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第7章 天下分け目の大決戦編

77.三浦宮御所の戦い(30)

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口羽軍の援軍により、絶体絶命状態にあった志太軍は九死に一生を得た。
志太軍との合流を果たした口羽軍は、幕府軍を殲滅すべく戦闘態勢へと突入していた。

★現在の戦況

志太連合軍(総兵数 2,000人)
志太軍
計 200人

口羽軍
計 1,000人

秋庭軍
計 100人

郷田軍
計 100人

堀内軍
計 100人

木内軍
計 100人

黒松軍
計 300人

三浦教晴軍
計 200人

幕府軍(総兵数 2,500人)
幕府軍
計 2,500人

しかし、兵数で見れば幕府軍が僅かながら優勢。
口羽軍による援軍でどのように変わるかは、武将たちそれぞれの采配次第と言ったところであろうか。

継晴が口羽軍を睨みながら言う。

継晴
「じゃが、どう見ても我が幕府軍が有利。さっさと降伏いたした方が己の為ぞ?」

先刻まで圧倒的に不利な状況に置かれていた志太軍は、未だ混乱状態が解けきっていない状況である。
そのような状態で戦ったとしても勝敗がついたも同然。
継晴はそう確信していた様子だ。

すると、崇数が胸を張って口を開く。

崇数
「勝機は我らにございます。武の才無きそなたが兵を束ねし将であれば、最早我らの敵ではござらん!」

その言葉に継晴は血相を変えて叫び出す。

継晴
「何じゃと?もう一度申してみよ!この無礼者めが!」

さらに崇数は挑発的な態度で継晴に言う。

崇数
「継晴殿は無能な将である。それ故に我らには勝てぬ、と真のことを申しただけにござる。」

崇数は、継晴が無能であるという事を戦の場ではっきりと声に出していた。
自軍の兵たちの前で大恥をかかされた継晴の表情はさらに険しくなり、怒髪天を衝く勢いで叫び始める。

継晴
「貴様!言わせておけば!許さぬ!貴様は余が自ら引っ立てて首を刎ねてやる故、覚悟するが良い!」

継晴は強気な姿勢であった。
自軍が兵数で勝っている故の余裕さが継晴をここまで強気にさせていたようである。

しかし、継晴が率いる兵たちはことごとく志太軍によって打ちのめされてしまう。
継晴は兵たちを鼓舞するなど精一杯の指揮をとってはいたが、それがかえって裏目に出るなど悪影響を及ぼしていた事が大きかった。
崇数の言う通り、武の才能の無き者である故の結果となったようである。

この状況に継晴は思わず声を上げる。

継晴
「うぐぐぐぐ…何故じゃ、これほどの兵がおるというのに何故奴らを討てぬのじゃ!」

継晴は地団駄を踏みながら悔しげな表情をしていた。
その様子に崇数が冷静に答える。

崇数
「先程から申しておるように、そなたには武の才が一滴もござらん。それ故、無駄なことはもう辞められよ。」

自身の力の無さを実感したのであれば、無駄な抵抗はすべきではない。
崇数は継晴に対してそう説得の言葉をかけていた。

政豊
「身の程知らずとは良く言ったものじゃが、今のあんたに正にぴったりの言葉じゃな!かような奴の下で兵として尽くす者らが気の毒で仕方無いわい!」

政豊は継晴に対してこれ以上に無い程の罵声を浴びせていた。
すると教晴が追い詰めた表情で叫び始めた。

教晴
「父上!もういい加減になさいませ!」

教晴の目には涙が溢れ出ていた。
父である継晴の醜い姿を見る事は、この上ない苦痛であったようだ。

しかし、そんな教晴の気持ちもつゆ知らずに継晴は開き直った様子で叫ぶ。

継晴
「えぇい!うるさい!余は、我が幕府軍は、まだ負けてはおらぬ!お前たち、志太の者たちを早う討て!討たぬか!」

継晴は必死の形相で兵たちにそう何度も何度も訴えかけていた。

しかし、もう幕府軍の兵たちも志太軍と戦うほどの体力は残されていなかった。
殆どの幕府軍の兵たちは傷付き倒れ、そのちょうど中央に継晴のみがぽつんと立ち尽くしている状態であった。

その様子を見た崇数が呟く。

崇数
「これで終わり…じゃな。」

政豊
「おい、将軍さんよ。かような状況でもまだ儂らとやり合おうっていうのかい?」

政豊は、なおも継晴に対して挑戦的な態度を見せている。
そして祐宗は静かに継晴の元へと近寄り、静かな口調で言う。

祐宗
「継晴殿、そなたのご武運も最早これまで。観念されよ。」

継晴
「くっ…ちくしょう…ちくしょうめ…」

継晴は握りしめた拳を何度も地面に叩きつけていた。
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