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第7章 天下分け目の大決戦編
58.三浦宮御所の戦い(11)
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木内軍による鉄砲の攻撃を受けた志太軍は、甚大な被害を受けていた。
これにより志太軍の士気はまたしても乱れ、政豊にされるがままの状態であった。
祐永
「かような身勝手極まりなき男に我らが負けようとは…無念じゃ…」
祐永は悔しげな表情でそう言った。
なおも不気味な笑みを浮かべている政豊がそんな様子の祐永を見て言う。
政豊
「さぁさぁ小童どもよ、観念するが良い。」
政豊はぎらぎらと光る鋭い刀を抜いてこちらを見ていた。
祐宗
「くっ…これまでか…志太幕府は夢で終わってしまうのか…」
祐宗は諦めの表情を見せていた。
その時である。
何やら周りが急に騒々しくなって来た。
やがてその様子に気が付いた祐永が、その騒がしい方向を指差して言う。
祐永
「む!!兄者!あれをご覧くだされ!」
祐永が指を差した方角には、新たな軍勢がこちらに向かって来るのが分かった。
その軍勢は秋庭家春、郷田直胤、堀内為永のものであった。
祐宗
「あれは…家春殿に、直胤殿、それに為永殿の軍勢ではござらんか。」
家春らは、馬上から祐宗の軍勢に向けて大きな声をあげていた。
家春
「秋庭家春 微力ながらも援軍に参らせていただきました!」
直胤
「志太家と運命を共にすることをお誓い申した郷田家もこの場に馳せ参じました!」
為永
「先の祐藤様の御恩に報いるべく、拙者 堀内為永も参戦いたします!」
そうしてそれぞれの軍勢は、志太軍への合流を開始した。
祐宗
「おぉ…正に天の助けじゃな…」
その様子を見た祐宗の目には涙がうっすらと浮かんでいた。
家春らは今回の三浦宮御所での戦いにおいて、祐藤から直々に援軍は無用と伝えられていた。
実はこの三か国は、兵の動員が難しい国政状態にあったのだ。
もちろんそれなりの兵数の動員は可能だが、領民たちが無理を強いられたうえでの出陣となる事は目に見えている。
無理な兵の動員によって領民たちの不満を募らせ、やがては国をあげての一揆へと発展する事も十分に考えられる。
そうした事もあり、この三か国において援軍を出すべきでは無いと判断を下したのであった。
しかし、家春らは援軍要請を断られたにも関わらず出陣を行った。
恐れていた兵たちへの不満だが、意外な事にもそういった様子は少なかったという。
どうやら彼らは、主君である祐藤に対して並々ならぬ恩義を感じていた為であろうか。
祐永
「真に我ら志太家は天に愛されておりますな。」
祐永は感心した様子でそう言った。
祐宗
「うむ、こうして恵まれておることには感謝せねばならぬな。」
祐宗は志太家がいかに恵まれた存在であるかを感じさせられ、同時にその事に深く感謝をしていた。
一方、木内軍ではこの突然の三人による援軍に政豊は苛立った様子であった。
政豊
「ちっ、またしても邪魔が入りやがった。あの頃と同じじゃな…あの頃とな…」
政豊はふと昔を思い出していた。
柳城での戦いである。
柳城下の監獄付近で奇襲をかけた木内軍は、秋庭軍を壊滅寸前にまで追い込んでいた。
しかし、その直後に口羽崇冬の援軍によって形勢は一気に逆転。
結果的には崇冬の猛攻を受けて政豊は大敗を喫した。
そのような苦い思いを掘り起こさせられた政豊は、次第に険しい表情へと変わっていった。
政豊
「じゃが、今回はかような失敗はいたさぬぞ!」
政豊は目をかっと見開き、兵たちに向けて大声をあげる。
政豊
「者ども、雑魚共の援軍などに構うな!祐宗らの軍勢を突破せよ!本陣の祐藤を儂らが先に討てばこの戦は勝ちである!」
政豊は援軍への応戦はあえて行わず、祐宗への攻撃を続けるように命令を下した。
どうやら狙いは本陣に構える祐藤のようである。
祐宗
