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第8章 将軍への道程編
11.発覚
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康龍らは墨山国大名の外河頼隆と対面。
そこでは康龍による墨山城を褒める言葉を聞いた頼隆が気分を良くしたのか、墨山城についてあれこれと説明をしていた。
この思いがけぬ墨山の情報に康龍らは驚き半分、喜び半分と言った妙な心情であった。
やがて、墨山城の説明が一通り終わったところで頼隆が我に返って口を開く。
頼隆
「むっ…そういえば、そなたらは我が外河家の領地に商いに参ったのではござらんか?」
商人である杉山と宮田の目的は、墨山城下に珍しい品物の売買を行う為に訪れた。
無論、それはあくまでも表向きの目的だ。
頼隆に本来の目的を知られては今回の策は失敗に終わる。
それどころか、康龍らの命までもが危険にさらされる可能性も十分に有り得るのだ。
そうした事もあってか康龍は必死で商人になりきって話し始めていた。
康龍
「ははっ、そうでございました。この杉山と宮田は墨山城があまりにも魅力的であられた故、そのことを忘れておりました…」
康龍は恐縮した様子で頼隆に言った。
頼隆
「まぁ良い。何でも珍しき品物を扱っておると聞いておったのじゃが、その品物とはどのような物じゃ?」
頼隆のその問い掛けに対し、康龍が素早く答える。
康龍
「その品物とは、こちらにございます。どうぞ、御覧くださいませ。」
そう言うと康龍は厳重に包まれた風呂敷を広げた。
その中からは、一丁の鉄砲が姿を表した。
地獄式鉄砲であった。
地獄式鉄砲は、志太家の家臣である九条信常が発明した最高峰の鉄砲である。
その威力は通常の鉄砲とは比べ物にならぬほどであり、先の村上家との戦いにおいて大いに活躍した。
頼隆
「ほう、これが噂に聞く地獄式鉄砲という物か。なるほどのぅ、これはよぅできておるわい。」
頼隆は地獄式鉄砲を手にして物珍しげにその姿をまじまじと見つめていた。
その様子を見ながら康龍が口を開く。
康龍
「頼隆様、この地獄式鉄砲はいかがにございますか。」
頼隆は地獄式鉄砲をなおも手にしながら答える。
頼隆
「うむ、真に素晴らしき鉄砲にござるな。流石はかの国の天才発明家が造り出しただけのことはあるのぅ。」
そして頼隆は不気味な笑みを浮かべ始めながら続けて言う。
頼隆
「我にかような珍しき品物を見せてくれたことを感謝いたすぞ、杉山殿に宮田殿。いや、志太家の杉康龍殿に宮本宗重殿よ…」
康龍
「な、なっ…」
宗重
「ぐっ…」
頼隆の不意をついた言葉に康龍らは驚きの余りに声を失っていた。
戸惑いの表情を見せる二人に対して頼隆が淡々と喋り始める。
頼隆
「我の目は節穴ではござらん。おおかた、志太祐宗が我が外河家の治める墨山を調べる為にお主らは送り込まれたのじゃろう。違うか?」
頼隆の推察は実に鋭かった。
まるで康龍らがこの墨山城に堂々と訪ねに来るという事をあらかじめ知っていたかのような振る舞いであった。
宗重が康龍に対して耳打ちをする。
宗重
「康龍殿、ここはひとまず逃げましょうぞ…」
康龍
「う、うむ…そうするしかありませぬな…」
二人はこの場から逃走すべく立ち上がろうとしていた。
すると頼隆は康龍らに対して凄みながら言う。
頼隆
「おっと…お二方よ、これから一体どこへ行こうというのかね?まだ我の話は終わってはおらぬぞ?」
そう言うと頼隆は手を軽く二回叩いた。
その瞬間、康龍らの目の前には突如として数名の忍びが現れた。
忍びたちは皆が刀を抜き、康龍らに対して斬りかからんばかりの様子であった。
どうやら穏便に二人を祐宗の元へと帰らせてはくれないようだ…
