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第8章 将軍への道程編
14.世代交代
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祐宗が外河家に対しての策略を開始して間もなく三月が過ぎようとしていた頃、志太家では大きな出来事が発生していた。
家臣である吉江貞勝及び口羽崇数が相次いでこの世を去ったのである。
共に晩年では老体に鞭を打ちつつ気力で乗り切っていたが、やはり寿命には勝てなかったようだ。
この二名が死去した事を受けて吉江家は貞勝の嫡男である貞広(さだひろ)が、口羽家は崇冬がそれぞれ家督を相続した。
・吉江 貞広(よしえ さだひろ)
貞勝の嫡男として生まれる。
父の死後に家督を相続し、吉江家の当主に就く。
そして祐宗より志太家の政務団長に任命され、若くして志太家の中核を担う存在となった。
常識にとらわれない斬新でかつ革新的な思考の持ち主であったと言われており、様々な政策を進めたという。
吉江貞勝と口羽崇数。
重臣とも言えるこの二名を失う事は、志太家にとって大きな痛手となっていた。
そうした事もあり、今後の志太家の行方に祐宗は不安を感じずにはいられなかった。
祐宗
「崇数殿と貞勝殿もついにこの世を去られたか…」
祐宗は心配げな表情をしていた。
その様子を見た家臣たちがすかさず言う。
貞広
「殿!今後はこの貞広めが父、貞勝の跡をしっかりと継いで志太家の天下統一に力を尽くします故、どうかご安心くださいませ!」
その後に続いて崇冬も口を開く。
崇冬
「おこがましきことは承知のうえで申します。拙者は亡き父上、崇数以上の将と必ずやなりましょうぞ。そして、その力を志太幕府の創設に注力いたしまする!」
共に二人は当主となった事で全ての覚悟を決めている様子であった。
そうした彼らの決意の言葉を聞き、祐宗は頼もしく感じていた。
祐宗
「うむ、そなたらの心意気は真に良きことである。これから我と共に新たな良き世を造ろうぞ。戦の無き泰平の世をな。」
先程とは打って変わって希望に溢れた表情を祐宗は見せていた。
そして崇冬が祐宗に対して言う。
崇冬
「殿、今日より我が息子の崇房も志太家の家臣としてお仕えさせていただきますぞ。」
ちょうどこの時期に崇冬の嫡男である崇房(たかふさ)が元服を迎えて新たに志太家の家臣として仕える事となったのである。
・口羽 崇房(くちば たかふさ)
崇冬の嫡男として生まれる。
崇数が死去した事を受け、崇冬が口羽家の当主となった際に次期当主として正式に任命される。
崇房は幼少期より祖父である崇数と父である崇冬の教育の施しを存分に受けて育った事もあり、家臣たちからも大きな期待が寄せられている。
だが、その若さ故からか無鉄砲な行動を起こす事もしばしばあったという。
崇房
「ははっ、この口羽崇房 祖父上にも引けを取らぬ働きをお見せいたします故、どうかよろしくお願いいたしまする。」
隆房は目を輝かせながら深々と祐宗に対して頭を下げていた。
その様子に祐宗が感嘆の声をあげる。
祐宗
「うむ、よう言うた。崇房よ、いつまでもその決意を忘れるでないぞ、良いな。」
そして祐宗は、集まった家臣たちを眺めながら呟き始める。
祐宗
「かような頼もしき家臣たちを持って我は真に果報者じゃ…」
祐宗の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
家臣である吉江貞勝及び口羽崇数が相次いでこの世を去ったのである。
共に晩年では老体に鞭を打ちつつ気力で乗り切っていたが、やはり寿命には勝てなかったようだ。
この二名が死去した事を受けて吉江家は貞勝の嫡男である貞広(さだひろ)が、口羽家は崇冬がそれぞれ家督を相続した。
・吉江 貞広(よしえ さだひろ)
貞勝の嫡男として生まれる。
父の死後に家督を相続し、吉江家の当主に就く。
そして祐宗より志太家の政務団長に任命され、若くして志太家の中核を担う存在となった。
常識にとらわれない斬新でかつ革新的な思考の持ち主であったと言われており、様々な政策を進めたという。
吉江貞勝と口羽崇数。
重臣とも言えるこの二名を失う事は、志太家にとって大きな痛手となっていた。
そうした事もあり、今後の志太家の行方に祐宗は不安を感じずにはいられなかった。
祐宗
「崇数殿と貞勝殿もついにこの世を去られたか…」
祐宗は心配げな表情をしていた。
その様子を見た家臣たちがすかさず言う。
貞広
「殿!今後はこの貞広めが父、貞勝の跡をしっかりと継いで志太家の天下統一に力を尽くします故、どうかご安心くださいませ!」
その後に続いて崇冬も口を開く。
崇冬
「おこがましきことは承知のうえで申します。拙者は亡き父上、崇数以上の将と必ずやなりましょうぞ。そして、その力を志太幕府の創設に注力いたしまする!」
共に二人は当主となった事で全ての覚悟を決めている様子であった。
そうした彼らの決意の言葉を聞き、祐宗は頼もしく感じていた。
祐宗
「うむ、そなたらの心意気は真に良きことである。これから我と共に新たな良き世を造ろうぞ。戦の無き泰平の世をな。」
先程とは打って変わって希望に溢れた表情を祐宗は見せていた。
そして崇冬が祐宗に対して言う。
崇冬
「殿、今日より我が息子の崇房も志太家の家臣としてお仕えさせていただきますぞ。」
ちょうどこの時期に崇冬の嫡男である崇房(たかふさ)が元服を迎えて新たに志太家の家臣として仕える事となったのである。
・口羽 崇房(くちば たかふさ)
崇冬の嫡男として生まれる。
崇数が死去した事を受け、崇冬が口羽家の当主となった際に次期当主として正式に任命される。
崇房は幼少期より祖父である崇数と父である崇冬の教育の施しを存分に受けて育った事もあり、家臣たちからも大きな期待が寄せられている。
だが、その若さ故からか無鉄砲な行動を起こす事もしばしばあったという。
崇房
「ははっ、この口羽崇房 祖父上にも引けを取らぬ働きをお見せいたします故、どうかよろしくお願いいたしまする。」
隆房は目を輝かせながら深々と祐宗に対して頭を下げていた。
その様子に祐宗が感嘆の声をあげる。
祐宗
「うむ、よう言うた。崇房よ、いつまでもその決意を忘れるでないぞ、良いな。」
そして祐宗は、集まった家臣たちを眺めながら呟き始める。
祐宗
「かような頼もしき家臣たちを持って我は真に果報者じゃ…」
祐宗の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
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