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第7章 天下分け目の大決戦編
53.三浦宮御所の戦い(6)
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先刻の景綱による鉄砲の攻撃を受けた事で一部の口羽軍が負傷。
しかし、崇数はその状況をものともせず景綱を挑発。
挑戦的な態度に腹を立てた景綱は、怒りをあらわにしていた。
崇数
「さぁ、どこからでもかかってくるが良い。」
なおも崇数は景綱を挑発している。
景綱
「良かろう、我が軍勢の力を思い知らせてやろうぞ!」
そう言うと景綱の軍勢は口羽軍目掛けて一斉に突撃を開始した。
そうしてまもなく景綱の軍勢は口羽軍と衝突。
両軍入り乱れての戦いが始まった。
景綱
「我が鳥居家の滅亡に加担した口羽崇数は許すまじ…覚悟致すが良い!」
そう言うと景綱の兵たちは、凄まじい勢いで口羽軍の兵たちを次々となぎ倒していった。
しかし、相手は百戦錬磨の口羽崇数率いる軍勢。
口羽軍の攻撃を受けて倒れる景綱の兵たちも少なくは無かった。
戦況としては両軍共にほぼ互角の戦いと言えよう。
差があるとするならば、景綱の軍勢の士気は口羽軍に比べて遥かに高かった。
景綱の号令により、兵たちが一眼となって口羽軍の殲滅と言う一つの目標を達成させようと必死になっていた為であろうか。
この様子を見た口羽軍の武将たちは、皆が口々に感嘆の声をあげていた。
崇冬
「鳥居景綱、なかなか隙がござらぬ男よな…拙者もかくありたいものよ。」
崇冬は景綱の戦いぶりを見て自身を振り直そうと感じていた。
貞道
「これは意外と手強き相手かも知れぬな…侮れぬわい…」
景綱とその軍勢による無双を目の当たりにした貞道は、想像以上の出来事に言葉を詰まらせかけていた。
義道
「どうやら景綱殿は怨みを凄まじいまでの力に変えたようじゃな。」
義道は、「怨み」という感情を糧に成長した景綱の底知れぬ能力に気付き始めていた。
崇数
「ほう、なかなか骨のある奴ではないか。先代の景望殿らとはえらい違いじゃな。」
崇数だけは相変わらず落ち着いた様子でそう言った。
崇数は、景綱の平常心を崩す為にあえて挑発的な態度を見せていたという。
どうやら景綱が崇数の挑発に怒り狂い、我を忘れて無謀な攻撃を仕掛ける事を期待していた。
しかし、結果としてはかえって景綱の軍勢の士気や統率力は向上するなど予想外とも言える状況を作り出してしまったようである。
だが、この事が崇数の闘争心を更に燃え上がらせる原因となった。
やはり「武闘派」と名高い口羽家の家柄の出身と言うだけの事はあろう。
景綱
「拙者がどのような思いで志太家に対して怨みを積もらせていたか分かったか!」
景綱は崇数を睨みつけながらそう叫んでいた。
崇数
「それにしても怨みと申す力は凄いのぅ。ここまで我が軍を押すとは…真に天晴である。」
崇数は景綱の戦いぶりを高く評価していた。
その器量や、鳥居家の大名であった景望と景経親子を凌駕するほどであったと言う。
一方その頃、志太軍の本陣では祐宗らが口羽軍の戦いぶりを見ていた。
祐宗
「いやはや真に凄まじき戦いじゃな…」
祐宗は両軍が入り乱れて一進一退の攻防となっている様子にそう言った。
祐永
「まさに天下分け目の戦いと申しても過言ではござらぬな。」
そう言うと二人は真剣な表情で口羽軍の戦いを見守っていた。
しばらくして、祐永がふと周りを見渡した後に大慌てで祐宗に対して声をかけた。
祐永
「兄者!兄者!向こうから何やら軍勢が押し寄せて来ますぞ!」
祐永が指差した方向には、多数の兵を率いた軍勢が本陣を目指して向かっている様子が確認できた。
いずれも祐宗の布陣する本陣と口羽軍が景綱の軍勢と応戦している場からは逆の方角である。
