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第7章 天下分け目の大決戦編
50.三浦宮御所の戦い(3)
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志太軍による攻撃開始の合図の直前に祐藤が突如として倒れた。
指揮を取る事が困難と感じた祐藤は、祐宗にその役目を託した。
祐宗は父の手にしていた軍配を受け取り、志太軍の総大将として今回の戦いの総指揮を取り始めていた。
祐藤は家臣たちに抱えられながら本陣の奥へと引っ込んだ。
そして、簡易的に作られた寝床で体を癒やしていた。
祐藤
「頼んだぞ…わが息子、祐宗よ…」
祐藤は小さな声でそう呟いていた。
祐宗
「父上…必ずやこの戦、勝ってみせましょうぞ。」
幕府軍に対して進軍を開始する兵たちを見ながら祐宗もそう呟いていた。
間もなく、幕府軍が志太軍による攻撃開始の動きを察知していた。
継晴
「志太軍が攻撃を開始したとな?では、こちらも動くとするか。景綱よ、存分に暴れて参るが良い。」
継晴は志太軍の攻撃に対抗すべく、闘志に燃える景綱に応戦の指示を出した。
景綱
「ははっ、この景綱めが志太軍を引っ掻き回して大混乱に陥れてやりましょうぞ!」
景綱は顔を引き締め、続けて兵たちに言った。
景綱
「志太家との遺恨を晴らす時は今ぞ。皆の者よ、拙者について参れ!」
そうして景綱の軍勢は志太軍の方向を目指して一斉に進軍を開始した。
その姿は非常に勇ましく、そして逞しく周りには映っていたという。
やがてその様子に気が付いた祐永が慌てた様子で祐宗に対して言った。
祐永
「兄者!何やら幕府軍がやけに騒々しい様子にございますぞ。」
祐永は幕府軍の方面を指差していた。
崇数
「景綱殿が動き出したか…鳥居景望殿の孫、鳥居景綱殿がな…」
崇数は厄介そうな表情でそう言った。
崇冬
「景綱殿は我ら志太家を目の敵に思われておる故、注意が必要にございますな…」
鳥居家を滅亡に追いやった宿敵、志太家。
この仇を返すべく景綱が立ち上がった。
闘争心はもちろんだが、何よりも積年の恨みによる復讐心が景綱の士気を増幅させていた。
この事は、志太軍を目掛けて一目散に突撃を繰り広げようとしている景綱の軍勢を見れば明らかであろう。
これに対し祐宗は、堂々たる態度で答える。
祐宗
「ならば返り討ちにするまで。我が兵にも直々に指示を出されよ。志太軍の強さを景綱殿にも見せつけてやるが良い。」
売られた喧嘩は自らが進んで買い、相手にその力の差を分からせてやろう。
祐宗はそのように考えていた様子である。
この毅然たる態度は、父である祐藤譲りであろうか。
ただ、若さ故に少々血相が盛んな部分も見え隠れはしているようだ。
すると、崇数が祐宗のその言葉を制止するように言った。
崇数
「お待ちくだされ。総大将の身である祐宗様が、今はかようなことをなされるべきではございませぬ。ここは、我が口羽の兵にお任せあれ!」
戦術的に考えても、開戦して間もない時に軍の本体が相手部隊と戦闘状態になる事は避けるべきであろう。
本体の壊滅はすなわち軍の敗北を意味する。
そしてさらに今回は士気が最高潮にまで高揚し、闘争心が溢れる景綱が相手となれば、余りにも志太軍としてのリスクが大き過ぎるであろう。
崇数はこの最悪の事態を恐れていた事を祐宗に伝えていた。
すると祐宗は、先程の発言に対して素直に反省した様子を見せて言った。
祐宗
「うむ、拙者が少し軽率じゃったかな。済まぬ。崇数殿よ、それではよろしく頼みますぞ。」
崇数
「はっ、口羽崇数 軍師としてその役目を果たさせていただくましょうぞ!」
こうして祐宗は、崇数率いる口羽軍が景綱の軍勢を応戦する事を改めて命じたのであった。
崇数
