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第7章 天下分け目の大決戦編

48.三浦宮御所の戦い(1)

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祐藤の号令により、軍勢は三浦将軍家を攻めるべく進軍。
三浦宮御所付近に到着した志太軍は、その場に布陣。

そして時を間もなくして幕府軍の兵たちも御所から出撃。
たちまち両軍は共に睨み合い状態となった。

・三浦宮御所の戦い
志太・口羽連合軍 対 三浦幕府軍

志太軍(総兵数 14,000人)
志太家総大将「志太 祐藤」
志太家武将「志太 祐宗」
志太家武将「志太 祐永」
計 6,000人

口羽軍
口羽家総大将「口羽 崇数」
口羽家武将「口羽 崇冬」
口羽家武将「羽村 貞道」
口羽家武将「大村 義道」
計 8,000人

三浦幕府軍(総兵数 10,000人)
三浦幕府総大将「三浦 継晴」
三浦幕府武将「三浦 教晴」
三浦幕府武将「黒松 義久」
三浦幕府武将「鳥居 景綱」
計 10,000人

祐藤
「こたびの戦いで三浦幕府の最期を我らが見届けることとなろう。」

祐藤は幕府の軍勢を遠目で眺めながらそう呟いていた。
すると祐宗が口を挟むように祐藤に対して言った。

祐宗
「兵数では我が軍が有利ではございます。ですが、戦というものは何が起こるか分かりませぬ故、油断は禁物かと…」

たとえ兵数では勝っていたとしても、戦では思わぬ逆転劇が繰り広げられる可能性があるなど一寸先は闇と言っても良い。
目先の有利な状況に対して一喜一憂する事はすべきではない。
祐宗はそう言いたげな様子であった。

すると祐藤は心配そうな様子の祐宗に対して答えた。

祐藤
「なぁに、我が軍には政豊殿がおるではないか。既に政豊殿の元へも伝令を送り込んでおる。じきに援軍をよこしてくれるであろう。」

先日の訪問で政豊が志太軍に加勢するという確約を得ている。
さらに政豊は幕府に対して嫌悪感を抱いている故に、今回の戦いには喜んで参戦するであろう。
また、幕府の最期と聞けば惜しまずに全力を出し尽くし、継晴をも討ち取らんばかりの勢いを見せる事は必定だ。

崇数
「政豊殿が参戦されれば、我ら兵の士気もさらに向上いたしましょうぞ。」

崇数は政豊の戦いぶりを高く評価しており、共に戦う事で自身の兵たちの士気の上昇も見込めるであろうと考えていた。
政豊は、他者にまで良い影響を与えるほどにまで惚れ惚れとする存在であった事が崇数の言葉からも伺える。

崇冬
「拙者、政豊殿と顔を合わせるのは国米での戦以来にございますな。」

崇冬は、政豊と今回の戦いで再会できる事を心待ちにしている様子であった。

そんな中、貞道が三浦宮御所を眺めながら言う。

貞道
「しかし、三浦宮御所は拙者が思うに見かけ以上に堅固のようにございますぞ…」

三浦宮御所は、材質や建築方法などどれを取っても非常に良く考えた造りであり、一般的な城よりも遥かに防御力は強かったとされている。
攻城戦や城改修など城に関する事に長けていた貞道の分析は正しかったと言えよう。

祐藤
「我が軍は今まで難攻不落の城を幾つも攻め落とした。今回とてそれも例外では無かろう。」

祐藤は、幾度と無く堅城を落とした志太軍としての実績からか、あまり気に留める様子も無かったようである。

一方、継晴率いる幕府軍は大軍を前にして戦々恐々としていた。

継晴
「うむぅ…祐藤め、ついに来おったな…」

継晴は祐藤らの軍勢を睨みつけながらそう言った。

義久
「継晴様、どうやら兵数は我らより多いように思われますぞ…」

志太軍との兵力差を見せつけられた義久は、不安げな表情をしていた。

継晴
「義久よ、そう案ずるでない。かような兵力差などすぐにひっくり返してやろうぞ。それに、いざとなった時は我が御所に退却いたせば持ち堪えられるであろう。」

継晴は自信満々な態度でそう答えていた。
万が一の場合は御所への籠城を推奨している事からも、御所の堅固さを継晴自身も周知しているのであろう。

教晴
「ですが父上、それで勝算はございましょうか?」

仮に籠城したとしても結果は良くて引き分け。
幕府軍が勝利を収める事は難しいのでは無いか。
教晴は、そういった疑問を継晴にぶつけていた。

継晴
「我が幕府には景綱という若く勇ましき男がおる。のぅ景綱よ、お前には随分と期待しておる故、頼んでおいたぞよ。」

今回、幕府軍として参戦する鳥居景綱の存在である。
志太家に対して長年の復讐心を燃やす景綱であれば、例え籠城戦にもつれ込んだとしても祐藤の首を狙い続けるであろう。
継晴は、この景綱の性格を上手く利用しようとしていた。

景綱
「ははっ、この戦いで祐藤らを地獄へと送り込んでやりましょうぞ!」

景綱は声を張り上げてそう叫んでいた。

継晴
「余を喜ばせてくれよ。ほっほっほっ。」

継晴は景綱の肩を軽く叩いていた。
そして続けて継晴は家臣たちに言った。

継晴
「なお、こたびの作戦はそれだけではござらん。他にも志太軍を撃破する策は既に考えておる。」

継晴は不気味な笑みを浮かべながらそう言った。
どうやら他にも志太軍に対して何らかの対策を講じている様子である。

継晴
「さぁ祐藤殿よ、我が将軍家に背いたことを後悔させてやろうぞ!」

間もなく天下分け目の決戦の火蓋が切って落とされようとしていた…
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