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第7章 天下分け目の大決戦編

47.決戦間近

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数週間が経ち、志太家と三浦将軍家は共に戦に向けての準備が整おうとしていた。
両軍による決戦も間近といったところであろうか。

志太家では家臣を集めて軍議が開かれていた。

祐藤
「これより我が志太軍は、三浦宮御所へと出陣いたす。おそらくこれが継晴との最後の戦となるであろう。」

志太軍は、三浦将軍家との戦を開始する旨を家臣たちに伝えた。
その知らせに家臣たちは皆が首を縦に振っていた。
すると、祐宗が静かに喋り始めた。

祐宗
「父上、いよいよその時が来ましたな…この戦で、創天国を変えることができるのでございますね…」

祐宗は、自身たちで新たな歴史を刻むという事に対して感慨深い様子であった。

祐藤
「うむ、この戦で三浦家による幕府を終わらせようぞ!その後に、我ら志太家による新たな幕府を開くのじゃ!天下泰平の創天国を取り戻す為にも、この戦は負けるわけにはいかぬ!」

祐藤は堂々たる態度で家臣たちの前に立ってそう言い放った。

貞勝
「殿、祐村様の夢であった天下統一がようやく見えて参りましたな。長かった…真に長き時にございました…」

貞勝は、先代である祐村が目指した天下統一が目前に迫って来ている事を実感している様子だ。

崇数
「三浦家の時代は最早終わったも同然。我が軍の力をもって、継晴らにとどめを刺して見せましょうぞ!」

崇数は興奮した様子で息を荒らげていた。

義道
「兄者、真にめでたきことにござるな。」

祐藤の弟である義道は、苦労の末に天下統一と言う偉業を成し遂げようとしている兄の姿を見て誇らしげであった。

玄名
「この戦が最後となり、泰平の世が訪れることを願うばかりにございます。」

僧である玄名は争いの無き世を誰よりも望んでおり、それが間もなく実現する事を心より喜んでいる様子である。

志太家は、家臣たちがかつてないほどの一致団結によって戦の前でありながらも士気が向上していた。

一方、三浦家では三浦宮御所に家臣たちを集めていた。

継晴
「お前たち、よく聞け。志太家が間もなくこの三浦宮御所に攻め寄せて来るとの情報が入った。」

幕府は志太家に対して警戒していた事もあってか、祐藤たちが出陣間近である情報をいち早く入手していたようである。
継晴の言葉を聞いた家臣たちは、ざわつき始めていた。

継晴は、狼狽えつつある家臣たちに対して大きな声をあげて言った。

継晴
「ええぃ!静まれ!静まれ!我らは創天国の大名どもを束ねし役目の幕府であるぞ!それ故、我ら幕府に反旗を翻す者は誰であれ成敗いたすのじゃ!」

幕府に楯突く者は将軍の名において成敗をする。
こう言えば最もらしい口実ではあるが、実際は継晴が名声を手にしたいが為の自分勝手とも言える内容であった。

すると、そんな継晴の腹のうちを知らぬ一人の若武者が声をあげた。
かつての戦国大名であった鳥居景望の孫である鳥居景綱だ。

景綱
「ははっ、継晴様の仰せの通りに!この鳥居景綱、仇敵 志太祐藤の御首を必ずや取ってみせましょうぞ!」

景綱は目をかっと見開き、早くも戦闘態勢に入っていた。

景綱は、志太家によって滅亡にまで追いやられたという大怨を抱き続け、今日まで日々を過ごして来た。
この戦によって何としてでも仇敵である祐藤を自分自身の手で討ち取り、志太家との因縁に決着をつける。
そんな思いもあり、景綱の士気は上昇していた。

継晴
「うむ、真に良き返事じゃ。頼もしいのぅ、ほっほっほっ。」

継晴は血気盛んな景綱を見て、心強さを感じていた。
そして義久に対して継晴が続けて口を開く。

継晴
「義久よ、しっかりと余を支えよ。お前には、義政や義成のような活躍を期待しておるぞよ。黒松家の家名存続はお前次第じゃ。心して戦え。良いな?」

志太家による地獄式爆弾の攻撃によって義成とその嫡男が急死した。
そのような状況で黒松家の家督を相続した義久は、家中でも心配の声があがっていたようである。
義成に関しては先々代の義政による教育を受けていた事もあってか、家督相続後もそれなりの実力を発揮していた。

しかし、義久に関してはこれと言った才能や実力の無い言わば凡才であった為、黒松家の行く末に不安を感じる者が少なくは無かったという。
この状況を打破すべく、今回の志太家との戦いにおいて功績をあげさせようと考えた継晴は、義久に対して激励の声をかけたのである。

義久
「ははっ。拙者、黒松家の存続の為に尽くす次第にございます。」

義久は、継晴に対して深々と頭を下げていた。
そして最後に継晴が教晴に対して言った。

継晴
「教晴、お前も行く行くは将軍となる身。幕府の威信をかけて戦う覚悟はできておるな?」

継晴は、教晴が後々に将軍となる人間だという事を再確認させていた。

教晴
「はっ、心得ておりまする。三浦家の名に恥じぬ戦いをお見せいたします。」

教晴は真剣な顔つきで継晴に対して静かにそう言った。

志太家と三浦将軍家。
皆それぞれの思いを胸に抱き、決戦の時を迎えようとしている…
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