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第7章 天下分け目の大決戦編
45.深まる確執
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その頃、三浦宮御所では将軍継晴が家臣たちに言葉をかけていた。
継晴
「我が幕府は、断固として志太家と戦う!それ故、お前たちも戦に備えて日々鍛錬しておくのじゃ!良いな?」
そう言うと継晴は、そそくさと御所の奥へと引っ込んでいった。
残された家臣たちは、これから起こるであろう志太家との戦いに戦々恐々としている様子であった。
すると、継晴の嫡男である教晴が義久に声をかけた。
教晴
「義久、お前と少し話がしたい。余の屋敷まで来るが良い。」
義久
「ははっ、承知いたしました。」
そう言うと二人は教晴の屋敷へと向かった。
屋敷に入るとすぐに教晴は義久に対して問い掛けの言葉を発した。
教晴
「さて義久よ、先刻に父上は志太家と徹底的に戦うと申しておったが、志太家を相手に本当に勝てるとお前は思うか?」
教晴は、先程の継晴による言葉に対して疑問を感じているようである。
家臣や領民たちの士気が安定しない状況下で志太家と戦う与力が幕府にはあるのだろうか。
義久
「ははっ、いや…その…何と申しましょうか…」
義久は言葉を詰まらせていた。
思いもよらない教晴の問い掛けに対して義久は困惑した様子であった。
教晴
「どうした、言いにくいか?幕府が一大名家、それも元々は白河殿の傘下であった身分の賤しき者たちに翻弄されているなど恥であるとな。」
教晴は、今の幕府が置かれている状況について感じている事を率直に述べていた。
元は幕府より将軍守護職を賜った白河家の傘下に甘んじていた志太家。
そのような弱小であった大名家によって幕府が脅しをかけられている事を教晴は恥と感じているようである。
義久
「教晴様…」
義久は複雑な表情で教晴を見つめていた。
教晴
「余は本当の事を申しただけじゃ。お前もそう思っておるじゃろう?違うか?」
教晴は真顔で義久に対してそう問いかけた。
すると、今まで口を紡いでいた義久が静かに言った。
義久
「しかし、拙者は継晴様に従うしか道はございませぬ…家族の為にも、そうせざるを得られませぬ故…」
どうやら義久を含む幕府の主要家臣たちは、継晴による脅しによって従わざるを得ない状態であった。
彼らの家族を人質として差し出させていたのである。
寝返りなど継晴を裏切る行為が見られた場合は、人質を見せしめに処刑していた。
先日にも、幕府に対して謀反の疑いをかけられた家臣の家族らが処刑されたという。
教晴
「うぬぬぬ…我が幕府は、人質を取らねば国を保てぬというのか…真に恥ずかしい限りじゃ…」
義久の言葉を聞いた教晴は、顔から火が出る思いであった。
そもそも幕府というものは、武家政権の頂点に位置する存在で無ければいけない。
配下の大名家を取り締まったり、常に各国に対して領民たちが安心して暮らせる世を造るといった役目がある。
しかし、近年の度重なる悪政から幕府が傾き始めた事をきっかけにその存在意義が問われ始めていた。
これに対して継晴は、家臣や領民たちの声に耳を貸す事なく自分本位の政を強引に継続。
その結果が、今の状況である。
義久
「しかし、国を守る為には仕方の無いことであるかと…」
義久は、継晴によって家族が人質に取られた事を正当化するような発言をした。
「従えど地獄」「反抗するも地獄」といった最悪の環境である。
それ故、今置かれている状況を肯定するよう自身に言い聞かせて精神的安定を保っているのであろうか。
こうした事からも、義久の発言は本音では無く「建前」として述べたものである事に違いは無いであろう。
教晴
「いや、それは違うぞ義久よ。家臣や領民たちの信頼があってこその国じゃ。しかし、今の幕府はこの体たらく…全く、馬鹿な父を持って余は頭が痛いわ…」
教晴は、義久の述べた言葉を否定。
家臣、領民など周りからの信頼を得てこそ真の良い国であるいう事を義久に説いていた。
同時に、無能で自分本位な思想である父の継晴に対して教晴は嫌悪感を抱いている様子であった。
義久
「教晴様…」
義久は、教晴の言葉に目頭が熱くなっていた。
本来、教晴のような芯の通った思想を持つ者が将軍であるべきだ。
義久は心からそう思っていた。
すると、教晴がしかめた顔で口を開いた。
教晴
「皆の幕府への信頼は最早無きに等しい。ここは、余が蹴りをつけるしか手は無さそうじゃな…」
義久
「教晴様、それはどういうことにございますか?」
