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第8章 将軍への道程編
24.御所の来訪者
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一方、八光御所では祐宗と貞広が頭を悩ませていた。
しかめた表情で祐宗が静かに口を開く。
祐宗
「それにしても、外河家の動きが気になるところよな…」
貞広
「あれ以来、墨山の情報が入って来なくなりました故に動きが掴めませぬな…」
どうやら選挙戦の結果以来、墨山国の情報が入手できていないようである。
数人もの忍びを放っているが、ことごとく潜入に失敗したと言う報告のみが志太家に寄せられていた。
恐らくは志太家による潜入を恐れて国輝が国内の警備を強化した為であろうか。
いずれにせよ、外河家の新しい情報は志太家の元に届いていないという事になる。
祐宗
「墨山の外河家には国輝や国時という男がおる以上、警戒はせねばならぬであろうな…」
祐宗は厄介そうな顔をしてそう言っていた。
かつては志太家に仕えていた国輝と国時。
だが後に軍師となった口羽崇数らを始めとする志太家の家臣たちとの間で確執が生じた。
それらをきっかけとし、国輝らは志太家を離れる事となった。
あれから十数年もの時が経った今、再び志太家の前に姿を現した国輝と国時。
その様子からは、志太家に対しての遺恨は未だ健在であるように思えた。
人の持つ恨みの力は時として強大な存在となり、大変な脅威ともなり得る。
祐宗は、そうした国輝らの止められぬ暴走を恐れているようであった。
祐宗に対して貞広も口を開く。
貞広
「我が父上からも、幾度となく拙者に申しておりました。松永国輝と沖国時は油断ならぬ男である故に重々に気を付けよ、と…」
貞広の父である貞勝は、国時らと共に志太家の家臣として行動を共にしていた事が多々あった。
その際に彼ら、特に国時に関してはひとたび怒らせると手のつけようの無いほど気性の荒い性格であったと言う。
自身の意見に対して反論する者がいれば、それらを強引にねじ伏せてでも敢行するほどの身勝手さ。
血相盛んで正義感に燃えていた崇数とは反りが合わなかったと言うのも頷ける話である。
祐宗
「うむ、そのようじゃな。貞勝殿は、亡くなられる前日まで奴らのことを口にされておったわ。」
貞勝は、国輝らを志太家の脅威として警戒すべきであると常日頃から皆に対して警鐘を鳴らしていたようである。
国輝と国時、この二人が生きているうちは志太家に仇なす存在となり得る故に何らかの手を打つ必要があるとまで言っていた。
祐宗はその貞勝の遺言とも言える警告に対して深刻な表情をしていた。
と、その時に一人の家臣が祐宗の前に突然現れた。
祐宗
「む?何じゃ?どうしたのじゃ?」
家臣は祐宗の前で跪き、報告を始める。
家臣
「祐宗様、申し上げます。何やら志太家に仕官したいと申す男が殿とのご面会を所望されております。いかがいたしましょう?」
どうやら志太家に仕官したいと言う一人の男がこの八光御所を訪ねに来たと言う。
祐宗は少し考えた後に答える。
祐宗
「ほう、かような時期に仕官、それも我に直接会いたいと申しておるのか…良かろう、その者を通されよ。」
その男は、各国を渡り歩いた浪人であろうか?それとも他家からの寝返りであろうか?