兵たちは皆、闘争心が激しく荒ぶっている様子が遠くからも伺えた。
祐宗
「むっ、あの軍勢は…もしや…」
祐宗は軍勢を見つめて静かにそう言った。
しかし、崇数はその状況をものともせず景綱を挑発。
挑戦的な態度に腹を立てた景綱は、怒りをあらわにしていた。
崇数
「さぁ、どこからでもかかってくるが良い。」
なおも崇数は景綱を挑発している。
景綱
「良かろう、我が軍勢の力を思い知らせてやろうぞ!」
そう言うと景綱の軍勢は口羽軍目掛けて一斉に突撃を開始した。
そうしてまもなく景綱の軍勢は口羽軍と衝突。
両軍入り乱れての戦いが始まった。
景綱
「我が鳥居家の滅亡に加担した口羽崇数は許すまじ…覚悟致すが良い!」
そう言うと景綱の兵たちは、凄まじい勢いで口羽軍の兵たちを次々となぎ倒していった。
しかし、相手は百戦錬磨の口羽崇数率いる軍勢。
口羽軍の攻撃を受けて倒れる景綱の兵たちも少なくは無かった。
戦況としては両軍共にほぼ互角の戦いと言えよう。
差があるとするならば、景綱の軍勢の士気は口羽軍に比べて遥かに高かった。
景綱の号令により、兵たちが一眼となって口羽軍の殲滅と言う一つの目標を達成させようと必死になっていた為であろうか。
この様子を見た口羽軍の武将たちは、皆が口々に感嘆の声をあげていた。
崇冬
「鳥居景綱、なかなか隙がござらぬ男よな…拙者もかくありたいものよ。」
崇冬は景綱の戦いぶりを見て自身を振り直そうと感じていた。
貞道
「これは意外と手強き相手かも知れぬな…侮れぬわい…」
景綱とその軍勢による無双を目の当たりにした貞道は、想像以上の出来事に言葉を詰まらせかけていた。
義道
「どうやら景綱殿は怨みを凄まじいまでの力に変えたようじゃな。」
義道は、「怨み」という感情を糧に成長した景綱の底知れぬ能力に気付き始めていた。
崇数
「ほう、なかなか骨のある奴ではないか。先代の景望殿らとはえらい違いじゃな。」
崇数だけは相変わらず落ち着いた様子でそう言った。
崇数は、景綱の平常心を崩す為にあえて挑発的な態度を見せていたという。
どうやら景綱が崇数の挑発に怒り狂い、我を忘れて無謀な攻撃を仕掛ける事を期待していた。
しかし、結果としてはかえって景綱の軍勢の士気や統率力は向上するなど予想外とも言える状況を作り出してしまったようである。
だが、この事が崇数の闘争心を更に燃え上がらせる原因となった。
やはり「武闘派」と名高い口羽家の家柄の出身と言うだけの事はあろう。
景綱
「拙者がどのような思いで志太家に対して怨みを積もらせていたか分かったか!」
景綱は崇数を睨みつけながらそう叫んでいた。
崇数
「それにしても怨みと申す力は凄いのぅ。ここまで我が軍を押すとは…真に天晴である。」
崇数は景綱の戦いぶりを高く評価していた。
その器量や、鳥居家の大名であった景望と景経親子を凌駕するほどであったと言う。
一方その頃、志太軍の本陣では祐宗らが口羽軍の戦いぶりを見ていた。
祐宗
「いやはや真に凄まじき戦いじゃな…」
祐宗は両軍が入り乱れて一進一退の攻防となっている様子にそう言った。
祐永
「まさに天下分け目の戦いと申しても過言ではござらぬな。」
そう言うと二人は真剣な表情で口羽軍の戦いを見守っていた。
しばらくして、祐永がふと周りを見渡した後に大慌てで祐宗に対して声をかけた。
祐永
「兄者!兄者!向こうから何やら軍勢が押し寄せて来ますぞ!」
祐永が指差した方向には、多数の兵を率いた軍勢が本陣を目指して向かっている様子が確認できた。
いずれも祐宗の布陣する本陣と口羽軍が景綱の軍勢と応戦している場からは逆の方角である。
兵たちは皆、闘争心が激しく荒ぶっている様子が遠くからも伺えた。
祐宗
「むっ、あの軍勢は…もしや…」
祐宗は軍勢を見つめて静かにそう言った。
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