義久の問い掛けに対して教晴は静かに答えた。
教晴
「父上を、継晴を余の手で討つのじゃ…」
教晴は、真剣な表情をしていた。
継晴
「我が幕府は、断固として志太家と戦う!それ故、お前たちも戦に備えて日々鍛錬しておくのじゃ!良いな?」
そう言うと継晴は、そそくさと御所の奥へと引っ込んでいった。
残された家臣たちは、これから起こるであろう志太家との戦いに戦々恐々としている様子であった。
すると、継晴の嫡男である教晴が義久に声をかけた。
教晴
「義久、お前と少し話がしたい。余の屋敷まで来るが良い。」
義久
「ははっ、承知いたしました。」
そう言うと二人は教晴の屋敷へと向かった。
屋敷に入るとすぐに教晴は義久に対して問い掛けの言葉を発した。
教晴
「さて義久よ、先刻に父上は志太家と徹底的に戦うと申しておったが、志太家を相手に本当に勝てるとお前は思うか?」
教晴は、先程の継晴による言葉に対して疑問を感じているようである。
家臣や領民たちの士気が安定しない状況下で志太家と戦う与力が幕府にはあるのだろうか。
義久
「ははっ、いや…その…何と申しましょうか…」
義久は言葉を詰まらせていた。
思いもよらない教晴の問い掛けに対して義久は困惑した様子であった。
教晴
「どうした、言いにくいか?幕府が一大名家、それも元々は白河殿の傘下であった身分の賤しき者たちに翻弄されているなど恥であるとな。」
教晴は、今の幕府が置かれている状況について感じている事を率直に述べていた。
元は幕府より将軍守護職を賜った白河家の傘下に甘んじていた志太家。
そのような弱小であった大名家によって幕府が脅しをかけられている事を教晴は恥と感じているようである。
義久
「教晴様…」
義久は複雑な表情で教晴を見つめていた。
教晴
「余は本当の事を申しただけじゃ。お前もそう思っておるじゃろう?違うか?」
教晴は真顔で義久に対してそう問いかけた。
すると、今まで口を紡いでいた義久が静かに言った。
義久
「しかし、拙者は継晴様に従うしか道はございませぬ…家族の為にも、そうせざるを得られませぬ故…」
どうやら義久を含む幕府の主要家臣たちは、継晴による脅しによって従わざるを得ない状態であった。
彼らの家族を人質として差し出させていたのである。
寝返りなど継晴を裏切る行為が見られた場合は、人質を見せしめに処刑していた。
先日にも、幕府に対して謀反の疑いをかけられた家臣の家族らが処刑されたという。
教晴
「うぬぬぬ…我が幕府は、人質を取らねば国を保てぬというのか…真に恥ずかしい限りじゃ…」
義久の言葉を聞いた教晴は、顔から火が出る思いであった。
そもそも幕府というものは、武家政権の頂点に位置する存在で無ければいけない。
配下の大名家を取り締まったり、常に各国に対して領民たちが安心して暮らせる世を造るといった役目がある。
しかし、近年の度重なる悪政から幕府が傾き始めた事をきっかけにその存在意義が問われ始めていた。
これに対して継晴は、家臣や領民たちの声に耳を貸す事なく自分本位の政を強引に継続。
その結果が、今の状況である。
義久
「しかし、国を守る為には仕方の無いことであるかと…」
義久は、継晴によって家族が人質に取られた事を正当化するような発言をした。
「従えど地獄」「反抗するも地獄」といった最悪の環境である。
それ故、今置かれている状況を肯定するよう自身に言い聞かせて精神的安定を保っているのであろうか。
こうした事からも、義久の発言は本音では無く「建前」として述べたものである事に違いは無いであろう。
教晴
「いや、それは違うぞ義久よ。家臣や領民たちの信頼があってこその国じゃ。しかし、今の幕府はこの体たらく…全く、馬鹿な父を持って余は頭が痛いわ…」
教晴は、義久の述べた言葉を否定。
家臣、領民など周りからの信頼を得てこそ真の良い国であるいう事を義久に説いていた。
同時に、無能で自分本位な思想である父の継晴に対して教晴は嫌悪感を抱いている様子であった。
義久
「教晴様…」
義久は、教晴の言葉に目頭が熱くなっていた。
本来、教晴のような芯の通った思想を持つ者が将軍であるべきだ。
義久は心からそう思っていた。
すると、教晴がしかめた顔で口を開いた。
教晴
「皆の幕府への信頼は最早無きに等しい。ここは、余が蹴りをつけるしか手は無さそうじゃな…」
義久
「教晴様、それはどういうことにございますか?」
義久の問い掛けに対して教晴は静かに答えた。
教晴
「父上を、継晴を余の手で討つのじゃ…」
教晴は、真剣な表情をしていた。
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