にちいと手こずっておるようじゃの。」
義道もこの様子には気付いていたようである。
兵
「ここは、我らも加勢いたすべきでは…ございませぬか?」
すると義道は首を横に振って答える。
義道
「いや、康龍殿ならば今の戦況をひっくり返せるであろう。故に、加勢は無用じゃ。」
康龍であれば、例え劣勢であったとしても逆転してみせるに違い無い、と義道は考えていたようである。
そして続けて義道が言う。
義道
「康龍殿は、我が兄者が心底惚れた村上家の名将 杉康虎殿の嫡男。そう簡単に敵に敗れはせぬよ。」
義道は落ち着いた表情を見せていた。
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