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第8章 将軍への道程編
26.影の宿命
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国輝の策略によって暗殺されたと思われていた頼隆は生きていた。
そして頼隆は八光御所を訪れ、祐宗との面会を果たす。
国輝によって乗っ取られた墨山国を取り戻す為にも志太家の力を貸して欲しいと頼隆は懇願していた。
事情を知った祐宗はその願いを聞き入れ、志太家として国輝の討伐に乗り出そうとしていた。
すると祐宗は心配げな表情をして言う。
祐宗
「しかし頼隆殿よ、あまり顔を知られては都合が悪いのではござらぬか?」
八光御所から墨山国までは遠く離れており、外河家の人間の顔を知る者はほぼ居ないと言っても良いだろう。
しかし、それは必ずしもそうであるとは限らない。
もし頼隆である事が志太家の領内で発覚した場合、後々に面倒な事に発展するであろう。
頼隆
「はっ…確かにそうにございますな…」
頼隆は祐宗のその言葉を聞き、はっとした表情をしていた。
祐宗
「うむ、同じ者が二人いると分かればお互い混乱するであろうな…」
頼隆
「向こうは影がおります故、拙者はあまり派手には動けませぬな…」
「外河頼隆」という人物として悟られぬ為には何らかの策が必要である。
二人は考え込んだ様子で黙り始めた。
しばらくして祐宗が手を叩いて言う。
どうやら名案が思い浮かんだようである。
祐宗
「そうじゃ!ひとまず、我の父上 大村家の縁者として名乗れば良かろう。」
頼隆
「ははっ、祐宗様の御父上の名を名乗らせていただけるとは…光栄にございます!」
こうして頼隆は、志太家の家臣として新たに加わったのである。
一方その頃、墨山国では国輝と国時、源五郎の三人が集まっていた。
源五郎が国輝に対して言う。
源五郎
「国輝様、次に私は何をすれば良いのでございますか?」
その問い掛けに国輝が答える。
国輝
「うむ、そう慌てるな。お前に新しい任務を与えてやろう。」
源五郎
「ははっ、次の任務もこの源五郎めがこなして見せましょう!」
源五郎は自身に満ちた表情をしてそう言っていた。
すると国輝は声高らかに笑い声を上げながら言う。
国輝
「はっはっはっ!次の任務はな…これじゃ!」
次の瞬間、国輝は腰にした刀を抜いて源五郎の体を斬りつけた。
源五郎
「うぐっ…く、国輝様?な…なにを…いたすのですか…」
国輝によって体を斬られた源五郎は、怯えるような目をしていた。
そして国輝は続けて笑いながら言う。
国輝
「墨山国の大名 外河頼隆は、志太家の差し金によって無念にも討たれる。源五郎よ、それが貴様の最後の任務よ!」
志太家の策略によって外河頼隆が殺された。
どうやらこうする事で外河家は、志太家に対しての敵対心を増幅させようという狙いのようだ。
志太家への憎悪で外河家中での結びつきを更に強固な物にするべく、国輝は源五郎を始末しようと考えていたのだ。
源五郎
「そ…そんな…く、国輝様…ぐっ…」
源五郎は、か細い声を出してその場にうずくまった。
国輝によって斬られた傷は思ったよりも深かったようであり、致命傷を負っている。
最早虫の息とも言える状態の源五郎に対して国輝が吐き捨てるように言う。
国輝
「源五郎よ、もう貴様に用は無い故に死んでもらう。今まで真にご苦労であったな、儂の野望の為に動いてくれて感謝しておるぞ。ふふふ…」
外河家を裏で操る為の準備は整った。
それ故に源五郎と言う存在を邪魔に感じた国輝は、非情にも彼を切り捨てようとしている。
そして国輝が国時に対して声をかける。
国輝
「おい国時よ、とどめを刺しておけ。こやつを早う地獄へと送り届けてやるのじゃ。」