「者ども!気を引き締めて景綱殿の兵と応戦するのじゃ!良いな。」
崇数は兵たちを奮い立たせるべく大声でそう言った。
指揮を取る事が困難と感じた祐藤は、祐宗にその役目を託した。
祐宗は父の手にしていた軍配を受け取り、志太軍の総大将として今回の戦いの総指揮を取り始めていた。
祐藤は家臣たちに抱えられながら本陣の奥へと引っ込んだ。
そして、簡易的に作られた寝床で体を癒やしていた。
祐藤
「頼んだぞ…わが息子、祐宗よ…」
祐藤は小さな声でそう呟いていた。
祐宗
「父上…必ずやこの戦、勝ってみせましょうぞ。」
幕府軍に対して進軍を開始する兵たちを見ながら祐宗もそう呟いていた。
間もなく、幕府軍が志太軍による攻撃開始の動きを察知していた。
継晴
「志太軍が攻撃を開始したとな?では、こちらも動くとするか。景綱よ、存分に暴れて参るが良い。」
継晴は志太軍の攻撃に対抗すべく、闘志に燃える景綱に応戦の指示を出した。
景綱
「ははっ、この景綱めが志太軍を引っ掻き回して大混乱に陥れてやりましょうぞ!」
景綱は顔を引き締め、続けて兵たちに言った。
景綱
「志太家との遺恨を晴らす時は今ぞ。皆の者よ、拙者について参れ!」
そうして景綱の軍勢は志太軍の方向を目指して一斉に進軍を開始した。
その姿は非常に勇ましく、そして逞しく周りには映っていたという。
やがてその様子に気が付いた祐永が慌てた様子で祐宗に対して言った。
祐永
「兄者!何やら幕府軍がやけに騒々しい様子にございますぞ。」
祐永は幕府軍の方面を指差していた。
崇数
「景綱殿が動き出したか…鳥居景望殿の孫、鳥居景綱殿がな…」
崇数は厄介そうな表情でそう言った。
崇冬
「景綱殿は我ら志太家を目の敵に思われておる故、注意が必要にございますな…」
鳥居家を滅亡に追いやった宿敵、志太家。
この仇を返すべく景綱が立ち上がった。
闘争心はもちろんだが、何よりも積年の恨みによる復讐心が景綱の士気を増幅させていた。
この事は、志太軍を目掛けて一目散に突撃を繰り広げようとしている景綱の軍勢を見れば明らかであろう。
これに対し祐宗は、堂々たる態度で答える。
祐宗
「ならば返り討ちにするまで。我が兵にも直々に指示を出されよ。志太軍の強さを景綱殿にも見せつけてやるが良い。」
売られた喧嘩は自らが進んで買い、相手にその力の差を分からせてやろう。
祐宗はそのように考えていた様子である。
この毅然たる態度は、父である祐藤譲りであろうか。
ただ、若さ故に少々血相が盛んな部分も見え隠れはしているようだ。
すると、崇数が祐宗のその言葉を制止するように言った。
崇数
「お待ちくだされ。総大将の身である祐宗様が、今はかようなことをなされるべきではございませぬ。ここは、我が口羽の兵にお任せあれ!」
戦術的に考えても、開戦して間もない時に軍の本体が相手部隊と戦闘状態になる事は避けるべきであろう。
本体の壊滅はすなわち軍の敗北を意味する。
そしてさらに今回は士気が最高潮にまで高揚し、闘争心が溢れる景綱が相手となれば、余りにも志太軍としてのリスクが大き過ぎるであろう。
崇数はこの最悪の事態を恐れていた事を祐宗に伝えていた。
すると祐宗は、先程の発言に対して素直に反省した様子を見せて言った。
祐宗
「うむ、拙者が少し軽率じゃったかな。済まぬ。崇数殿よ、それではよろしく頼みますぞ。」
崇数
「はっ、口羽崇数 軍師としてその役目を果たさせていただくましょうぞ!」
こうして祐宗は、崇数率いる口羽軍が景綱の軍勢を応戦する事を改めて命じたのであった。
崇数
「者ども!気を引き締めて景綱殿の兵と応戦するのじゃ!良いな。」
崇数は兵たちを奮い立たせるべく大声でそう言った。
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