ただ、臆すること無く大名である祐宗に直接会わせて欲しいと言っている事からも、それなりに自信を持った者である事は間違い無いであろう。
そうした期待を感じた祐宗は、その男との面会を快く引き受けたのであった。
家臣
「ははっ、承知いたしました。では、すぐにその者を連れて参ります。」
そうしてほどなくして、家臣が男を連れて来た。
男は祐宗の前で深々と頭を下げて声を上げる。
男
「志太祐宗様、お初にお目にかかります。拙者のような者とお顔を合わせて頂けること、真に有り難く存じまする!」
男は、祐宗と面会出来た事を心から喜んでいる様子であった。
しかめた表情で祐宗が静かに口を開く。
祐宗
「それにしても、外河家の動きが気になるところよな…」
貞広
「あれ以来、墨山の情報が入って来なくなりました故に動きが掴めませぬな…」
どうやら選挙戦の結果以来、墨山国の情報が入手できていないようである。
数人もの忍びを放っているが、ことごとく潜入に失敗したと言う報告のみが志太家に寄せられていた。
恐らくは志太家による潜入を恐れて国輝が国内の警備を強化した為であろうか。
いずれにせよ、外河家の新しい情報は志太家の元に届いていないという事になる。
祐宗
「墨山の外河家には国輝や国時という男がおる以上、警戒はせねばならぬであろうな…」
祐宗は厄介そうな顔をしてそう言っていた。
かつては志太家に仕えていた国輝と国時。
だが後に軍師となった口羽崇数らを始めとする志太家の家臣たちとの間で確執が生じた。
それらをきっかけとし、国輝らは志太家を離れる事となった。
あれから十数年もの時が経った今、再び志太家の前に姿を現した国輝と国時。
その様子からは、志太家に対しての遺恨は未だ健在であるように思えた。
人の持つ恨みの力は時として強大な存在となり、大変な脅威ともなり得る。
祐宗は、そうした国輝らの止められぬ暴走を恐れているようであった。
祐宗に対して貞広も口を開く。
貞広
「我が父上からも、幾度となく拙者に申しておりました。松永国輝と沖国時は油断ならぬ男である故に重々に気を付けよ、と…」
貞広の父である貞勝は、国時らと共に志太家の家臣として行動を共にしていた事が多々あった。
その際に彼ら、特に国時に関してはひとたび怒らせると手のつけようの無いほど気性の荒い性格であったと言う。
自身の意見に対して反論する者がいれば、それらを強引にねじ伏せてでも敢行するほどの身勝手さ。
血相盛んで正義感に燃えていた崇数とは反りが合わなかったと言うのも頷ける話である。
祐宗
「うむ、そのようじゃな。貞勝殿は、亡くなられる前日まで奴らのことを口にされておったわ。」
貞勝は、国輝らを志太家の脅威として警戒すべきであると常日頃から皆に対して警鐘を鳴らしていたようである。
国輝と国時、この二人が生きているうちは志太家に仇なす存在となり得る故に何らかの手を打つ必要があるとまで言っていた。
祐宗はその貞勝の遺言とも言える警告に対して深刻な表情をしていた。
と、その時に一人の家臣が祐宗の前に突然現れた。
祐宗
「む?何じゃ?どうしたのじゃ?」
家臣は祐宗の前で跪き、報告を始める。
家臣
「祐宗様、申し上げます。何やら志太家に仕官したいと申す男が殿とのご面会を所望されております。いかがいたしましょう?」
どうやら志太家に仕官したいと言う一人の男がこの八光御所を訪ねに来たと言う。
祐宗は少し考えた後に答える。
祐宗
「ほう、かような時期に仕官、それも我に直接会いたいと申しておるのか…良かろう、その者を通されよ。」
その男は、各国を渡り歩いた浪人であろうか?それとも他家からの寝返りであろうか?
ただ、臆すること無く大名である祐宗に直接会わせて欲しいと言っている事からも、それなりに自信を持った者である事は間違い無いであろう。
そうした期待を感じた祐宗は、その男との面会を快く引き受けたのであった。
家臣
「ははっ、承知いたしました。では、すぐにその者を連れて参ります。」
そうしてほどなくして、家臣が男を連れて来た。
男は祐宗の前で深々と頭を下げて声を上げる。
男
「志太祐宗様、お初にお目にかかります。拙者のような者とお顔を合わせて頂けること、真に有り難く存じまする!」
男は、祐宗と面会出来た事を心から喜んでいる様子であった。
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