国時
「源五郎殿よ、お覚悟なさいませ。」
国時は源五郎の首を目掛けて勢い良く刀を振り下ろした。
そして頼隆は八光御所を訪れ、祐宗との面会を果たす。
国輝によって乗っ取られた墨山国を取り戻す為にも志太家の力を貸して欲しいと頼隆は懇願していた。
事情を知った祐宗はその願いを聞き入れ、志太家として国輝の討伐に乗り出そうとしていた。
すると祐宗は心配げな表情をして言う。
祐宗
「しかし頼隆殿よ、あまり顔を知られては都合が悪いのではござらぬか?」
八光御所から墨山国までは遠く離れており、外河家の人間の顔を知る者はほぼ居ないと言っても良いだろう。
しかし、それは必ずしもそうであるとは限らない。
もし頼隆である事が志太家の領内で発覚した場合、後々に面倒な事に発展するであろう。
頼隆
「はっ…確かにそうにございますな…」
頼隆は祐宗のその言葉を聞き、はっとした表情をしていた。
祐宗
「うむ、同じ者が二人いると分かればお互い混乱するであろうな…」
頼隆
「向こうは影がおります故、拙者はあまり派手には動けませぬな…」
「外河頼隆」という人物として悟られぬ為には何らかの策が必要である。
二人は考え込んだ様子で黙り始めた。
しばらくして祐宗が手を叩いて言う。
どうやら名案が思い浮かんだようである。
祐宗
「そうじゃ!ひとまず、我の父上 大村家の縁者として名乗れば良かろう。」
頼隆
「ははっ、祐宗様の御父上の名を名乗らせていただけるとは…光栄にございます!」
こうして頼隆は、志太家の家臣として新たに加わったのである。
一方その頃、墨山国では国輝と国時、源五郎の三人が集まっていた。
源五郎が国輝に対して言う。
源五郎
「国輝様、次に私は何をすれば良いのでございますか?」
その問い掛けに国輝が答える。
国輝
「うむ、そう慌てるな。お前に新しい任務を与えてやろう。」
源五郎
「ははっ、次の任務もこの源五郎めがこなして見せましょう!」
源五郎は自身に満ちた表情をしてそう言っていた。
すると国輝は声高らかに笑い声を上げながら言う。
国輝
「はっはっはっ!次の任務はな…これじゃ!」
次の瞬間、国輝は腰にした刀を抜いて源五郎の体を斬りつけた。
源五郎
「うぐっ…く、国輝様?な…なにを…いたすのですか…」
国輝によって体を斬られた源五郎は、怯えるような目をしていた。
そして国輝は続けて笑いながら言う。
国輝
「墨山国の大名 外河頼隆は、志太家の差し金によって無念にも討たれる。源五郎よ、それが貴様の最後の任務よ!」
志太家の策略によって外河頼隆が殺された。
どうやらこうする事で外河家は、志太家に対しての敵対心を増幅させようという狙いのようだ。
志太家への憎悪で外河家中での結びつきを更に強固な物にするべく、国輝は源五郎を始末しようと考えていたのだ。
源五郎
「そ…そんな…く、国輝様…ぐっ…」
源五郎は、か細い声を出してその場にうずくまった。
国輝によって斬られた傷は思ったよりも深かったようであり、致命傷を負っている。
最早虫の息とも言える状態の源五郎に対して国輝が吐き捨てるように言う。
国輝
「源五郎よ、もう貴様に用は無い故に死んでもらう。今まで真にご苦労であったな、儂の野望の為に動いてくれて感謝しておるぞ。ふふふ…」
外河家を裏で操る為の準備は整った。
それ故に源五郎と言う存在を邪魔に感じた国輝は、非情にも彼を切り捨てようとしている。
そして国輝が国時に対して声をかける。
国輝
「おい国時よ、とどめを刺しておけ。こやつを早う地獄へと送り届けてやるのじゃ。」
国時
「源五郎殿よ、お覚悟なさいませ。」
国時は源五郎の首を目掛けて勢い良く刀を振り下ろした。
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