宗重
「忍び…じゃと?」
康龍
「くっ…不覚でござる…」
康龍らは険しい表情をしていた。
そこでは康龍による墨山城を褒める言葉を聞いた頼隆が気分を良くしたのか、墨山城についてあれこれと説明をしていた。
この思いがけぬ墨山の情報に康龍らは驚き半分、喜び半分と言った妙な心情であった。
やがて、墨山城の説明が一通り終わったところで頼隆が我に返って口を開く。
頼隆
「むっ…そういえば、そなたらは我が外河家の領地に商いに参ったのではござらんか?」
商人である杉山と宮田の目的は、墨山城下に珍しい品物の売買を行う為に訪れた。
無論、それはあくまでも表向きの目的だ。
頼隆に本来の目的を知られては今回の策は失敗に終わる。
それどころか、康龍らの命までもが危険にさらされる可能性も十分に有り得るのだ。
そうした事もあってか康龍は必死で商人になりきって話し始めていた。
康龍
「ははっ、そうでございました。この杉山と宮田は墨山城があまりにも魅力的であられた故、そのことを忘れておりました…」
康龍は恐縮した様子で頼隆に言った。
頼隆
「まぁ良い。何でも珍しき品物を扱っておると聞いておったのじゃが、その品物とはどのような物じゃ?」
頼隆のその問い掛けに対し、康龍が素早く答える。
康龍
「その品物とは、こちらにございます。どうぞ、御覧くださいませ。」
そう言うと康龍は厳重に包まれた風呂敷を広げた。
その中からは、一丁の鉄砲が姿を表した。
地獄式鉄砲であった。
地獄式鉄砲は、志太家の家臣である九条信常が発明した最高峰の鉄砲である。
その威力は通常の鉄砲とは比べ物にならぬほどであり、先の村上家との戦いにおいて大いに活躍した。
頼隆
「ほう、これが噂に聞く地獄式鉄砲という物か。なるほどのぅ、これはよぅできておるわい。」
頼隆は地獄式鉄砲を手にして物珍しげにその姿をまじまじと見つめていた。
その様子を見ながら康龍が口を開く。
康龍
「頼隆様、この地獄式鉄砲はいかがにございますか。」
頼隆は地獄式鉄砲をなおも手にしながら答える。
頼隆
「うむ、真に素晴らしき鉄砲にござるな。流石はかの国の天才発明家が造り出しただけのことはあるのぅ。」
そして頼隆は不気味な笑みを浮かべ始めながら続けて言う。
頼隆
「我にかような珍しき品物を見せてくれたことを感謝いたすぞ、杉山殿に宮田殿。いや、志太家の杉康龍殿に宮本宗重殿よ…」
康龍
「な、なっ…」
宗重
「ぐっ…」
頼隆の不意をついた言葉に康龍らは驚きの余りに声を失っていた。
戸惑いの表情を見せる二人に対して頼隆が淡々と喋り始める。
頼隆
「我の目は節穴ではござらん。おおかた、志太祐宗が我が外河家の治める墨山を調べる為にお主らは送り込まれたのじゃろう。違うか?」
頼隆の推察は実に鋭かった。
まるで康龍らがこの墨山城に堂々と訪ねに来るという事をあらかじめ知っていたかのような振る舞いであった。
宗重が康龍に対して耳打ちをする。
宗重
「康龍殿、ここはひとまず逃げましょうぞ…」
康龍
「う、うむ…そうするしかありませぬな…」
二人はこの場から逃走すべく立ち上がろうとしていた。
すると頼隆は康龍らに対して凄みながら言う。
頼隆
「おっと…お二方よ、これから一体どこへ行こうというのかね?まだ我の話は終わってはおらぬぞ?」
そう言うと頼隆は手を軽く二回叩いた。
その瞬間、康龍らの目の前には突如として数名の忍びが現れた。
忍びたちは皆が刀を抜き、康龍らに対して斬りかからんばかりの様子であった。
どうやら穏便に二人を祐宗の元へと帰らせてはくれないようだ…
宗重
「忍び…じゃと?」
康龍
「くっ…不覚でござる…」
康龍らは険しい表情をしていた。
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