「家春殿らの好意を無駄にするでない!行くぞ!祐永よ!」
祐永
「はっ、兄者!」
二人は意気揚々とした様子でそう言った。
これにより志太軍の士気はまたしても乱れ、政豊にされるがままの状態であった。
祐永
「かような身勝手極まりなき男に我らが負けようとは…無念じゃ…」
祐永は悔しげな表情でそう言った。
なおも不気味な笑みを浮かべている政豊がそんな様子の祐永を見て言う。
政豊
「さぁさぁ小童どもよ、観念するが良い。」
政豊はぎらぎらと光る鋭い刀を抜いてこちらを見ていた。
祐宗
「くっ…これまでか…志太幕府は夢で終わってしまうのか…」
祐宗は諦めの表情を見せていた。
その時である。
何やら周りが急に騒々しくなって来た。
やがてその様子に気が付いた祐永が、その騒がしい方向を指差して言う。
祐永
「む!!兄者!あれをご覧くだされ!」
祐永が指を差した方角には、新たな軍勢がこちらに向かって来るのが分かった。
その軍勢は秋庭家春、郷田直胤、堀内為永のものであった。
祐宗
「あれは…家春殿に、直胤殿、それに為永殿の軍勢ではござらんか。」
家春らは、馬上から祐宗の軍勢に向けて大きな声をあげていた。
家春
「秋庭家春 微力ながらも援軍に参らせていただきました!」
直胤
「志太家と運命を共にすることをお誓い申した郷田家もこの場に馳せ参じました!」
為永
「先の祐藤様の御恩に報いるべく、拙者 堀内為永も参戦いたします!」
そうしてそれぞれの軍勢は、志太軍への合流を開始した。
祐宗
「おぉ…正に天の助けじゃな…」
その様子を見た祐宗の目には涙がうっすらと浮かんでいた。
家春らは今回の三浦宮御所での戦いにおいて、祐藤から直々に援軍は無用と伝えられていた。
実はこの三か国は、兵の動員が難しい国政状態にあったのだ。
もちろんそれなりの兵数の動員は可能だが、領民たちが無理を強いられたうえでの出陣となる事は目に見えている。
無理な兵の動員によって領民たちの不満を募らせ、やがては国をあげての一揆へと発展する事も十分に考えられる。
そうした事もあり、この三か国において援軍を出すべきでは無いと判断を下したのであった。
しかし、家春らは援軍要請を断られたにも関わらず出陣を行った。
恐れていた兵たちへの不満だが、意外な事にもそういった様子は少なかったという。
どうやら彼らは、主君である祐藤に対して並々ならぬ恩義を感じていた為であろうか。
祐永
「真に我ら志太家は天に愛されておりますな。」
祐永は感心した様子でそう言った。
祐宗
「うむ、こうして恵まれておることには感謝せねばならぬな。」
祐宗は志太家がいかに恵まれた存在であるかを感じさせられ、同時にその事に深く感謝をしていた。
一方、木内軍ではこの突然の三人による援軍に政豊は苛立った様子であった。
政豊
「ちっ、またしても邪魔が入りやがった。あの頃と同じじゃな…あの頃とな…」
政豊はふと昔を思い出していた。
柳城での戦いである。
柳城下の監獄付近で奇襲をかけた木内軍は、秋庭軍を壊滅寸前にまで追い込んでいた。
しかし、その直後に口羽崇冬の援軍によって形勢は一気に逆転。
結果的には崇冬の猛攻を受けて政豊は大敗を喫した。
そのような苦い思いを掘り起こさせられた政豊は、次第に険しい表情へと変わっていった。
政豊
「じゃが、今回はかような失敗はいたさぬぞ!」
政豊は目をかっと見開き、兵たちに向けて大声をあげる。
政豊
「者ども、雑魚共の援軍などに構うな!祐宗らの軍勢を突破せよ!本陣の祐藤を儂らが先に討てばこの戦は勝ちである!」
政豊は援軍への応戦はあえて行わず、祐宗への攻撃を続けるように命令を下した。
どうやら狙いは本陣に構える祐藤のようである。
祐宗
「家春殿らの好意を無駄にするでない!行くぞ!祐永よ!」
祐永
「はっ、兄者!」
二人は意気揚々とした様子でそう言った。
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