架空戦国伝

佐村孫千(サムラ マゴセン)

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第7章 天下分け目の大決戦編

66.三浦宮御所の戦い(19)

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祐藤の説得により、政豊は継晴を討つ事を決意。
志太軍の本陣を発った後に祐宗らが応戦する木内軍の兵たちと合流。
そこで共に幕府軍と戦う事を伝え、全軍で御所を目指す事となった。

★現在の戦況

志太連合軍(総兵数 9,000人)
志太軍
計 2,000人

口羽軍
計 4,000人

秋庭軍
計 500人

郷田軍
計 500人

堀内軍
計 500人

木内軍
計 1,500人

幕府軍(総兵数 7,000人)
幕府軍
計 7,000人

政豊
「そうと決まれば祐宗さんよ、全軍で御所に向かおうじゃねえか!」

祐宗
「うむ、そうであるな。では、この場にいる兵たちよ!共に御所へ向かうのじゃ!これより継晴の首を取りに参る!」

かくして祐宗の号令により、木内軍が新たに加わった志太連合軍は、御所にいる継晴を討つべく立ち上がった。
先刻までは敵味方に別れて戦いを繰り広げていた兵たちが、祐宗や政豊らの言葉で一つとなった瞬間である。

木内軍、という最強の兵たちを味方に付けた志太軍は好調を極めており、行く手を阻む幕府軍を物ともせず次々と突破。
今の志太連合軍の前で幕府軍は赤子同然と言っても良いほどの力の差であったという。

祐宗
「政豊殿よ、お主なかなかの腕前にござるな。」

祐宗は政豊の豪快な戦いっぷりに思わずそう口にしていた。
するとその言葉を耳にした政豊がすかさず答える。

政豊
「ふふっ、褒めてくれてありがとよ!だが、あんたの腕前も相当なものだぜ。流石は志太の殿様の息子だけのことはあるわい。」

政豊もまた、祐宗の勇敢な戦いぶりに惚れ惚れさせられていた。
一介の商人見習いから身を起こして大大名にまで上り詰めた祐藤の才能を政豊は認めていた。
この多彩な才能が、嫡男である祐宗にもしっかりと引き継がれている。
政豊はそう確信していた。

志太連合軍による快進撃が続き、やがては御所付近にまで到達した。
ここで再び政豊は、手にした鉄砲を空へ向けて数回発砲した。
鉄砲の音は、御所内に大きく響き渡っていた。

政豊
「へへへっ、将軍さんよ!今日であんたも幕府も終わりであるぞ!」

政豊は勝ち誇った表情で御所にいるであろう継晴に向けてそう叫んでいた。

御所内では、政豊の放った鉄砲の音を耳にした継晴が首を傾げながら言う。

継晴
「うむ?何やら御所の周りが騒々しいのぅ。一体何が起きておるというのじゃ?」

現在の戦況は、御所より離れた場所で鳥居景綱率いる軍勢は口羽軍と応戦中。
そして志太軍は、本陣付近に突如として現れた木内政豊の軍勢に手を焼いている。
と言った情報のみを継晴は現状で周知していた為、御所の外の騒がしさを不審に感じていた。

やがて継晴の元に義久が慌てた様子で駆けつけて来た。

義久
「継晴様!申し上げます!我が御所に、木内政豊含む志太軍の兵たちが押し寄せて来ますぞ!」

志太連合軍は御所の付近で幕府軍の守備兵たちと激しい戦闘状態となっていた。

継晴
「な、何じゃと…木内政豊は先刻まで志太軍を攻めておったはずであろう?何故に我ら幕府に対して攻撃を加えておるというのじゃ?」

政豊は、幕府による策略にかかったものとして認識をしていた。
だが、そうでは無かったという事を知った継晴は困惑していた。

盗賊衆の人間を充分に養えるほどの莫大な懸賞金を志太家の人間たちにかければ政豊もその話に食い付くはず。
始めの方こそ木内軍は志太軍を攻めるなどし、幕府による策略が思い通りに進んでいたと思っていた矢先の寝返り。
これには継晴も驚きの表情を隠せなかった。

すると義久が思い付いたように言う。

義久
「政豊が、志太軍との戦いの中で何らかの心変わりをしたのでございましょうか…」

義久の推測は正しかった。
つい先刻前に、祐藤による説得で志太軍本陣壊滅の危機を逃れていたのであった。

継晴
「えぇい!真に使えぬ奴め!こうなれば逆に返り討ちにしてくれようぞ!」

継晴は歯を食いしばり、悔しげな表情を見せていた。
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